歯みがきだけじゃダメ!子どもにもデンタルフロスは不可欠

子ども 歯みがき デンタルフロス

歯みがきだけじゃダメ!子どもにもデンタルフロスは不可欠

歯と歯の間に入りこんだ歯垢を細い糸でかき出すデンタルフロスは、大人だけが使うものではありません。ぜひ、子どもの歯にもデンタルフロスを使っていただきたいのです。日常の歯みがきだけでは、虫歯の原因となる歯垢などをすみずみまで取り除くことはできません。虫歯をしっかり予防するために、子どものころからデンタルフロスの習慣を身につけさせましょう。日本でデンタルフロスを使っている人はまだまだ少ないですが、大切な歯を守るためには欠かせないアイテムなのです。

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この記事の目次

1.子どもの歯にデンタルフロスが必要な理由

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歯と歯の間は虫歯になりやすい

虫歯が多くできるのは歯と歯の間です。
歯ブラシでは歯の表面についた汚れを落とすことができますが、歯と歯の隙間にある汚れや歯垢まではどうがんばってもきれいに取り除くことはできません。そのため、歯ブラシしか使っていないとどうしても虫歯や歯周病になりやすくなってしまうのです。
歯ブラシだけでは取りきれない汚れは、デンタルフロスを使ってすっきりと落としてあげましょう。

歯と歯の間に隙間がなくなってくる

6歳くらいになると永久歯が生えてきます。乳歯だけのころは歯と歯の間に隙間ができていますが、永久歯に生え変わってくると歯と歯の隙間がつまってくるのがわかるでしょう。
隙間があるうちは歯ブラシだけでも汚れを落とすことはできますが、隙間がなくなってきたら歯ブラシの毛先は届かなくなるので、デンタルフロスを使って磨き残しのないようにしなければならないのです。

デンタルフロスの習慣をつけておく

デンタルフロスの使用は、慣れるまでに時間がかかるでしょう。しかし、子どものころからあたり前のようにデンタルフロスを使っていれば、大人になっても自然と続けることができるはずです。
虫歯や歯周病を将来にわたって予防するためにも、デンタルフロスを使う習慣をつけてあげてください。

2.デンタルフロスの働き

デンタルフロスとは

デンタルフロスとは、歯と歯の間に溜まった歯垢をとるための口腔衛生用品のこと。弾力のある細いナイロンの繊維をより合わせて作られているので、歯と歯の間にべったりとついている歯垢をからめ取りやすくなっています。
つまようじのように歯の間にはさまった食べかすを取るというよりも、歯垢をとるのに必要な道具です。
歯間ブラシと間違えやすいのですが、こちらは歯間がある程度広くないとブラシが入らなかったりします。また、ブリッジ治療をしている場合は、デンタルフロスを通すことができません。これらの場合は、歯間ブラシの方を使うようにしましょう。

歯垢を除去して虫歯予防に

歯ブラシしか使わないと歯垢は60%ほどしか除去できません。ところが、歯ブラシのあとにデンタルフロスを使うと90%近い歯垢を取り除けるといわれているのです。
虫歯を予防するには、どれだけ歯垢をしっかりと落とせるかがポイントとなります。そのためにはデンタルフロスが欠かせないことがおわかりいただけるでしょう。

口臭も防げる

磨き残した歯垢は、口臭の原因にもなります。歯みがきをしっかりしているはずなのに、お子さんのお口のにおいが気になる場合には、歯と歯の間の歯垢を落とせていないからかもしれません。
デンタルフロスで歯の隙間についている歯垢をきれいに落とせば、口臭が減らせる可能性があります。

虫歯を早期発見できる

デンタルフロスを毎日のように使っていると、虫歯ができたときに使い心地や感触の違和感に気づけるようになります。
糸がひっかかる感じがする、ほつれやすい、歯がザラザラしているといった変化を感じたら、虫歯や歯石があると考えてよいでしょう。

3.デンタルフロスの正しい使い方

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デンタルフロスの種類

デンタルフロスには2つの種類があります。必要な長さの糸を出して指で操りながら使う「糸巻きタイプ」と、糸があらかじめホルダーについている「ホルダータイプ」です。どちらでも自分の使いやすいものを選びましょう。初心者でしたらホルダータイプのほうが扱いやすいかもしれません。

