この記事の目次
1.赤ちゃんが歯ぎしりする理由
歯が生えるスペースを準備する行為?
赤ちゃんの歯ぎしりには、次に生えてくる歯のスペースの確保と、噛み合わせのために顎の位置を決めるという目的があります。歯が生え始める6か月ごろから歯ぎしりは見られるようになりますが、これは異常な行為ではなく、適切なお口の成長のために必要なことなのです。寝ているときに限らず、起きているときにも歯ぎしりをすることがありますが、特に心配はいらないでしょう。
歯の使い方を覚える?
赤ちゃんは、歯をこすり合わせたり噛んだりと、歯ぎしりのような動きをしながら咀嚼の方法を覚えています。食べ物を砕いたりすりつぶしたりする動きを、歯ぎしりで練習しているのです。大人は無意識にしている咀嚼ですが、赤ちゃんにとっては覚えるべきことのひとつなのです。
また、歯の生え始め時期の赤ちゃんは、歯茎にむずがゆさを感じています。そのため、歯ぎしりをしてそのむずがゆさを緩和させているという意味もあります。赤ちゃんの歯ぎしりには、赤ちゃんならではの理由があったんですね。
歯が生えそろってくると歯ぎしりはなくなる
前述の通り、赤ちゃんが歯ぎしりをする理由は、歯や顎の位置を安定させるためだったり、咀嚼の練習をするためだったり、生え始めのむずがゆさを緩和させるためだったりします。そのため、成長に伴って、乳歯が生え揃ってくると、自然と歯ぎしりの頻度が減少していくのが普通です。
赤ちゃんの歯ぎしりはストレスとは関係ない?
やっぱり、歯ぎしりはストレスなのではないかと心配になる親御さんもいるかもしれません。これは、大人の歯ぎしりの原因がストレスであることが多いためです。
しかし、赤ちゃんの歯ぎしりは大人と違い、成長過程で必要なものです。ギシギシと大きな音を立てて歯ぎしりをしたとしても、やがて生え揃って落ち着けば歯ぎしりをしなくなります。それでももし心配であれば、歯医者さんに一度相談してみましょう。
2.赤ちゃんの歯ぎしりを予防する方法はある?
お口のマッサージで歯ぎしり予防を
赤ちゃんの歯ぎしりは、口周りの筋肉をほぐすマッサージでおさまることがあります。
・マッサージのやり方
ほっぺ、口周り、唇、唇の裏、ほっぺの裏、歯茎の順に、嫌がらない程度にやさしく指で押してマッサージしましょう。赤ちゃんの顔を見ながら、ときにはリズムを取ったりしつつ、軽く押していきます。
口周り以外でも、耳や首の後ろなどを軽く押すだけでもマッサージになります。血行が促進され、筋肉がほぐれる働きがあり、その結果、歯ぎしりがやわらぐことがあるのです。赤ちゃんとのスキンシップの一環として、口周りのマッサージを取り入れてみてください。
おもちゃで歯ぎしりを予防しよう
歯ぎしりで心配なのは、歯がこすれて削れてしまうことです。それを予防するために、「カミカミ」と噛むことのできるおもちゃを与えるのもおすすめです。
一般的に、「歯がため」などの名前で売られているおもちゃなら、赤ちゃんがお口に入れて噛んでも心配いりません。おしゃぶり、歯がため、ガラガラなど、お口に入れて遊ぶおもちゃを持たせて、歯がギシギシと擦れないように工夫をしましょう。
歯ぎしりは、左右にこすり合わせるような動作なので、子どもも大人も歯のためにはよくありません。「カミカミ」と噛むことのできるおもちゃであれば、左右にこすり合わせる動作から、上下に顎を動かす動作に変えられますので、顎の発達にもいいでしょう。
3.歯ぎしりを歯医者さんに相談した方がいい例
乳歯が生え揃ったのにおさまらない
