【アタッチメント義歯】種類や特徴、メリットデメリットを紹介

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義歯のアタッチメント装置とは、義歯を装着させるための維持装置のことです。大きく分けると、磁力を使って固定させるタイプと2つのパーツを組み合わせて使うタイプがあります。

この記事は、アタッチメント義歯の特徴や種類について詳しく見ていきます。また、一般的な部分入れ歯と比較したときのメリットやデメリット、治療の流れについてもご紹介します。

この記事の目次

1.アタッチメント義歯の種類と特徴

まずは、アタッチメント義歯の特徴や種類について詳しく見ていきましょう。

 

磁性アタッチメント

義歯側に磁石、残存歯に磁性金属でつくられたキーパーを埋め込み、両側の磁力を利用して装着します。総義歯、部分床義歯ともに装着が可能で、修理が簡単という特長があります。使われる小型磁石は米粒ほどの大きさですが、強力な吸着力を持つため安定性があり、入れ歯のずれを防ぎます。一般的なクラスプがないため、周囲からは入れ歯をしているように見えません。また、磁力が強力なので近づけるだけで所定の位置にきれいにはまります。

適用できない場合
残存歯の歯根にキーパーを取り付ける必要があるため、残存歯の歯根の状態や本数によっては適用できない場合があります。その場合は人工歯根を埋め込むインプラント治療を併用し、その歯根にキーパーを取り付けることで適用できます。また、磁石アレルギーがある場合も適用できません。

 

ソフトアタッチメント

残存歯をシリコンで包んで装着することで、残存歯への負担を減らすことができます。また、密着性が高まるため、食べカスなどの異物が隙間に入り込むことが少なくなります。歯の表面にバネを使わないので、舌触りや装着感が良く、口を開いても義歯と気づかれません。薄くて丈夫なため割れにくく、お手入れもしやすく、口内の清潔を保ちやすくなります。金属を使用しないタイプもあり、金属アレルギーの方にもおすすめです。

適用できない場合
シリコンで残存歯を覆いながら取り付けるため、残存歯がない場合やシリコンアレルギーがある場合は適用できません。

 

バーアタッチメント

残存歯の歯根に金属製の土台を取り付け、それを金属製のバーで連結させます。義歯にはクリップのような金具が取り付けられ、バーをクリップで挟むように装着します。安定性に優れ、ずれたり外れることが少なく、噛み心地の良さを感じられます。クラスプを使用しないので見た目も自然で、美しい口元を取り戻せます。

適用できない場合
残存歯の歯根に金属を取り付ける必要があるため、残存歯の歯根が残っていない場合は適用できません。その場合は人工歯根を埋め込むインプラント治療を併用し、その歯根に金属バーを取り付けることで適用できます。

 

インプラントを併用するアタッチメント

歯根がない場合はインプラント治療を併用し、人工の歯根に金属バーを取り付けてからアタッチメント義歯を装着します。歯を1本1本入れる通常のインプラント治療よりも少ない本数で済むので経済的な負担が軽くなり、さらに施術時間も短くなるため、肉体的な面や精神的な面での負担も軽減されます。

2.アタッチメント義歯のメリット

ここでは、一般的な部分入れ歯に比べて、アタッチメント義歯に期待できるメリットをご紹介します。

 

高い安定性がある

アタッチメント義歯は、一般的な部分入れ歯よりも密着性が高く、安定感が増します。ぐらつきや使用中のずれが少ないため口内の異物感も軽減し、会話のときのわずらわしさも解消されます。また、固いものを食べても自分の歯のような自然な噛みごたえで食べることができます。

 

違和感が軽減

クラスプだけで固定すると不安定になるため、従来は義歯床(プラスチック部分)を大きくする必要がありました。アタッチメント装置を使用することで義歯床を薄くすることが可能になり、入れ歯そのものを小型にできるため違和感が減少します。

 

見た目が自然

一般的な部分入れ歯のクラスプは金属を使用しているため、口を開けたときに目立ちやすいのが気になるポイントでした。アタッチメント義歯は金属のクラスプが不要です。金属のクラスプを使用している入れ歯と異なり、義歯を装着していることに気づかれにくくなります。見た目も良くなるため、周りにいる人の視線も気になりません。

 

お手入れが簡単

クラスプがないため、アタッチメント義歯は非常にシンプルな構造です。また、取り外しが簡単で扱いやすいです。口臭や残存歯の虫歯トラブルは、入れ歯に残った汚れが原因となることが多いですが、アタッチメント義歯はクラスプがなく密着度が高いため、汚れが入り込む隙間が少なく、簡単に洗浄でき清潔さを保てます。これにより、お口のトラブルを未然に防ぐことができます。

3.アタッチメント義歯のデメリット

つぎに、アタッチメント義歯のデメリットをご紹介します。

 

保険が適用できない

アタッチメント義歯は、保険が適用されません。そのため、すべて自費負担です。使用するアタッチメント装置によって金額に差がありますが、おおよそ1装置5~10万円になるでしょう。そのほかに義歯本体の費用が別途かかりますが、義歯も本数や材質によって大きく金額が異なります。

 

残存歯のメンテナンスが必要

アタッチメント義歯は、残存歯が健康であるからこそ適用できる義歯です。歯周病や虫歯が原因で残存歯の健康状態が悪くなると、せっかく作ったが義歯自体が使えなくなる可能性があります。義歯の毎日のお手入れはもちろん、残存歯のメンテナンスをしっかり行う必要があります。

 

取り扱いには注意が必要

アタッチメント義歯は毎日のお手入れが大切ですが、素材によっては熱に弱く変形しやすいものや、割れやすいものもあります。洗浄時の温度や着脱の際に落としたりしないよう取り扱いには十分注意しましょう。

4.アタッチメント義歯にする場合の治療の流れ

ステップ①レントゲンで詳しく診断

まずは口腔内の写真とレントゲンの撮影をして、対象となる歯がアタッチメントの装着が可能かどうかを細かく調べる必要があります。アタッチメント装置は歯根に取り付ける装置なので、主に歯根の状態を確認します。

 

ステップ②歯根を治療する

レントゲンなどの検査により歯根が適用となった場合は、アタッチメントの土台を取り付けるための治療を施します。

 

ステップ③義歯を調整して完成

義歯側にも、口内の土台に合わせたアタッチメント装置を取り付けます。義歯と土台の両方が吸着しあうことで義歯が浮き上がるなどのトラブルが解消され、固定力が上がります。

5.まとめ

見た目の美しさと機能性を兼ね備えたアタッチメント義歯は、構造や素材によって適用条件が異なります。口内の検査や診断結果をもとに、装着時の状態まで細かく検討して治療を受けましょう。また、アタッチメント義歯は自費負担となるため、保険適用の義歯よりも高額です。費用も含めて歯医者さんに相談し、自分に最適なアタッチメント義歯を見つけましょう。

監修医

飯田 尚良先生

飯田歯科医院 院長

経歴

1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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