この記事の目次
1.赤ちゃんの歯ぎしりには原因がある
顎の成長のために必要
赤ちゃんは歯ぎしりをすることによって、顎の筋肉を鍛えていると考えられています。つまり、顎の成長のために歯ぎしりは欠かせないというわけです。
これから歯が生えてきて、噛み合わせも正常にできるようになるためには、顎がしっかりと発達していなければなりません。歯をすり合わせるのは、食べ物を上手に噛むための練習のようなものと捉えてもよいでしょう。
歯の位置を定めている
食べ物をしっかりと噛むためには、顎を上下左右に動かす必要があります。この動作を無理なく行い、顎の位置を調整するのに、歯ぎしりは役に立っています。赤ちゃんの下顎はまだ不安定な状態ですから、生えてくる歯や顎の位置を無意識に確かめているのです。
お口に違和感がある
赤ちゃんは、歯が生えてくる際、お口の中に一時的に違和感を覚えることがあります。そんなとき、なんだかお口の中がおかしい、と感じて歯ぎしりをするようです。特に、乳歯が生え揃う2歳~3歳あたりには、奥歯の噛み合わせがしっくりとこなくて歯ぎしりをすることが多くなるでしょう。
少しの出血は心配いらない
赤ちゃんが歯ぎしりをしていると、歯ぐきにうっすらと血がにじむ場合もあるかもしれません。少量の血がすぐに止まるようであれば、それほど心配する必要はないでしょう。
もし出血が長く続いたり、血が止まらないほど強い歯ぎしりをしたりする様子が見られたら、歯医者さんに相談してください。歯ぎしりが原因で出血するというのは、かなり強い力が長時間、歯や歯ぐきにかかっていると考えられます。癖にならないように、適切なアドバイスをもらいましょう。
赤ちゃんが歯ぎしりをするのは当たり前
赤ちゃんのほとんどは歯ぎしりをしています。音が小さくてほとんど聞こえないので、気づかない親御さんもいるでしょう。
しかし、顎の力が弱いので、乳歯のすり減りや痛みといった心配をともなうケースはめったにありません。起きているときに歯ぎしりをする赤ちゃんもいるほどです。
また、赤ちゃんはなんでもお口に入れてしまいますよね。それは、歯ぎしりと同様に、食事の際にうまく噛めるようにするための練習なのです。
2.赤ちゃんの歯ぎしりはいつからいつまで?
乳歯が生え始めるころから
赤ちゃんによって、歯ぎしりをし始めるタイミングはまちまちでです。赤ちゃんは下の歯が生えたあとに上の歯が生えてくるのが普通です。一般的には上下の歯が揃う2~3歳で、歯ぎしりが始まることが多いです。
乳歯が生え揃うまで続く
赤ちゃんの歯ぎしりは、乳歯が生え揃う6歳くらいまで続くと考えておきましょう。
あまりにも長く続くので親御さんとしては心配になるでしょうが、歯ぎしりは正常な成長のために欠かせないものです。ゆったりと構えて見守ってあげてください。
乳歯から永久歯に生え変わる時期にも
乳歯が生え揃うころに歯ぎしりはいったんおさまりますが、そのあと乳歯から永久歯に生え変わるタイミングで、再び歯ぎしりが起こることがあります。このタイミングの歯ぎしりは、永久歯が生える位置を調整しているというのが目的です。
1章で紹介したように、乳歯の時期の歯ぎしりは、ほとんど心配はいりません。永久歯の歯ぎしりの場合は、ストレスが原因であったりするので注意が必要ですが、赤ちゃんの歯ぎしりは成長の過程で自然にしているものだと認識しましょう。
3.噛み合わせの悪さだけは注意して
あきらかに噛み合わせが悪い場合は受診を
親御さんの目から見て、明らかに噛み合わせが悪いのではないかと心配な場合には、乳歯が生え揃う時期に歯医者さんに相談をしておくことをおすすめします。きちんと噛めていないのではないか、など普段から赤ちゃんのお口の様子をチェックしてあげてください。
赤ちゃんのころから噛み合わせがずれていると、歯並びや顎の成長に悪影響を及ぼす可能性があるためです。
乳歯時期に注意を要する噛み合わせ
以下のような噛み合わせの異常が見られる場合には注意しましょう。
●受け口
下顎の歯が上顎の歯よりも前に出ている状態です。しゃくれ顔やへの字口など顔の形にまで影響してきます。乳歯の時期には受け口気味になりやすく、永久歯に生え変わる際に自然に直ることも多いのですが、不安であれば一度歯医者さんで診てもらうとよいでしょう。
●噛んだときに前歯が噛み合わない
奥歯をしっかり噛み合わせても、上下の前歯がくっつかずに隙間が空いてしまう状態です。顎の形に生まれつき異常がある可能性もあります。
●噛み合わせのずれ
上下の歯の噛み合わせが横にずれている状態です。顎の骨が変形している可能性があるでしょう。歯だけでなく、顎の成長にも支障をきたすので歯医者さんに相談してください。
噛み合わせの悪さは早めに発見を
生えている歯が乳歯のみの時期は、矯正治療を始めるには早いですが、今後どのような歯並びになるのかを予測しておくことは大切です。
噛み合わせが悪いと、特に歯ぎしりをした場合に特定の歯だけに負担がかかってしまいます。歯のぐらつきや痛みを引き起こす恐れがあるので気をつけましょう。歯並びに関しても、定期的に検診を受けることをおすすめします。
4.乳歯が生え揃っても歯ぎしりが続く場合
歯医者さんに一度は相談を
赤ちゃんの歯ぎしりは、年齢とともに自然になくなっていくケースがほとんどです。心配するほどのことではありませんが、なかには乳歯のすり減りや歯の神経の炎症が気になるお子さんもいます。治療の必要はないのか、歯医者さんに一度見てもらいましょう。
また、顎に痛みがあるような様子が見られた場合にも歯医者さんへ連れていった方がよいでしょう。
乳歯はすり減りやすいもの
乳歯はもともと永久歯に比べてやわらかいので、歯ぎしりをするとすり減りやすいものです。とはいえ、多少すり減ったとしても問題はないので、あまり神経質になり過ぎる必要はありません。
ただし、乳歯のエナメル質や象牙質は永久歯の半分ほどの薄さです。すり減り具合が激しいと、菌が入り込んで虫歯になるリスクが高まるので注意はしなければなりません。
ストレスの可能性が考えられるとき
赤ちゃんや子どもも、大人のように精神的ストレスから歯ぎしりをすることがあります。
生活スタイルや環境が急激に変わるとストレスを感じる可能性があるので、睡眠リズムを乱さないように気をつけて、ゆっくりと寝かせられるようにしましょう。また、親子で適切なコミュニケーションがとれているかなど気にかけて、お子さんのストレスがたまらないように注意しましょう。
5.まとめ
記事内でお伝えしたように、赤ちゃんの歯ぎしりは心配しなくてもいいケースがほとんどです。赤ちゃんの歯ぎしりは大人と違って、成長する過程において欠かせないものだと理解しておきましょう。
かわいいお口からキリキリとした音が聞こえてくると不安になってしまうものですが、自然におさまるのを気長に待ちながら、穏やかな気持ちで見守ってあげてくださいね。
ただし、力が入りすぎていて、出血したり、歯がすり減ったりしていたら要注意です。その場合は、癖にならないよう、歯医者さんで一度アドバイスを受けるのがおすすめです。