出産中に歯痛は避けたい!妊婦が歯医者に行くべき時期

妊婦 歯医者 時期

出産中に歯痛は避けたい!妊婦が歯医者に行くべき時期

妊娠が発覚してから、「あ!歯医者に行っておかなきゃ」と思い立った人もいるかもしれません。しかし、妊娠中は体調の変化が激しい時期です。そんなタイミングでは、具合の悪さで歯の治療どころではないでしょう。

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この記事では、妊娠中に歯医者さんに行っても大丈夫なのか、妊婦が歯医者さんに行くおすすめ時期、妊娠中に治療を終わらせるべき理由や妊婦さんが虫歯になりやすい理由、事前に知っておくべきことなどを紹介します。歯医者さんに通い始めるタイミングの目安にしてみてくださいね。

この記事の目次

1.妊婦さんが治療を行える時期

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安定期がおすすめ

基本的に、妊娠中に歯医者さんで治療をしてはいけない時期というのはありません。しかし、妊娠初期はつわりなど体調の変化が激しい人もいます。お腹の赤ちゃんとお母さんの状態が安定する安定期(妊娠5か月~8か月くらい)であれば、ほとんどの人にとって問題はないと思われます。

虫歯や歯周病の治療など気になるものは、この時期に入ってから治療をしたほうがよいでしょう。もちろん、虫歯の痛みがひどくなってきた、腫れてきたなど緊急に治療したほうがよい場合は、いつの時期でも歯医者さんにかかるようにしてくださいね。

安定期は基本的にどのような治療も行えますが、産婦人科から特別な指示を受けている場合には、きちんと歯医者さんに伝えるようにしましょう。それによりトラブルなく治療を受けることができます。

妊娠初期や後期は軽めの治療を

お母さんの体の状態などにもよりますが、妊娠初期(妊娠1か月~5か月くらい)はつわりがあり、歯みがきをするだけで吐き気をもよおしてしまうお母さんもいます。治療器具をお口の中に入れられることで吐き気をもよおす人もいるので無理は禁物です。また、妊娠2か月~3か月ごろはとても流産しやすい時期なので、緊張を感じたり長い治療を行ったりことはおすすめできません。

妊娠後期(妊娠8か月~10か月くらい)も問題なく治療を受けられますが、人によっては治療台に寝かされることでお腹が張ってしまい、辛いと感じるお母さんもいます。

また、臨月に入っていて治療中に陣痛などが来たら大変なので、万が一のために臨月の間は治療を控えたほうがよいかもしれません。急な虫歯の腫れや痛みが出た場合は別ですが、なるべくなら出産を終えたあとに治療を再開することをおすすめします。

2.妊娠中に治療を終わらせるべき3つの理由

いざ分娩のときに痛みが出ても治療が出来ない

陣痛がきてこれから分娩となったときに、虫歯が痛みだす可能性もゼロではありません。しかし、もし分娩中に虫歯の痛みが出ても、その治療は後回しになる可能性が高いです。つまりその状態で出産しなくてはいけません。出産中は力むため、歯を噛みしめる必要があります。そのとき、妊婦さんにはお産の痛みだけでなく、虫歯の痛みも加わることになるのです。考えたたけでも恐ろしいですよね。痛みが倍増しないように、治療はそれまでに終わらせておきましょう。

出産したあとは歯医者さんに通う時間がない

赤ちゃんが生まれれば歯医者さんに通う時間ができると思っている人が多いですが、現実にはなかなか難しいと思った方がよいでしょう。数時間ごとの授乳や寝かしつけ、家事などに加え、役所への届け、お祝いのお返し選びなど、赤ちゃんを預かってもらえる人がそばにいなければなかなか歯医者さんに通うこともままなりません。人にもよりますが、3か月から1年くらいは忙しい日々が続くでしょう。
治療が後回しになり、さらに虫歯が進行してしまわないように、出産前に治療を終わらせておくことが大切なのです。

虫歯菌を赤ちゃんにうつしてしまう

お母さんお父さんやまわりの家族に虫歯や歯周病がある人はいませんか?生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中に虫歯菌はいません。それなのに、まわりの家族が虫歯や歯周病などが治っていない状態で、赤ちゃんとキスや口移しなどをすると菌がうつってしまいます。

唾液から感染することが多いので、お子さんのことを思えば、出産前に虫歯などはすべて治しておくべきです。もちろん、お母さんだけでなく、お父さんやおじいちゃんおばあちゃん、兄弟なども含めて歯医者さんに通い、処置をほどこしておきましょう。

