この記事では、自宅や歯医者でできる子供の虫歯予防法と、できてしまった虫歯を放置するとどのようなリスクがあるのかについてご紹介していきます。ぜひ子供の口内ケアの参考にしてみてください。
この記事の目次
1.自宅で行える虫歯ケア
毎日のブラッシング
乳歯は永久歯にくらべて歯質が弱いので、虫歯になりやすい傾向があります。とくに生後19か月(1歳7カ月)から31カ月(2歳7カ月)は虫歯になりやすい時期といわれており、注意が必要です。そのため、 子供の虫歯予防のためには、大人同様に毎日のブラッシングが欠かせません。しかし、子供は自分一人では十分なブラッシングができないため、必ず大人が手助けをしてあげる必要があります。
子供が自分で磨いた後、親が仕上げ磨きをしてあげるのが理想です。前歯は歯ブラシを歯に対してななめ45度の角度で当てて磨き、奥歯は明るい場所で子供を膝の上で仰向けに寝かせて、丁寧に汚れをかき出すように磨きましょう。
また、とくに、寝る前のケアには注意が必要です。日中は唾液が虫歯菌を殺菌していますが、夜間は唾液の分泌が鈍くなっているため、食べかすが残っているとあっという間に虫歯になってしまいます。寝る前にものを食べさせないのはもちろんですが、ブラッシングを念入りに行ってください。
フッ素を使用する
フッ素には、歯質を強化し、歯の再石灰化を促す効果があるといわれています。歯磨き粉には、フッ素入りのものを利用するというのもひとつの方法でしょう。ただ、まだうがい ができない子供に関しては、飲んでもかまわない程度にフッ素濃度を抑えてある、低年齢向けの歯磨き粉を選択するようにしてください。
おやつの時間に気を配る
虫歯とは、歯が酸で溶かされる病気です。人間の口の中は通常はほぼ中性に保たれていますが、食物を摂取することで酸性に傾きます。この酸性になっている時間を、できるだけ少なくすることが虫歯予防にはかかせません。
たとえば、おやつをダラダラと食べ続けていると、口内は長い間酸性のままになってしまいますから、おやつは時間をしっかりと区切ってあげるようにします。また、糖分が多いおやつは、虫歯菌の格好の餌なのでくれぐれも取り過ぎは控えましょう。とはいえ、おやつには食事では足りない栄養を補うというメリットもあり、子供の成長のためには必要不可欠ですから、時間とメニューに配慮して与えるようにしてください。
キシリトールには、口内に全く酸を作らないという特性があります。それと合わせて、ガムを咀嚼することによって唾液が多く分泌され、さらにカルシウムレベルが上がることで再石灰化が促進されます。そのため、食後にキシリトールガムを食べることで、虫歯予防の効果が期待できるのです。
ただし、一日に20~30g以上摂取すると、大人でも下痢をおこすことがあり、子供はさらに注意が必要です。とはいえ、毎食後にキシリトールガムを一粒食べる程度ならば問題ないので、毎日の食生活の中に取り入れるのもよいでしょう。
2.歯医者さんで行える虫歯ケア
ブラッシング指導
いくら虫歯予防にブラッシングが効果的でも、正しく行っていなければ意味がありません。子供だけではなく、仕上げ磨きをしている親も同様です。自己流の歯磨きでは効果は半減してしまいますから、歯科のブラッシング指導などを利用して、正しい歯磨きを身につけるようにしましょう。
また、いくら正しく歯ブラシを動かしていても、そもそも使用している歯ブラシが子供に合っていなければ意味はありません。歯科では、子供の年齢に合った口腔ケア用品の紹介と販売も行っているので、一度相談してみることをおすすめします。
シーラント
食物をすり潰す奥歯には、裂溝(れっこう)というミゾがあります。このミゾの深さには生まれつきの個人差があり、深いほど食物のカスもたまりがちなので虫歯ができやすくなっています。
シーラントとは、虫歯ができる前に裂溝を特殊な物質で埋めて平らにする治療のことです。とくに最初に生える永久歯である6歳臼歯は虫歯になりやすく、シーラントによる虫歯予防をすすめる歯科は少なくありませんが、4~5歳の乳歯に対しても行われます。
フッ素塗布
