歯の黒い点の正体は虫歯なの?4つの原因と治療法を解説

    歯に黒い点を見つけたら真っ先に虫歯の心配をする方は多いでしょう。痛みがあれば歯医者さんに行くことを考えますが、なければそのまま放置してしまいがちです。

    この記事では、歯に黒い点ができる原因と治療方法を解説しています。黒い点を消すには歯医者さんに行くべきかどうかについても説明しているので、参考にしてください。

    この記事の目次

    1.歯の黒い点の正体とは?考えられる4つの原因

    初期虫歯による黒ずみ

    初期の虫歯が固まって黒くなった状態です。口の中が酸性に傾くと歯が溶ける脱灰(だっかい)が起こります。その後、唾液の中のミネラルが戻っていくと溶けた歯が回復する再石灰化(さいせっかいか)が始まります。

    歯では常にこの脱灰と再石灰化が繰り返されています。そして、脱灰が続いて初期虫歯が発生した後、口内環境が改善されて再石灰化によって虫歯が硬くなると黒い点のように見えます。ただし、すべての初期虫歯で黒い点が発生するわけではありません。

     

    虫歯による小さな穴

    虫歯によってできた小さな穴が、黒い点に見えている場合があります。歯の硬いエナメル質の部分が、虫歯で溶かされて穴が空いているわけです。この場合、穴がまだエナメル質の部分でとどまっていれば初期の虫歯と言えますが、歯の中で大きな虫歯になっている可能性もあります。

     

    着色によるもの

    コーヒーや紅茶、タバコの成分が歯の表面に付着した着色汚れも原因の一つに挙げられます。歯の裏側や奥歯の溝、歯並びが悪くて磨きにくい箇所にできやすく、毎日の飲食や喫煙によって濃くなっていきます。

     

    歯石によるもの

    虫歯でも着色汚れでもない場合は、歯垢が唾液と混ざり合って石灰化してできる歯石による黒い点だと考えられます。もともと、歯石は乳白色ですが、歯周病による出血があると血と混ざり合って黒い点になります。そのため、歯石による黒い点は歯茎に近い歯の根元にできるのが特徴です。

    2.黒い点の正体の見分け方

    黒い点が虫歯かどうかは、歯医者さんでも見るだけで判断するのは難しいです。そのため、見た目による自己判断は非常に危険です。歯医者さんでは以下のような方法で虫歯かどうかを判断します。

     

    探針で触診

    探針(エキスプローラー)と呼ばれる器具で歯の表面を触って虫歯かどうか診断します。初期の虫歯の場合、歯の表面が凸凹になっていてザラついているので、触診することで判断できる場合があります。

     

    う蝕検知液

    虫歯部分に反応して赤く染まる液体です。虫歯かどうか判別できるとともに、どこまで削ればいいかの目安になります。

     

    レントゲン

    お口の中の写真を撮影することで、虫歯の深さを確認することができます。歯の黒い点から内部に虫歯が進行している可能性もあり、神経までの距離や状態などを正しく把握することで、どのような治療が必要なのか判断できます。

     

    光学式う蝕検出装置

    歯に微弱なレーザーを歯に当てることで、虫歯を数値化して表示できる機械です。浅い虫歯ではレントゲンで確認できない場合もあります。光学式う蝕検出装置は数値で表すことができるので、削るかどうかの判断が難しい初期虫歯の診断に役立ちます。

    3.虫歯の進行度に合わせた治療法

    黒い点が虫歯だった場合、そのまま放置しておくとどんどん悪化してしまいます。虫歯の症状は初期の状態であるC0~末期のC4の5段階に分けられます。ここでは、虫歯の進行度別に治療法を見ていきましょう。

     

    【C0】初期虫歯

    歯の表面が脱灰し始めた状態で、白く濁ることが多いです。その後、再石灰化によって虫歯が硬くなると黒い点のようになる場合もありますが、痛みやしみるなどの自覚症状はありません。

    <治療法>
    歯磨きをしっかり行う
    正しい歯磨きや生活習慣の見直しで自然に回復することができます。毎日、根気よくブラッシングを続けてお口の環境を改善して再石灰化を促せば、虫歯は進行せずにそのまま硬くなっていきます。

    定期検診でクリーニング
    定期的に歯医者さんでクリーニングを受けることで改善されます。進行していなければ、削る必要はありません。

    フッ素で硬くする
    歯医者さんでもフッ素湿布をしてもらえますが、フッ素が配合されたジェルや歯磨き粉、洗口剤を使用して自宅で行っても良いでしょう。フッ素は歯のエナメル質と結びついて丈夫にしてくれるので、初期虫歯で柔らかくなった部分を硬くすることができます。

     

    【C1】エナメル質が侵されている虫歯

    エナメル質が溶けて黒い点や小さな穴ができます。まだ痛みはありませんが、再石灰化は難しいです。

    <治療法>
    虫歯部分を削って、レジン(歯科用プラスチック)を詰めます。虫歯が神経の通っていないエナメル質にとどまっている状態なので、基本的に麻酔を使わずに治療できます。

     

    【C2】象牙質まで達している虫歯

    虫歯が象牙質まで進行している状態です。神経の近くまで達していれば、冷たいものや甘い物がしみるようになります。

    <治療法>
    症状によっては局所麻酔を行い、虫歯に侵された部分を削ります。その後、歯型を取って作ったインレーという詰め物やクラウンという被せ物で補います。

     

    【C3】神経まで達している虫歯

    虫歯が歯の神経まで達している状態です。この段階になると冷たいものや甘い物だけでなく、熱いものもしみるようになります。神経が炎症を起こしているので、何もしなくても強い痛みを感じます。

    <治療法>
    神経を取り除く治療を行います。ファイルと呼ばれるやすりのような尖った道具で虫歯に侵された部分を除去した後、神経が入っていた管(根管)を消毒して無菌状態にします。根管に薬剤をぎっしり詰めて、最後に歯型を取って作ったクラウン(被せ物)を装着します。

     

    【C4】末期の虫歯

    歯の上部が溶けて、根だけが残っているような状態です。激しい痛みが続きますが、神経が壊死する段階まで進むと痛みを感じなくなります。

    <治療法>
    末期の虫歯では、抜歯を行う場合がほとんどです。歯を抜いた後は、入れ歯や顎の骨に人工の歯根を埋めて義歯を取り付けるインプラト、両隣の歯を土台にして義歯を取り付けるブリッジなど、歯を補う治療を行います。

    4.虫歯による黒い点を防ぐには

    虫歯による黒い点を防ぐためには、虫歯を作らないことと、虫歯を進行させないことが重要となって来ます。そのためには、正しいブラッシングを行ってプラーク(歯垢)をコントロールすることが必要です。

    歯の表面だけでなく、歯と歯茎の間のプラークが溜まりやすい箇所こそしっかり磨きましょう。歯磨きだけでは落としきれない歯と歯の隙間のプラークは、デンタルフロスや歯間ブラシを活用して取り除くようにしてください。

    また、甘い物の食べ過ぎ、ダラダラと間食を続けるというようなお口の環境に悪影響を与える食習慣を見直して、食後の歯磨きを習慣づけるようにしましょう。

    監修医

    飯田 尚良先生

    飯田歯科医院 院長

    経歴

    1968年 東京歯科大学 卒業
    1968年 飯田歯科医院 開院
    1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
    1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
    1983年~2009年 東京歯科大学 講師
    現在に至る

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