2歳児の歯に、日々の生活ですぐに実践できるケア方法まとめ

2歳 歯

2歳児の歯に、日々の生活ですぐに実践できるケア方法まとめ

2歳といえば、そろそろ乳歯が生え揃ってくるころです。この時期に、健康な歯を生涯保つためのケア習慣を身につけることが大切です。お子さんに将来の健康な歯をプレゼントしてあげるために、2歳児の親としてやっておくべきことをしっかりと理解しておきましょう。このタイミングで正しい配慮をするかしないかによって、その後の子どもの歯の状態が大きく左右されてしまいます。具体的にどのような点に注意したらよいのか、詳しく紹介していきます。

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この記事の目次

1.2歳の子どもの歯ってこんな状態

2歳 歯

乳歯がすべて生え揃う時期

個人差はありますが、生後6か月~9か月くらいから乳歯が生え始めます。最初に下の真ん中の2本から歯が生え、次に上の真ん中の2本と順番に生えてきて、2歳半から3歳にかけて奥歯を含めて乳歯20本が揃っていきます。
ただし、子どもによって生えてくる時期は異なるので、目安通りに生えていなかったとしても心配する必要はありません。

虫歯になりやすい時期

2歳くらいまでは、上の前歯の歯と歯の間や、歯と歯肉の境目が虫歯になりやすいので、特に念入りに歯みがきをしましょう。上の前歯は下の歯に比べて唾液で守られにくいうえに、歯みがきをする際にも見えにくいので虫歯になりやすいのです。

また、生えたばかりの歯というのはカルシウムによってまだ硬くなっていません。生え始めの歯は、虫歯になりやすいデリケートな状態であることも頭に入れておいてください。
2歳を過ぎると上下に奥歯が生えてきますが、奥歯は複雑な形をした溝が多く、食べかすが残りやすいうえに歯ブラシが届きにくく、磨き残しが多くなります。次章以降で紹介する、適切な口内ケアをかかさないように気をつけましょう。

2.噛む習慣をつけるタイミング

噛み合わせが完成するとき

正しい噛み方を学習することは、咀嚼機能の発達と食育に大変重要です。奥歯が生え始める2歳を過ぎてくると、上下の歯が噛み合い、乳歯列の噛み合わせが完成してきます。
そうなると食べ物を自力ですりつぶすことが可能になるので、ほとんどの食品を食べられるようになるでしょう。咀嚼する力もついてきて、大人に近い咀嚼リズムが身につくころでもあります。

噛みにくい食品はまだ控えて

大人と同じように硬い食べ物を上手に噛めるようになるのは、3歳を過ぎたころからです。上下の奥歯がきちんと生え揃う前に硬い食べ物を与えると、きちんと噛むことができずに丸のみする癖がついてしまう可能性があります。あるいは、硬いものを嫌いになるなど、偏食のきっかけになる恐れもあるので気をつけたいですね。
食べ物を丸のみする習慣が身についてしまうと、唾液があまり分泌されなくなり、お口の中の自浄作用が低下してしまいます。

上下の奥歯が生え揃ったら、それほど硬さはなく噛み応えはある、卵焼きやいも類、唐揚げ、コロッケ、魚肉ソーセージなどを与え始めましょう。こんにゃくやステーキ肉、たこ、いか、お餅といった噛みにくい食べ物は、3歳ころまで控えたほうが無難です。もしくは、調理法を工夫して噛みやすいやわらかさにしてあげましょう。

唾液をしっかり出せるようにしておく

食事中は食べ物をしっかりと噛むことで、唾液が分泌され消化が促されます。しかし近ごろでは、よく噛む習慣が身についていないために、水分を摂取しないと食事ができない子どもが増えているようです。そういった場合は、食事中にはあまり水分を飲ませず、食事が終わってから与えた方がよいでしょう。

楽しい食事でゆっくり噛む習慣を

2歳くらいは、咀嚼機能と食習慣を育むのに非常に大切な時期です。お母さんなどと一緒に楽しく食事をすると、唾液が分泌されて食べやすくなるので、よく噛んで味わう喜びを学ぶことができます。食事をゆっくりと楽しめる環境を作ってあげましょう。
旬の食材を工夫して調理し、いろいろな食感や味覚を経験させてあげてください。

3.正しいおやつの習慣をつけてあげる

おやつは回数と時間を決めて

1日に3回の食事と、1~2回のおやつは、毎日決まった時間に取るようにしましょう。生活リズムを整えておくことで、ダラダラと食べ続けることがなくなります。ちょこちょこと食べ物を口にしていると、歯が酸性に傾いている時間が長くなるので、歯を溶かしてしまう酸蝕(さんしょく)が起きやすくなるのです。
そのため、子どもが欲しがるたびにおやつを与えるのではなく、決まった時間におやつを食べる習慣が大切です。砂糖を多く含む清涼飲料水も同様です。

寝る前のおやつは控える

夜寝る前におやつを食べる子どもが増えているといいます。2歳児では30%が、夕食を食べ終えてから2時間以上たったあとに、夜食をとっているとの報告もありました。
これでは朝食を食べられなくなり、生活リズムが乱れてしまいます。夕食をすませたら歯みがきをして、寝る前には食べ物を与えないようにしましょう。

