子どもが虫歯になりやすい理由は?正しい歯みがき予防

子ども 虫歯 歯みがき

子どもが虫歯になりやすい理由は?正しい歯みがき予防

しっかり磨いているつもりでも、子どもの歯は大人の歯と比べて虫歯になりやすいです。しかも、虫歯は一度なってしまうと元通りにすることはできません。乳歯の虫歯に気づかず放っておくと、永久歯の色や形、歯並びにも影響をおよぼすこともあります。お父さんお母さんとしては、お子さんのために、きちんと虫歯予防ができる歯みがき法を知りたいですよね。この記事では、子どもが虫歯になりやすい理由のほか、虫歯予防の歯みがきのコツ、歯医者さんでできる虫歯予防などを紹介します。お子さんの歯の健康のためにぜひお役立てください。

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この記事の目次

1.乳歯が虫歯になりやすい理由

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エナメル質が薄い

大人であれば、固いエナメル質で歯がコーティングされていますが、子どもの乳歯はそれが薄く永久歯の半分ほどの厚さしかありません。そのためいったん虫歯になると、すぐに進行して神経まで達してしまうのです。

乳歯は神経の割合が大きい

乳歯は永久歯と比べて、神経が占める割合が大きいのが特徴です。生えかわりの際に乳歯の根を溶かす作用をするためです。そのため、一度虫歯が進行して歯が溶けだすと、神経に達するのが早く、痛みも出やすくなります。

奥歯に汚れがたまりやすい

大人もそうですが、奥歯は汚れがたまりやすい部分です。特に子どもはあごが小さいため、歯ブラシがなかなか届きづらいだけでなく、奥歯の表面に小さなミゾがたくさんあるという、汚れがたまりやすい作りになっています。お子さんが自分で磨いたあとは、必ずお父さんお母さんによる仕上げ磨きを行いましょう。

2.子どもの成長時期に合わせた正しい歯みがき

乳児期~幼児期(1歳~6歳ころ)

歯が生えたばかりの赤ちゃんに、虫歯予防のためにと必要以上に強くゴシゴシしていませんか?痛かったり怖かったりという記憶が残ってしまうと、そのまま歯みがき嫌いになってしまうかもしれません。

そこで最初は、濡れたガーゼや綿棒で歯を拭くことから始めましょう。まずは、口の中に手を入れることに抵抗をなくし、少しずつ歯ブラシを使った歯みがきに変えていくのがおすすめです。特に上の前歯というのは、唾液がまわってきにくい場所なので、なるべく丁寧に磨いてあげましょう。お父さんお母さんが正座したところに、子どもの頭を置くような寝かせ磨きにすると、お口の中が見渡せて磨きやすいです。しかし、この姿勢に慣れていないために泣いてしまうようなお子さんには、普段しているなるべくリラックスした体勢で磨くようにしましょう。そうすることで、歯みがきに対する恐怖感や不安感が少なくなります。

乳歯のときには、歯と歯の間が空いているすきっ歯の状態が普通です。その場合は、歯ブラシだけで汚れを掻きだしやすいですが、子どもの中にはすきっ歯ではなく、歯と歯が接近している子もいます。その場合は、歯の間を掃除するためのデンタルフロスという清掃グッズを使いましょう。
本当は食後に毎回磨くのが理想ですが、できない場合は就寝前にゆっくり歯みがきするのがよいです。それにより、就寝している間に虫歯になるのを予防してくれます。

学童期(6歳ころ~)

第一大臼歯(6歳臼歯)という歯は6歳のころに生えてくる歯です。噛み合わせを決める大切な歯で「咬合のカギ」ともいわれています。噛み合わせる面が複雑な形のため汚れがたまり、虫歯になりやすいという特徴があります。また乳歯と違い、永久歯は生えかわることがなく長期間使う歯なので、きちんとケアする必要があります。6歳くらいになったら自分で正しい歯みがきができるよう、お父さんお母さんがちゃんと教えることが大切です。しっかり歯垢や汚れが落ちているかは、歯垢を染色する液体などでチェックでき、子どもにも分かりやすいです。ネットで市販されているので取り寄せてみてくださいね。最初のころは親御さんが磨き残しなどないかチェックして、必ず仕上げ磨きをすることが大切です。
もし正しい歯みがき方法が分からない、もしくはお子さんがいうことを聞かないのであれば、歯医者さんに通い「歯みがき指導」をしてもらいましょう。

3.子どもの歯みがきで気をつけること

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上唇小帯はやさしくブラッシング

上の唇の裏には、歯茎に向かって伸びる上唇小帯という筋があります。年齢とともに細くなっていきますが、子どもの場合はまだ太く、歯ブラシで強く磨くと痛むことがあります。その刺激によって歯みがき嫌いになってしまうことがあるので、触れないことが大切です。磨いてあげる際には、歯ブラシを持っていない方の人差し指でその部分を覆い、歯ブラシが当たらないようにするとよいでしょう。

