子どもの虫歯に!痛みがほとんどない虫歯治療・エアアブレーションとは?

子ども 虫歯 エアアブレーション

子どもの虫歯に!痛みがほとんどない虫歯治療・エアアブレーションとは?

子どもにとって、虫歯の治療はとっても嫌なもの。「キィーン!」と歯を削る音や、痛みなどなかなか慣れるのは難しいですよね。今回は、そんなイメージを覆す「エアアブレーション」を使った虫歯治療について紹介します。まだまだ一般に浸透していませんが、痛みが少なかったり、健康な歯を無駄に削る必要がなかったりと、すごく魅力的な治療法なんです。痛がりで怖がりなお子さんをお持ちの親御さんは要チェックです!

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※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。

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この記事の目次

1.エアアブレーションでの歯科治療とは?

ドリルを使わず、粒子を飛ばし虫歯だけを削る

エアアブレーションの虫歯治療とは、一般的なタービン(歯を削るドリルのような機械)を使わず、エアアブレーションという機械を使って虫歯を削るという治療法です。高圧で酸化アルミナという物質の小さな粒子を飛ばし、虫歯の部分だけを削ることができます。健康な歯の部分を極力削らずにすむので、歯が傷つかず、比較的痛みも少ないのがメリットです。
歯科治療を怖がる子どもが多いですが、このエアアブレーションなら、歯を削るタービンの音が鳴り響くこともなく、振動も少ないため、不快感を覚えずらいです。親御さんとしても不安なく治療を受けさせることができるでしょう。

エアアブレーションの歯科治療ができる虫歯の段階

エアアブレーションが使える治療段階は、初期の虫歯に限られます。また、表面に酸化アルミナの粒子を当てて削るので、歯の奥側や隙間など、入り組んだ場所にできた虫歯には使えません。エアアブレーションのノズルを入れ、粒子を当てることができる部分にのみ、この治療を施すことができます。

歯の被せ物は必要?

エアアブレーションで歯の表面を削ったあとは、少しザラザラとした質感が残ります。表面がザラザラしたままでは、歯垢や歯石が溜まりやすく、虫歯や歯周病の原因菌の住処になりかねません。エアアブレーションでの治療では、削る部分が少ないだけで、削っていることには変わりありません。そのため、エアアブレーションで削ったあとには、レジンを詰めるなど被せものをすることが必要になります。

料金は歯医者さんに必ず確認を

エアアブレーションを使った虫歯治療は保険適用となり、一般的な虫歯治療の料金内で治療ができることがあります。レントゲン撮影の方法や検査などの詳細によってトータルの治療費は変わりますが、一般的な初期の虫歯治療は約1,500円〜3,000円程度なので、エアアブレーションの場合も同じくらいの費用で受けられます。

ただし、エアアブレーションを使った治療は、通常の虫歯治療よりもはるかに時間と労力が必要になります。そのため、エアアブレーションを使った治療自体を自費治療として請求する歯医者さんも多いですから、全ての歯医者さんで保険適用の料金でエアアブレーションを使った治療が受けられるわけではありません。必ず事前に歯医者さんに料金を確認するようにしましょう。

2.エアアブレーション治療は初期治療がカギに

定期検診で初期虫歯の早期発見に

ごく初期の虫歯には、痛みがほとんどありません。そのため、子どもが歯の痛みを訴えることはほとんどなく、そのまま虫歯を進行させてしまいがちです。このような虫歯の特徴から、定期的に3か月~6か月に一度は、歯医者さんで検診を受けるようにした方がいいでしょう。定期検診を受ければ初期の虫歯が見つかりやすく、エアアブレーションで痛みの少ない、身体に負担のない治療を受けることができます。

初期虫歯なら、負担が少ないエアアブレーション治療が可能

子どもは歯医者さんを怖がることが多いですよね。ですが、エアアブレーションによる治療なら痛みもあまりなく、振動や音なども比較的小さいので、子どもの心理的負担を減らすことができます。
虫歯がある程度進行すると、治療の負担もそれだけ大きくなります。特に、歯をたくさん削るような治療は、痛みや音、振動などにトラウマを抱く原因となりかねません。その結果、「歯医者さんが怖い」「歯医者さんに行きたくない」などといい出すことが多いのです。
またその恐怖から、歯に違和感があるのに黙ってしまい、気づいたときには虫歯がかなり進行していた、という悪循環にもなりがちです。このような負の連鎖をなくすためにも、歯科治療をトラウマにさせないことが大切です。
初期虫歯の段階であれば、痛みの少ないエアアブレーションのような治療ですませることができます。だからこそ、虫歯が発症する前から定期健診を受けて、虫歯を早期発見することが大切になるのです。

3.初期っていつまで?虫歯の進行度合いと治療方法

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C0(要観察の歯)

この段階の歯は、エナメル質が白くなって虫歯になりかけている状態です。この段階では、穴が空く、痛む、しみるなどの症状はまだ見られません。身体の自己修復作用による再石灰化や、歯医者さんでのフッ素塗布などで治る可能性もあるため、基本的に治療で歯を削ることはありません。

C1(初期虫歯)