理想的なおやつの内容

手軽さから、スナックなどの菓子類をおやつとして子どもに与える親が増えているようです。これらは糖分が多く虫歯の原因となるので、あげ方には十分に注意してください。
おやつはお菓子である必要はありません。果物やいも類、野菜、おにぎり、サンドイッチなど、栄養価の高いものをおやつとして食べさせると、足りない栄養素を補うこともできます。

甘いものをあげるときには、口の中に残りにくいプリンやゼリーなどを選びましょう。お口の中で溶けるのに時間がかかるアメなどを食べさせるのであれば、キシリトールなど虫歯になりにくい甘味料を使ったものがおすすめです。
また、飲み物は清涼飲料水ではなく、水やお茶、牛乳にするとよいでしょう。おやつの適量には個人差がありますが、2歳児はだいたい100~150kcalを目安にしてください。

4.2歳児の歯を守る歯みがきの方法

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すみずみまで磨くコツ

親御さんの膝の上にお子さんの頭をのせた状態で寝かせてあげると、お口の中が見えやすくなります。小さめの歯ブラシをペンを持つように軽く握り、お子さんの唇をそっとめくりながら磨いていきましょう。特に虫歯になりやすい上の前歯は念入りに磨いてあげてください。

歯を磨く順番を決めておくと、磨き残しを減らすことができます。ただし、長い間じっとしていられないお子さんの場合、いつも同じ歯を磨き残してしまいかねません。その場合は、たまに逆の順番で磨くなどの工夫をしましょう。下の前歯は虫歯になる確率が低いので、一番最後で大丈夫です。
また、寝そべった姿で歯を磨くと歯みがき粉を飲み込みやすいので、むせてしまうのであれば無理に歯みがき粉を使う必要はありません。

歯みがきを嫌がる子どもには

イヤイヤ期にあたる2歳の子どもは、歯みがきも嫌がる傾向があります。歯みがきをしながら話しかけたり歌ったりして、楽しい時間にする工夫をしてみましょう。親御さんの真似をしたがる時期であることを利用して、一緒に歯を磨くのもおすすめです。

どうにか歯を磨こうと、親御さんが無意識に怖い顔をして力をいれてしまい、お子さんが余計に歯みがき嫌いになってしまうケースが多く見られます。嫌がるお子さんを無理に押さえつけてまで歯を磨くのは避けて、歯みがきが楽しいものだという方向にうまく誘導していきましょう。

歯ブラシの選び方

歯2本分程度の幅で毛が生えているような、小さめの歯ブラシが子どもには適しています。毛先が丸く加工してあるタイプだと、歯ぐきを傷つけずに磨きやすいでしょう。子どものお気に入りのキャラクターや色のものを選んであげると喜んでくれるはずです。

子どもは自分で歯ブラシを持ちたがるので、子ども用と仕上げ磨き用の2本を準備しておきましょう。子ども用は噛んでしまってもかまいません。また、仕上げ磨き用の歯ブラシは柄の部分が長いほうが持ちやすいのでおすすめです。

5.2歳児の親として知っておくべきこと

フッ素を塗り始めよう

奥歯が生えてくる2歳ころが、フッ素を塗り始めるベストタイミングです。フッ素には歯を固くする働きがあるので、まだやわらかい子どもの歯を丈夫にするために定期的にフッ素を塗ってあげましょう。歯医者さんで塗るだけでなく、フッ素配合の歯みがき粉を使うのもおすすめです。

ただし、フッ素を塗ったからといって虫歯ができないわけではありません。日ごろから正しい歯みがきや食生活を心がけることも重要です。

仕上げ磨きはまだまだ必要

2歳になると自分で歯を磨ける子も出てきますが、実際にはあまり汚れを落とせていません。虫歯になりやすい場所を重点的に、必ず仕上げ磨きをしてあげてください。
仕上げ磨きは小学校3年生くらいまで続けるのが理想です。

歯並びを悪くしないために

乳歯を虫歯で失うと、永久歯の生えるスペースが確保できなくなって歯並びが悪くなってしまうので、乳歯の虫歯予防はとても重要です。また、美しい歯並びには歯と顎のバランスが重要となるので、食事の際にはよく噛んで顎を十分に発達させましょう。

指しゃぶりや舌を突き出すクセ、口呼吸、頬づえ、うつぶせ寝も歯並びを悪くする原因となるので、できるだけ早く直しておきましょう。

6.まとめ

2歳児ならではの歯の特徴や、適したケア方法について紹介しました。健康な大人の歯を手に入れるためには、2歳くらいの時期にいかに正しいケアをして、習慣づけられるかがカギとなります。また、与えるおやつの種類や時間によっても、口内の状態には差が出てきます。

子どもの歯を虫歯から守り、歯にやさしい食生活を身につけさせるのは、親御さんの大切な役目のひとつです。この記事で紹介した内容をしっかりと頭に入れて、しっかりと実践していきましょう。

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監修医 飯田尚良先生

飯田歯科医院

院長

【経歴】
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る
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