奥歯はデンタルフロスやタフトブラシで

乳歯の奥歯には小さいミゾがたくさんあり、普通に歯みがきをしても汚れが落ちにくいです。歯と歯の間にはデンタルフロス(歯の間を掃除するための糸)、奥歯で手が届きづらい場所、もしくは細かい場所にはタフトブラシ(毛先がひとかたまりになっている小さな歯ブラシ)など使い分けてください。タフトブラシは普通の歯ブラシに比べてヘッド(歯ブラシの頭部分)が小さいため、小回りがきいて奥歯まで届きやすいというメリットがあります。

白っぽく見える初期の虫歯に注意

子どもの虫歯は最初のころは白っぽく濁ったように見えるものもあり、進行していくと黒く変化していきます。その白い色から、虫歯とは分からず見落としてしまいがちです。そのため、歯みがきのときによく観察することが大事です。乳歯はやわらかく虫歯の進行が大人の歯より早いので、異変を感じたら早めに歯医者さんに連れていってあげてくださいね。

歯ぐきと歯の間の汚れを丁寧に

子どものころの歯ぐきはまだやわらかく、歯ブラシの毛先が当たっただけで痛がる子もいます。そのためお口の中がきちんと磨けていなく、歯ぐきと歯の間に歯垢や食べかすがたまってしまうことが原因で、知らないうちに虫歯が進行してしまうのです。歯ぐきに当たっても痛くないような、やわらかい毛先の歯ブラシをそろえてあげましょう。また、丁寧にやさしく磨くことで、歯みがきに対しての抵抗感が減り、結果的に虫歯予防につながっていきます。

4.どうしても虫歯になってしまう場合は

食生活を改善する

おやつをいつでも食べられるような環境で育った子どもは、食べかすが常に口にある状態のため虫歯になりやすいです。虫歯を予防するためには、おやつの時間も食事の時間もきちんと決めておくべきでしょう。
また、現代の食べ物は加工食品などが多く、やわらかい食べ物がたくさんありますよね。それらをいつも食べていると、噛む回数が減り唾液の分泌も減りやすくなります。唾液が少ないと、細菌や虫歯菌を増やしてしまう原因となりかねません。野菜やお肉などはあるていど、歯ごたえがある状態で食べるようにしてください。火を通しすぎると、やわらかくグズグズの食感になってしまうため、調理時間も工夫しましょう。お菓子も、ガムやスルメイカやせんべいなど歯ごたえがある固いものを適度にあげるようにしてください。

歯医者さんで歯みがき指導してもらう

虫歯にならないためには、なにより予防が大切です。毎日行う歯磨きでちゃんと歯の汚れを落とすことができていれば、虫歯になるリスクを減らせます。
お父さんお母さんが考えていた歯ブラシ法が実は間違っていた…というケースもあるので、歯医者さんで歯みがき指導をしてもらうことが大切です。子どもの歯の形に合う歯ブラシや、歯ブラシの握り方、毛先の動かし方など丁寧に教えてくれるので相談してみましょう。

歯医者さんで予防治療をしてもらう

虫歯にならないように、歯質を強くし丈夫にするために、歯医者さんでフッ素塗布してもらう予防法や、生えてきたばかりの永久歯の歯の表面の汚れや食べかすの溜まりやすい溝にシーラントという樹脂素材を入れて、虫歯予防をする方法もあります。歯医者さんによってはあつかっていないところもあるので、事前に電話などで確認してから受診しましょう。

5.まとめ

子どもが虫歯にならないために、まずは正しい「歯みがき」をすることが大切です。
しかし、お子さんの歯によってはあごが小さく、歯ブラシやケアグッズで汚れを掻きだしづらいこともあります。また、お父さんお母さんが適切な歯磨きに対しての知識がないこともあります。そんなときは、悩んだりあきらめたりせずに、歯医者さんに歯みがき指導してもらうことで改善への一歩が踏み出せます。歯医者さんでやってもらえるフッ素塗布やシーラントなどの治療法も心強い味方といえます。

また、お子さん自身に「歯みがきの大切さ」を教えるのも親の大事な役目です。大きくなったときに自分できちんと磨けているかどうかで、虫歯になる確率が大きく変わってきます。歯みがき絵本などを使い、小さいころに歯みがきする理由などを教えておきましょう。ひとりで磨き始めた際には、汚れ部分に色がつく「歯垢染色液」などを使い、どの部分を丁寧に磨けばよいのか教えるのもひとつの手ですね。

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監修医 遠藤三樹夫先生

遠藤歯科クリニック

院長

【経歴】
1983年大阪大学歯学部 卒業
1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
1988年遠藤歯科クリニック 開業
現在に至る
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