親知らずは、トラブルの原因になりやすい歯と認識されているため、高い確率で抜歯となります。しかし、多くの人にとって「歯を抜く」というのは、それなりの覚悟を要する処置です。抜くときには恐怖もあるでしょうし、抜いた後には痛みがあります。
この記事では、抜歯をした直後から当日、傷口が塞がるまでの過ごし方や注意点を詳しくご紹介しています。痛みを最小限に抑えたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
1.親知らず抜歯後の過ごし方
親知らずは抜いた後の過ごし方が大切です。抜歯の処置中は麻酔が効いているので、あまり痛い思いをする心配もないですが、2~3時間が経過すれば麻酔が切れて痛みがやってきます。しかも、抜歯した傷口が治るまでには、一定の期間が必要です。
ここでは、親知らずを抜いた後にやってくる苦痛を最小限に抑えるための過ごし方のポイントを解説していきます。
抜歯直後:ガーゼを30分噛み続ける
抜歯を終えると、傷口にガーゼ・脱脂綿を入れられて「30分くらい噛んでいてください」と言われるはずです。これは、傷口を圧迫することで止血が早まるからです。この方法を「圧迫止血」と呼びます。面倒だからと5分、10分でやめてはいけません。歯を抜いた後、きちんと30分噛んでいるようにしましょう。止血が早いほうが、痛みも小さくなります。
ただし、30分が経過したら、ガーゼを取り出してください。いつまでも噛んでいると、今度は口の中に唾液が溜まりすぎて止血が遅くなります。多くの場合、30分が目安と考えられています。
麻酔が切れる前:1回目の鎮痛剤を服用する
親知らずを抜いた後、鎮痛剤を処方されているはずです。1回目の服用は、なるべく麻酔が切れる前にしましょう。痛みを感じると神経が過敏になり、鎮痛剤が効きにくくなるからです。なるべく痛みを抑えたいのであれば、「痛みを感じる前に飲む」というのがポイントになります。
麻酔が切れた後:気を付けながら食事を摂る
歯を抜いた後、麻酔が切れるまでには2~3時間のタイムラグがあります。食事を摂るのは、麻酔が切れてからにしてください。麻酔で口腔内が痺れているときに食事をすると、火傷・ケガのリスクがあります。感覚がないと、熱いものを平気で口の中にとどめたり、舌・頬粘膜を噛んだりする恐れがあります。
抜歯当日:運動・入浴・飲酒を控える
抜歯当日は、過度な運動・バスタブへの入浴・飲酒を控えるようにしてください。血管が拡張し、血流が上がるので、血が止まりにくくなります。いったんは止血できている場合でも、再出血の恐れがあります。
通常、抜歯の傷跡には、ゼリー状になった血の塊が生じます。この血の塊を血餅(けっぺい)と呼びます。これは「かさぶた」の代わりになるもので、傷口を保護し、治りを促す働きがあります。しかし、出血量が多すぎると、うまく血餅が固まらず、抜歯した穴がむき出しになってしまうのです。傷口が塞がらず、抜歯の穴がむき出しになった状態を「ドライソケット」と呼びます。
ドライソケットは歯槽骨(歯を支える骨)まで直通の穴なので、かなりの痛みを伴います。食べ物・飲み物がドライソケットに入りこむと、骨の神経がダイレクトに刺激されるからです。痛みを伴うドライソケットを避けるためにも、運動・入浴・飲酒は控えるようにしましょう。
傷口が塞がるまで:うがい・歯磨きに注意
傷口が塞がってくるまでは、過度のうがいや傷口付近の歯磨きに注意してください。前述したように血餅が外れてドライソケットになると、激しい痛みが生じる上、治りも遅くなります。過度のうがいや傷口への歯ブラシの接触は、血餅が外れる要因になり得ます。物理的刺激によっても、血餅は外れるのです。
腫れがある場合:患部を冷やす
個人差はありますが、抜歯後によく見られる症状の一つとして、頬の腫れが挙げられます。腫れを抑えるためには、濡れタオルなどの冷たいもので患部を軽く冷やすことが効果的です。ただし、冷やしすぎると血液の循環が悪化し、回復が遅れる可能性があるため、適度な冷却と休息が大切です。
2.抜歯後、こんな症状が出たら要注意!
抜歯後の痛みは2~3日で引き、その後は徐々に回復に向かいます。しかし、中には下記のような症状がでるケースがあります。
傷口の周囲が腫れて、発熱している
親知らずを抜いた後、2~3日だけ38℃前後の熱が出たという場合は、それほど心配はいりません。48時間で炎症がピークになるので、単に炎症反応が思ったよりも強かったというレベルの話です。ただし、39℃近い高熱が出たり、抜歯から3日が経過しても熱が下がらなかったりしたら、要注意です。傷口に細菌が入り、感染症を起こしている疑いが強いからです。
感染症を起こすのは、たいてい、抜歯後に処方された抗生物質をきちんと飲まない人です。抗生物質は自己判断でやめずに、きちんと処方された分量を飲み切りましょう。
抜歯後、頭痛が続く
親知らずの中には、歯槽骨に埋まった状態のものがあります。こういった親知らずを「埋伏智歯」と呼んでいます。特に、下顎の埋伏智歯を抜く場合は、骨を削るのにかなりの苦労を伴います。下顎の歯槽骨は硬く、ドリル・ハンマーなどを用いて削ることになります。その際、頭に振動が加わり、頭痛の原因になることがあるのです。
多くは一過性の頭痛ですが、長期間にわたって続く場合は医療機関に相談してください。
3.まとめ
親知らずの抜歯後は痛みや腫れが出てくることがあります。これらを緩和することはもちろん、血餅の脱落による「ドライソケット」を防ぐためにも、今回ご紹介した抜歯後の過ごし方や注意点を参考にしてみてください。
万が一、抜歯後に痛みや出血が長時間続く場合には、早めに歯科医院を受診するようにしましょう。

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