糸巻きタイプの使い方

糸を30cm~40cmくらいの長さに切ってから、両手の中指にくるくると2回~3回巻きつけます。糸をピンと張った状態にして、歯と歯の間にゆっくりと入れていきます。このときに、のこぎりをひくように小さく動かしましょう。歯と歯がくっついている部分はスムーズに入らないですが、あまり力を入れないように気をつけてください。
そうして両サイドの歯の表面に糸をあてながら上下に2回~3回動かして歯垢を取り除いていきます。糸を抜くときも、ゆっくりと細かく動かしながら取っていきましょう。別の場所を掃除する場合には、糸が汚れていないところを使います。

ホルダータイプの使い方

使い方は糸巻きタイプとほぼ同じです。ホルダーについている糸を小さく動かしながら歯と歯の間に入れていき、歯の表面を上下に2回~3回こすりながら歯垢を落としましょう。
ホルダーの形がそれぞれ異なるので、お子さまのお口に合うサイズで親御さんが使いやすいものを選んでください。形によって前歯に使いやすいものと、奥歯に使いやすいものがあるので歯によって使い分けてもよいでしょう。

正しい使い方は指導を受けるとよい

デンタルフロスを使ったことがないと、使い方がいまいちわからなくても当然です。また、ご自分の歯に使うのとお子さまの歯に使うのでは感覚が違うので戸惑うこともあるでしょう。
実際にどのようにしてデンタルフロスでケアをしたらいいのか、歯医者さんでやり方を教えてもらうことをおすすめします。

1日1回の使用が理想

1日1回、仕上げ磨きのときにデンタルフロスで歯垢をしっかりと落とすのが理想です。多忙で時間がない場合でも、少なくとも1週間に2回は、歯と歯の間の歯垢を取り除いてあげましょう。
通常の歯みがきをしたあとに、デンタルフロスを使います。歯垢を除去するのが目的ですから、見た目で食べかすなどがつまっていないときでも、きちんとデンタルフロスを使ってくださいね。

4.子どもにデンタルフロスを使う際の注意点

痛い思いをさせないように

子どもの歯肉はやわらかいので、デンタルフロスの糸が深く入り込んで傷つけてしまわないように、力加減には十分に注意しましょう。
痛みを感じると、子どもはデンタルフロスを嫌がるようになってしまいます。あまり無理をしすぎないことも大切です。

子ども用のデンタルフロスを使う

大人向けのデンタルフロスだとサイズが大きいので、子どもの小さなお口には適していません。子ども用のサイズのものが販売されていますから、探してみるとよいでしょう。
糸巻きタイプでも慣れればきれいに歯垢を落とすことができますが、幼いお子さんには、片手でできるホルダータイプのほうが使いやすいかもしれません。

第二乳臼歯が生えてきたら、使い始めのサイン

最初の奥歯である第一乳臼歯が生えたばかりのころは、歯ブラシケアだけでもかまいません。ですが、その手前の第二乳臼歯が生えてくると、第一乳臼歯との間に歯垢や食べかすが溜まりやすくなります。
歯医者さんにも相談しながら、このあたりの時期からデンタルフロスの使用を検討してみましょう。

ひとりでできるようになったら

小学校4年生くらいになると、ひとりでデンタルフロスをできるようになってきます。ホルダータイプで前歯だけでも、やらせてみてもよいでしょう。
ただし、ひとりでできるようになっても任せきりにせずに、しばらくは仕上げもしてあげてください。

5.まとめ

歯ブラシだけでがんばって虫歯予防をしているつもりでも、歯と歯の間までは毛先が届いていません。どうしても磨き残してしまうので、歯と歯の間から虫歯になりやすいのです。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスを使って歯垢をしっかりと落としきってください。
はじめは大変に感じるかもしれませんが、慣れてしまえばどうってことはありません。デンタルフロスを使ったケアは当たり前であることを、お子さんに教えてあげましょう。

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監修医 飯田尚良先生

飯田歯科医院

院長

【経歴】
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る
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