生後6か月くらいたつと赤ちゃんの歯が生え始めるころです。そのあたりから歯みがきを始めたけれど、なかなかコツがつかめず上手くお子さんの歯みがきができないお父さんお母さんも多いのではないでしょうか。ですが、子どものころに歯みがきをおろそかにしてしまうと、虫歯の原因になったり、歯みがきの大切さをわからないまま育ってしまう可能性だってあります。
コラムを読んで、お子さんの歯に関してわからないことや不安なことがあれば、小児歯科の歯医者さんに相談してみましょう。
この記事では子どもの歯みがきに関していくつかコツを紹介していますので、これを読むことで子どもが歯みがきを泣いて嫌がることがなくなるかもしれません。お子さんの歯が健康に育つよう頑張ってみましょう。
この記事の目次
1.子どもは虫歯になりやすい
残念ながら、子どもの歯は、大人の歯と比較して虫歯になりやすい傾向にあります。虫歯のもととなるのが虫歯菌(ミュータンス菌)という細菌で、虫歯菌は食べ物や飲み物の中の糖から酸を作りだします。酸は歯の表面のエナメル質を溶かす働きがあるのですが、乳歯は大人の歯と比べるとエナメル質が薄いため、あっという間に虫歯が進行してしまうのです。
そのため歯みがき嫌いで口の中に磨き残しや汚れがあると虫歯になりやすくなります。特に奥歯は歯みがきがしづらく、歯ブラシが上手く届かないことでみがき残しが多い部分です。子どもの場合、歯もあごも小さいので見えにくいですが丁寧にやさしくみがいてあげてください。
乳歯のうちから歯みがきに慣れさせ、嫌がらせないことが子どもの虫歯予防に大切です。
2.歯みがき嫌いにしないための上手な磨き方
強い力で磨かない
子どもがブラッシングを嫌がってしまうと、親はあせって早くみがこうとするあまり、無意識に強くゴシゴシしてしまうことがあります。
大人の歯であっても強くゴシゴシしてしまうと歯や歯茎を傷つけやすくしてしまいます。ましてや子どもであれば、まだ成長途中の歯や歯茎にダメージがあるだけでなく「歯みがきは痛いもの」と思ってしまうかもしれません。
あせるのはやめて、できるだけやさしい力でみがきましょう。
怖い顔で磨かない
しっかり歯みがきをしなきゃいけないという責任感からお父さんお母さんが怖い顔になって磨いていないでしょうか。真面目な怖い顔をして磨くと逆効果で、中には大泣きしてしまう子もいます。子どもにも笑顔はちゃんと伝わります。笑顔で楽しく歯みがきをしてあげると、子どもも歯みがきが楽しいものだと思ってくれるかもしれません。
楽しくやさしい笑顔で子どものブラッシングをしてあげましょう。
歯みがきの大切さを伝える
子どもが歯みがきを「いやだ」「めんどくさい」などと感じて嫌いになるのは、ごく自然なことです。歯みがきはものすごく楽しいことなんだと無理に教えてもなかなか伝わらず、本当の意味で歯みがきの大切さを理解してはくれないかもしれません。かといって歯みがきの時間のたびにわが子を追い掛け回し、おさえつけて無理やり歯をみがかせるのも難しいでしょう。
そこで大切なのは、歯みがきをしないとどうなるのか、なぜ歯みがきをしないといけないのか、歯みがきの大切さを丁寧に伝えることがとても重要になってきます。子どものころの歯みがきを怠ると、虫歯になるだけでなく、将来生えてくる臼歯や歯並びまで悪影響を与えてしまう可能性があるのです。そのことをお子さんにわかりやすく丁寧に伝え、いかに今の時期の歯みがきが大切かを理解できるようにしましょう。
歯ブラシに気をつかう
子どもの口の中はまだ成長段階でとてもデリケートです。固い歯ブラシなど使わないように注意し、「〇歳児用」「〇か月用」など表記がしてある子ども専用の歯ブラシを選んでください。
また、違うものに興味をそらすことで歯みがきがうまくいくこともあります。例えば、歯ブラシの絵柄が戦隊ものだったり好きなキャラクターものだったりするだけでそちらに興味がわき、歯みがきをすることもあるので工夫してみてもよいかもしれません。
歯みがき粉に気をつかう
子ども用の歯みがき粉は「いちご味」「メロン味」など甘く味付けしてあるものが多く、その味で喜ぶ子もいます。
普通は2歳くらいまでにはうがいができるようになり、歯みがき粉を使うのは「うがいができるようになってから」で問題ありません。
以下に子どもの歯みがき粉選びのポイントを記しましたので参考にしてみてください。
~歯みがき粉選びの注意すべきポイント~
・研磨剤が入っていない
・発泡剤が入っていない
・刺激が少ない