乳歯が生え揃ったのに歯ぎしりがおさまらない場合は、一度歯医者さんに相談してもいいでしょう。1歳半には歯科検診を受けることができるので、その際に相談してもよいでしょう。中には歯茎や顎などが痛くなったり、炎症を起こしてしまったりする原因となる歯ぎしりもあるので、放っておかずに診てもらいましょう。また、胃液などが逆流する「胃食道逆流症」と診断されるケースもあります。
明らかに歯並びが悪い
見るからに歯並びが悪い場合は、それが原因で歯ぎしりが発生している可能性もゼロではありません。そのため、見た目に歯並びが悪い場合は、赤ちゃんでも歯医者さんに相談してみてください。
例えば、受け口、噛み合わせが明らかに合っていない、出っ歯、上顎と下顎の真ん中部分が大幅にずれているなどの場合は、歯医者さんを受診しましょう。
歯並びが悪い場合は、成長してからの虫歯や歯周病に繋がる可能性もあります。早めに歯医者さんに見せることで、これらのお口トラブルの予防にもなります。
定期検診はきちんと受けて
歯ぎしりに関しても、専門的な歯並びの異常に関しても、定期検診を受けていれば早期に発見して、治療や予防をすることができます。定期検診や歯科検診を必ず受けるようにすれば、「歯ぎしりが気になるんだけど…」と相談することも可能です。今後、歯列矯正などを検討する場合でも、早めの相談をすれば、的確に治療することが可能になります。
4.そもそも歯ぎしりは何が悪いの?
このまま歯ぎしりが続くとどうなる?
赤ちゃんの歯ぎしりは、基本的には乳歯が生え揃うころにはおさまってくるのが一般的です。しかし、中には永久歯に生え変わる小学生中学年くらいまで歯ぎしりが続くケースもあります。
歯ぎしりがなくなる時期に関しては、個人差があるのが基本です。しかし、歯ぎしりが大きくなってからも続く場合は、悪影響が出ることがあるのを認識しておきましょう。
・歯の寿命が縮む
歯をギシギシとこすり合わせると、歯が削れるだけでなく、歯の根元の方にまで負担がかかるので注意が必要です。普段食事をするときには、人は適度な力でものを噛み砕いて食べています。しかし、人が歯をこすり合わせる力は、ときに最大で200kgにもなり、就寝中は力の加減ができません。
もし、何年間も毎日歯ぎしりをしていれば、それだけダメージを蓄積している可能性があります。歯ぎしりのひどい人は、歯が割れるなどの悪影響もあるようなので、軽くみることはできません。
・肩こり、顎の関節が痛む
歯ぎしりをしているとき、人は自然と顎や肩に力が入ります。一瞬ではなく、数分間、数十分間と続く緊張になるため、起床後に肩こりを感じたり、顎の関節の痛みを感じることもあるようです。
悪化すれば、顎関節症になることもあるなど、歯ぎしりによる悪影響が別の病気を引き起こす恐れもあります。
・音が家族の睡眠を邪魔する
歯ぎしりをすると、ギシギシと音がすることがほとんどです。小さな音なら気づきませんが、中には驚くほどの音を立てるケースもあるのが歯ぎしりです。
家族と一緒に寝ていると、歯ぎしりの音が別の家族の睡眠を邪魔してしまう場合もあります。このように他人にまで弊害がおよぶこともあるのです。子どもの場合でも音の大きさが大人に劣らないケースがありますので、睡眠が阻害される場合には、歯ぎしりに対する対処を行ったほうがいいでしょう。
5.まとめ
基本的に、赤ちゃんの歯ぎしりについては、心配しなくても大丈夫です。歯医者さんに相談するケースとしては、乳歯が生え揃ったあとにも続く場合です。
子どもの場合は、永久歯に生え変わる際にも歯ぎしりをすることがあります。歯ぎしり自体は基本的には成長過程の一部ですが、長く続く場合や歯並びが悪い場合、その他の身体の不調が見受けられる場合などは、歯医者さんを受診して相談してみましょう。