フッ素は虫歯菌の活動を低下させます。ごく初期の小さい虫歯ならば、フッ素塗布と唾液で自然治癒させることも不可能ではありません。フッ素塗布にはいくつかの方法があるので、子供の年齢、永久歯の数などによって使い分けている歯科を選択するようにしましょう。
歯面塗布法
歯ブラシや綿棒、コットンなどで一本ずつ歯にフッ素を塗布していく方法です。乳歯が生え始めた1歳から行うことが可能です。
トレー法
マウスピースを用いて歯にフッ素を浸透させる方法。口にくわえたまま時間をおかなくてはならないため、小学生くらいから用いられます。
イオン導入法
フッ素を浸透させた綿やマウスピースを口にくわえさせ、微弱な電流をかける方法です。イオン化させることによってフッ素を歯に染み込ませます。マウスピースをくわえて行うため、小学生くらいから採用されます。
食事指導
食事もまた虫歯の大きな原因のひとつです。何をどのように食べるかによって、口内の健康は大きく左右されます。前述の通り、糖分が多いものをダラダラと食べ続けないことも大事ですが、十分な唾液には虫歯菌を死滅させる働きがあるため、よく噛んで唾液の分泌量を増やすことも忘れてはいけません。
歯質を強化するカルシウム、タンパク質、マグネシウム、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンCをバランス良く摂取することも大切です。なかなか素人では判断がつきかねるかもしれませんが、虫歯にならないための食事指導をしている歯科もあるので、相談してみてください。
定期検診
とくに乳歯にできた虫歯は進行がはやく、あっという間に悪化することが特徴です。この前まで虫歯ゼロだったのに気がついたら多数の虫歯におかされていた、という例もめずらしくありません。
ごく初期の虫歯ならば、削るなどの治療を行わずストレス少なく治すことも可能ですから、早期発見がキーポイントです。家庭では見逃しがちなサインも、歯科ならばチェックできます。定期検診を必ず受けるようにしましょう。
3.虫歯を放置するリスク
食事を嫌がる
虫歯は、放っておいて治るものではありません。最初は冷たいものがしみる程度だったものが、何もしていなくてもズキズキと痛むようになってきます。そうなると、もう食事どころではありません。成長期の子供が食事を嫌がると、身体の成長にもかかわります。虫歯ができてしまったら、必ず早期のうちに発見するようにしなくてはいけません。
歯並びが悪くなる
乳歯から永久歯へと生え変わる時期に、「どうせ抜けてしまう歯だから」と虫歯を放置してしまう方もいるかもしれません。しかし、乳歯の虫歯が永久歯に感染してしまい、生える前からボロボロとなってしまう可能性も考えられます。
あるいは、虫歯になった乳歯を早い段階で抜いてしまうと、本来生えるはずだったスペースにうまく歯が生えてこなくなり、歯並びが悪くなってしまうこともあります。
こうなると、審美的な問題はもちろん、滑舌が悪くなったり、咀嚼に影響が出て消化不良を起こしたりといった、さまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。
永久歯が虫歯になりやすい
乳歯にできた虫歯を、どうせ生え変わるからと放置しておくのは間違いです。虫歯が悪化すると歯根にまで膿が達し、それが残留してしまう可能性があります。そんな乳歯の後に生えてきた永久歯は、膿にある虫歯菌の影響を受け、とても虫歯になりやすいのです。永久歯の健康を守るためにも、虫歯は乳歯のうちにきちんと治療しておくことが大事です。
顔のバランスが崩れる
虫歯で食事をしにくい歯があると、どうしてもその反対側だけでものを噛む、片噛みの癖がついてしまいます。片噛みをしていると骨にかかる力が均一化されず、顔に歪みを生じやすくなります。とくに成長期の子供は、顔全体のバランスを崩すことにもなりかねません。
4.まとめ
このように、虫歯予防は子供の健やかな成長のために欠かせません。生涯にわたる健やかな口内環境を得るには、子供の時期をどう過ごしたかがキーポイントとなってくるのです。大人の歯と子供の歯は違う部分も多々ありますので、歯科への相談なども活用しながら、積極的に虫歯予防に取り組むことをおすすめします。