子どもの歯はまだ柔らかくダメージを受けやすい状態なので、研磨剤などの歯を削る効果のある歯みがき粉は危険です。また発泡剤が入っている歯みがき粉は泡立ちがよく、その泡によってきちんと歯みがきができているか見えづらい場合があります。泡立ちがよいとしっかり磨けた気になってしまいますが、できれば発泡剤不使用のものを選びましょう。また、磨くとスースーするメントールなどの成分が入った歯みがき粉は刺激になり、歯みがき嫌いになる可能性があるので子どもにはおすすめできません。
歯ブラシの持ち方と動かし方に気をつかう
歯ブラシの持ち方は鉛筆を持つときのようにやさしくにぎるのが基本です。そうすることで、細かく動かすことができ、強い力も入らないので優しく磨けます。
また、歯ブラシの動かし方はできるだけ小さい幅で細かく優しく動かすことがコツです。あまり力を入れず、歯ブラシの毛先が軽く当たる程度で十分です。歯面に直角に歯ブラシを当てることで汚れをうまく取ることができます。ぜひやってみてくださいね。
こまめにお休みを入れる
歯ブラシをずっと口の中に入れられるのは子どもにとって苦しいことで、それを続けることで歯みがき嫌いになってしまう傾向があります。
お母さんやお父さんの「いっぺんに磨きたい」という気持ちもわかりますが、子どもを歯みがき嫌いにさせないためには「1本磨いたらお休み、1本磨いたらお休み」を繰り返してください。特に苦しい感覚がなければ子どももおとなしく歯みがきさせてくれるかもしれません。
慣れた姿勢で磨いてあげる
お父さんやお母さん的には寝かせてみがく方が口の中が見えてやりやすいと思いますが、普段からこの姿勢に慣れていない子だと嫌がることもあります。普段している姿勢で緊張させないように磨くことも大切です。
音楽を聞かせながら磨く
楽しんで歯みがきをさせる方法として、歯みがきに関する歌などのDVDやCDが市販されているのでそれを使ってみてはいかがでしょうか。音楽を聞かせながら一緒に歌ったりすると喜んで歯みがきすることがあります。何より子どもが楽しく嫌がらずに歯みがきできることが大切ですね。
歯みがきごっこをする
少し大きくなってきたら、子どもとお母さん両方で磨きあう、「歯みがきごっこ」という方法を使う手もあります。お母さんが子どもに自分の歯を磨いてもらい、終わったら「じゃあ、次は〇〇ちゃんの番ね」と歯みがきしてあげるのです。これなら親子のコミュニケーションをはかりつつ歯みがきも一緒にできます。
ぜひ試してみてください。
3.歯が生えてきたら定期的に検診へ
上に記したとおり、子どもは虫歯になりやすいものです。特に、歯みがきを嫌がる子は見えない部分に磨き残しがあって知らないうちに虫歯になってしまう可能性も否定できません。歯が生えてきたら定期的に歯医者さんに行き、虫歯はないか、歯みがきはうまくできているかなど検診してもらうことが大切です。
歯医者さんに行くことで歯の質を丈夫にしてくれて、虫歯を予防する「フッ素塗布」や生え始めの永久歯のミゾを樹脂素材でふさぐことで虫歯を防ぐ「シーラント」をしてもらえます。
4.どうしても歯みがきを嫌がる子のケア
上で記したことをやってみてもどうしても歯みがきを嫌がってしまう場合は、濡らしたガーゼでサッと歯を拭いたり、うがいをさせたりする方法もあります。
もちろんこれですべての食べかす、汚れがとれるわけではありませんが、口の中に物が入るという状況に慣れさせるという意味でもやった方がいいです。
うがいなどで汚れを流しつつ、歯みがきを嫌がらないよう引き続き工夫をしていきましょう。歯みがきをしたがらない子どもは、より虫歯になりやすい傾向があるため、定期的に歯医者さんに通わせてあげましょう。
5.まとめ
乳歯は磨き残しがあることですぐに虫歯になってしまいがちなのでなるべく丁寧に磨きたいものです。でも、あせって力任せにゴシゴシすることで子どもが「歯みがきが怖いもの」と認識してしまうのは困りますよね。この記事を見てコツをつかみ、やさしくあせらずに歯みがきをしてあげることが大切です。
ただ、子どもが歯みがきを嫌がるのは自然なことです。そんなお子さんには、子どものころの歯みがきがいかに大切かを丁寧に教えてあげることで、大人になったときに健康な歯を多く残せるように工夫してみましょう。
お子さんに歯が生え始めたら、ケアが必要になります。方法については、歯医者さんでならいましょう!ある程度の年齢になると保健所などで検診と合わせ指導をしてくれることもあるので、利用してみるといいかもしれません。