この段階ではまだ歯に痛みはありませんが、茶色や黒の小さな穴ができてきます。ほかの症状としては、冷たい飲食物がしみることがあるくらいです。この初期段階の虫歯では、虫歯の部分を取り除いて、その穴をふさぐという治療が行われます。このときに、虫歯の規模によっては、エアアブレーションを使用するケースもあるようです。

C2(進行した虫歯)

この段階までくると、虫歯菌が象牙質まで進行してきている状態です。象牙質は酸に弱いので、この段階に入ると急に進行が早まります。冷たい食べ物などで痛みを感じることも多くなり、子ども自身が痛みを訴えることも出てきます。C2の虫歯治療では、タービンなどで虫歯部分を削り、詰め物や被せ物などで穴をふさぐ治療が行われます。

C3(歯髄まで進行した虫歯)

歯の神経である歯髄まで虫歯が達したケースです。この段階までくると、強い痛みを感じるようになり、治療の際にも痛みがともないます。神経を抜く治療をすることもあるので、治療には時間がかかります。虫歯治療の方法としては、虫歯に侵された部分を削って、被せ物をすることで治していきます。

C4(歯質がなくなった虫歯)

この段階の歯は、虫歯によって溶かされてしまって、ほとんど残っていない状態です。神経が死んでいるので痛みはほとんどありませんが、膿が溜まるなどほかの症状が現れることも多いです。乳歯の場合は抜歯をしたり、永久歯が生えるまで補強をしたりして治療を行います。永久歯の場合は歯根にまだ健全な歯質が十分に残っていれば、神経の通り道の治療を確実に行った上で差し歯などの歯を補う治療を行えますが、虫歯が歯根にまでひどく及んでいれば抜歯せざるを得ない場合もあります。

4.その他の痛くない虫歯治療とは何が違う?

一般的な痛みのない虫歯治療

歯医者さんなどでは「痛みのない虫歯治療」をうたっているところがよくあります。この痛みのない治療の仕組みは、表面麻酔をしたり、極細の針を使ったりと、痛みを感じないような工夫をして行うものを指していいます。この「痛みのない虫歯治療」は、エアアブレーションを使った治療を示すものではありません。エアアブレーションはごく初期の、痛みが発生しにくい表面の虫歯治療に使われるものです。歯医者さんでみかける「痛みのない虫歯治療」と、エアアブレーションの「痛みが少ない」という言葉が示す意味がそもそも違うことを認識しましょう。

エアアブレーション以外にも?注目の虫歯治療とは

痛みの少ない治療をお探しなら、カリソルブ治療についても知っておきましょう。カリソルブ治療は、薬剤で虫歯部分を溶かして除去する治療法です。歯の表面の浅い部分にできた虫歯を溶かす治療ですので、初期の虫歯に適用されます。虫歯を除去する方式は違いますが、エアアブレーションのように削る部分が少ない治療法です。もともとが初期の虫歯に適用されるので、痛みも少なくすみます。子どもに痛い思いや、怖い思いをさせたくない親御さんは、このカリソルブ治療も選択肢に入れておきましょう。麻酔などを使わずにできるので、心身の負担も軽減できます。
ただし、痛みが少なくメリットのあるカリソルブですが、自由診療なので保険が適用されません。これがエアアブレーションと違うところです。1本あたり5,000円〜20,000円と、歯医者さんによって治療費に大きく差がある点には注意しましょう。

ただしこのような治療方法は全て治療の器具であったり、材料であるだけなので、正しくきちんと再発しにくい虫歯治療というものは、施術する歯医者さんの診断、経験、技術によるものが最も大切です。どのような虫歯にも当てはまるわけではありませんから、まずきちんとした診断とその説明を受けて、最も正しい治療の方法が選択されることが一番大切です。

5.まとめ

子ども 虫歯 エアアブレーション

昔は虫歯といえば削ることが主な治療でしたが、今では虫歯の進行に合わせて治療を変えられるようになりました。極力削らずに歯に負担のない治療法を選べば、生涯自分の歯でものを食べられる可能性が高まります。今回紹介したエアアブレーションは、初期の虫歯にしか使えません。日ごろから定期検診を子どもに受けさせれば、怖い思いをさせずにすみますので、ぜひ積極的に虫歯のチェックをするようにしてください。

また、新しい治療法はテレビや雑誌で紹介され、良いところばかりに焦点が当てられがちです。これまでにも数多くの新治療法や器具が登場しましたが、もちろんデメリットもあり、衰退してきたものもたくさんあります。歯の健康のためには、日頃からのきちんとした生活習慣と、しっかりとした歯医者さんの技術が一番重要です。皆さんも、定期的に歯医者さんに通い、きちんとした治療方法の説明と適切な診断を受けることを大切にしましょう。

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      監修医 遠藤三樹夫先生

      遠藤歯科クリニック

      院長

      【経歴】
      1983年大阪大学歯学部 卒業
      1983年大阪大学歯科口腔外科第一講座 入局
      1985年大阪逓信病院(現 NTT西日本大阪病院)歯科 勤務
      1988年遠藤歯科クリニック 開業
      現在に至る
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