永久歯はまだ?4歳の歯で知っておきたいポイントと注意点

4歳 歯

永久歯はまだ?4歳の歯で知っておきたいポイントと注意点

赤ちゃんだったわが子も時の流れとともにすくすくと成長し、4歳のお誕生日を迎えるころには、ひと通りいろいろなことができるようになります。それと同時に、お口の中でも発育・成長は進み、乳歯がひと通り生えそろい、歯肉内では永久歯への生えかわりの準備が着実に整う時期です。

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4歳を迎えるこの時期の歯で知っておきたいこと、また注意したいポイントをまとめてみました。

この記事の目次

1.4歳の歯はこんな状態

4歳 歯

乳歯が20本生えそろう

歯の生える時期には個人差がありますが、2歳〜3歳ごろには乳歯が生えそろう子がほとんどで、4歳では右上5本、右下5本、左上5本、左下5本の合わせて20本の乳歯が生えそろった状態の子が多くなります。ある程度固いものも噛んで食べられるようになり、味つけなどには工夫が必要なものの、大人とほぼ同じ内容の食事を楽しめるようになります。

4歳で乳歯がグラつくのは早い!?

4歳ごろになると早い子では乳歯がグラつき始める子も、少数ではありますが存在します。そして、周囲の子のそのような様子を目にすると、わが子の乳歯が抜ける気配がないことを不安に思う親御さんも多いようです。

しかし、乳歯が永久歯に生えかわる時期は、だいたい6歳前後が目安です。4歳で乳歯が抜けるのは、特別早いケースといえそうです。何より、歯の生えかわり時期には大きな個人差があります。他の子と比べていたずらに焦りを感じることなく、今ある歯を大切に機が熟すのをゆったりと待ちましょう。

見えなくても生えかわり準備は進行

表面上、目に見える変化はなくとも、骨の中では着々と永久歯への生えかわりが進行しているのが、4歳の歯の状態です。そもそも、永久歯はまだ乳歯が生えそろう前の赤ちゃん期から、骨の中では着実に作られ始めています。4歳を迎えるころになると、前歯では乳歯の下に永久歯が形成され、生えかわりに備えて、乳歯の根の吸収が始まるのです。歯肉に埋まった根っこの部分がなくなった乳歯は、最終的には抜け落ちていきます。

2.4歳の歯で気をつけたい注意点とは?

お菓子大好き!4歳は虫歯の要注意時期

家庭内で甘いお菓子を禁止していたとしても、4歳ともなると、お友達との付き合いや園行事などで口にする機会が多くなってきます。そんな4歳は、虫歯の要注意時期といえます。この時期に虫歯ができてしまうと、永久歯への悪影響もおよぼす恐れもあります。

歯医者さんで、虫歯のチェックやクリーニング、フッ素塗布などの有効な対策をしてもらい始めるにも良い時期でしょう。

歯磨き習慣を再確認

赤ちゃんのころからスタートした歯みがき習慣は、4歳の今、しっかりと継続できているでしょうか。このころは、乳歯が永久歯に生えかわる直前の、お口の要注意時期でもあります。自我が芽生えてきて、大人の真似を好むようになってくるこの時期特有の習性も利用して、家族で正しい歯みがき習慣を見直してみましょう。

水分補給は糖分を含まない飲料で

甘いミルクや母乳からの移行が上手くいかず、水分補給を甘い飲料に頼る子が、4歳くらいのこの時期には多く見られます。イオン飲料(スポーツ飲料)なら良いと思い込んでいる親御さんも多いようですが、糖分を多量に含むという点では、イオン飲料もジュースと同様に虫歯の原因になります。水分補給は糖分を含まないお茶や水で行うように心がけましょう。

仕上げ磨きはまだまだ必要!

入園して徐々に生活習慣が整ってくると、「そろそろ歯みがきも自分で」とも思われがちです。とはいえ、まだまだ仕上げ磨きは必要です。芽生えてきた自尊心を傷つけないように、上手に声がけして、きちんと仕上げ磨きを行うように習慣づけましょう。できれば永久歯が定着する小学校低学年の間は、仕上げ磨きを継続してあげるのが理想です。

乳歯の虫歯、放置は厳禁!