3.妊婦さんが虫歯になりやすい3つの理由

ホルモンバランス

普通であれば、唾液が分泌されることでお口の中の汚れを流す働きがあります。しかし妊娠している時期は、ホルモンのバランスが崩れ唾液が粘りやすくなるため、食べかすが残りやすくなります。それによりお口の中が酸性に偏って、細菌が増えやすくなってしまうのです。

つわり

妊娠初期のころはつわりの影響で胃酸が逆流し、お口の中が酸性に偏りがちになるため、歯が溶けだしやすい口内環境になってしまいます。

全員がそうではありませんが、お母さんの中にはつわりで歯ブラシを口の中に入れるのも気持ち悪いという人もいるのです。そういう理由も手伝って、なかなか歯みがきをきちんとできなくなることも、虫歯になりやすい理由のひとつです。

免疫力が下がる

妊娠している最中はホルモンバランスが崩れやすくなり、免疫力が落ちてしまうことがあります。免疫力の低下は、口内環境にも影響します。その結果、虫歯菌などの細菌が増えやすくなってしまうのです。

4.歯医者さんに行く前に知っておくべきこと

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赤ちゃんにレントゲンは影響ないか

歯医者さんの場合、レントゲンを撮るのは顔やあごの部分のみなので、お腹にX線が当たるということは考えづらいです。念のため、防護エプロンでお腹を隠して撮影すれば問題ないとされています。

もし不安なようであれば、「デジタルレントゲン」というものを導入している歯医者さんもあります。これは普通のレントゲンの約10分の1の線量で撮影出来る機材ですので、歯医者に行く前にあつかっているか調べてみましょう。

お腹が張って苦しくないか

歯医者さんによっても違いはありますが、お母さんのお腹の張り方によりイスの倒す角度を加減するため、苦しくなりづらい姿勢をとらせてもらえるはずです。

もし不安であれば、妊婦の歯科治療を積極的にしている歯医者さんを選ぶようにしましょう。ホームページの情報や口コミなどを参考にして、より配慮が行き届いた歯医者さんを探してみてくださいね。

麻酔をしても大丈夫か

歯医者さんの麻酔は、歯茎のみに効く局所麻酔というものです。麻酔自体も無痛分娩などに使われる麻酔ですので、赤ちゃんに影響することはほとんどないでしょう。気になる場合は、事前に歯医者さんにしっかり確認するようにしましょう。

親知らずの抜歯やインプラントはできるか

親知らずを抜くと、はれや痛みが大きいこともあり、抗生物質を長く飲むことが多いです。また、インプラントや歯周病がひどくなったときの外科手術なども、場合によってははれや痛みをともなうこともあります。その場合でも、抗生物質を飲む可能性があるのです。

抗生物質は、安全性が証明されているものもありますが、中には赤ちゃんへの安全性が証明されていないものもあります。歯医者さんにきちんと「妊娠している」と伝えておかないと、処方されてしまう可能性があるので気をつけましょう。抗生物質の中には、骨や歯の発育をさまたげるものもあるので注意が必要です。

抜歯やインプラントなどは急ぎでないようなら、妊娠前、もしくは赤ちゃんへの授乳が終わったあとに行ったほうが無難でしょう。

5.まとめ

あまり知られていませんが、妊婦は虫歯になりやすいです。もし今まで何もなかったとしても、定期的に歯医者さんへ行くことをおすすめします。その際には必ず、医師やスタッフに妊娠していることを伝えるようにしましょう。妊娠初期はお腹が大きくないので、医師やスタッフも気づきづらいものです。

無理はしないようにすることも大切で、もし治療中に気持ち悪くなったとしたら、すぐ医師にいうべきです。歯医者さんに行く前に具合が悪くなった場合も、「直前でキャンセルを入れるのは悪いから…」と無理して行くのはおすすめできません。体調のよいときに治療を行えるように予約を取りなおしましょう。

妊婦さんの虫歯治療を積極的に受けつけている歯医者さんの中には、かかりつけの産婦人科の電話番号を前もって確認をして、何かあったら電話してくれるところもあります。治療にストレスを受けず、緊急時に適切な対応をしてくれる、妊婦さんに配慮のある歯医者さんを選ぶことが大切です。

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監修医 飯田尚良先生

飯田歯科医院

院長

【経歴】
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る
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