「どうせそのうち生え変わる歯だから」と、この時期の虫歯を治療せずほったらかしにするケースがあるようです。ところが、これは大間違いです。この時期に口の中に入った虫歯菌が多ければ多いほど、将来虫歯になるリスクが高まると言われています。虫歯を放置することで口腔内の環境が悪化し、生えてくる永久歯まで虫歯にしてしまうのです。

もちろん、幼いことから歯医者さんに慣れず、治療が難しいようなケースもあるでしょう。しかし、高濃度フッ素塗布などの処置で虫歯の進行を食い止め、経過を観察してもらうことは可能です。乳歯のこの時期にも、歯科医院への通院は欠かせないのです。
また、乳歯が虫歯になることで、将来生えてくる永久歯の歯並びにも影響が出ることもあります。虫歯になった乳歯が、自然な生えかわり時期より早く抜けてしまうと、周りの歯が徐々に空いたスペースに倒れてきます。永久歯が生えるころには、確保されていたはずのスペースが十分に確保できず、生える位置がずれたり、おかしな向きに生えたりといったことが起こるのです。乳歯の虫歯も放置することなく、きちんと早期ケアを心がけましょう。

よく噛む習慣が良い歯を作る

まだ噛む力が十分でない4歳くらいの子どもでは、固いものを嫌がったり、好き嫌いをしたりということもよくあります。だからといって、子どもが好むやわらかいものばかりを食べさせていたのでは、歯を支える筋肉は育ちません。よく噛むことであごが鍛えられ、あごの骨を広げる作用が見込めます。これにより、歯が生えるために十分なスペースが確保され、生えてくる歯がよい歯並びに整うのです。適度に固い食べ物も取り入れて、よく噛む習慣をつけさせましょう。

進行の早い乳歯の虫歯は早めに処置を

この時期に発生する乳歯の虫歯は、進行が早いのが特徴です。乳歯は、歯の表面を覆うエナメル質が永久歯より薄いためです。そのため、虫歯によって歯が溶かされると、中の神経にまですぐに到達してしまいます。
子どもは痛覚が未発達なこともあり、歯の痛みに気づきづらいこともあります。親御さんが都度気にかけてあげて、違和感を覚えたら、早めに歯医者さんを受診させてあげましょう。早めに適切な処置を受けることで、歯を削らずに治せる可能性が高まります。

3.4歳の歯におすすめの虫歯治療は?

サホライド塗布

フッ素と銀が入ったフッ化ジアンミン銀である、「サホライド」を患部に塗布して虫歯の進行を止める方法です。虫歯の部分に銀が付着して黒くなるのが特徴です。この方法で処置をしても100%虫歯の進行を食い止められるとはいえません。そのため、3ヶ月おきなど、定期的に経過を観察することが必要です。

高濃度フッ素塗布

デュラファットなどの高濃度フッ素を、虫歯の部分にピンポイントで塗布する治療法です。歯の表面が溶け始めた、ごく初期の虫歯で効果があります。高濃度のフッ素は歯医者さんでしか塗布してもらえないので、自宅ケアと合わせて定期的に歯医者さんに通うことをおすすめします。

ロンドフレックス治療

エアアブレーションでノズルの先から高圧により粒子を飛ばし、患部に吹きつけることで虫歯を削る治療法です。ドリルに比べると一度に削れる範囲が小さいので、ごく初期の虫歯に適しています。また、痛みが少ないのも特徴で、どうしても痛いのがいやだ!というお子さんのため、一度歯医者さんで相談してみてはいかがでしょうか。ただ、まだまだエアアブレーションの機器を導入している歯医者さんは少なく、こういった比較的めずらしい治療法を試す際は、きちんと実績のある歯医者さんを見極めるのが大切です。

カリソルブ治療

「次亜塩素酸ナトリウム」「アミノ酸」といった薬剤を虫歯の部分に塗布して、患部を溶かす治療法です。健康な歯質を損なうことなく、効果的に虫歯を治療することができます。こちらは歯を削ること自体しないので、痛みを感じる可能性がかなり少ないです。歯医者さん=痛いというイメージがついてしまっているお子さんの治療に試してみるといいかもしれません。

4.まとめ

4歳 歯

4歳のお口は、乳歯が生えそろい、その下ではまだ目に見えない永久歯が、着々と生えかわりの準備を進めている時期です。また、お菓子やジューズに触れる機会が増えて、虫歯が発生しやすくなってくる時期でもあります。この時期に正しいケアを行うことで、将来的に虫歯や歯並びが乱れるリスクを低くできます。ちょうど自我も芽生えてきて、親御さんの真似をするのが楽しい時期です。お子さんと一緒に、遊びの延長で歯みがきの習慣をしっかりと身につけさせてあげましょう。

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監修医 飯田尚良先生

飯田歯科医院

院長

【経歴】
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る
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