赤ちゃんの歯茎にも腫れや出血がおこる?歯肉炎の対処法とは

赤ちゃん 歯肉炎

赤ちゃんの歯茎にも腫れや出血がおこる?歯肉炎の対処法とは

赤ちゃんの歯をみがいているときに、出血したり歯茎が腫れていないかチェックしてみましょう。このような症状がみられる場合には歯肉炎になっている可能性が高いといえます。歯肉炎というと大人に起こるイメージが大きいかもしれませんが、歯肉炎は乳児や幼児にもみられる病気です。そこで、赤ちゃんにも起こり得る歯肉炎について詳しく解説します。なにが原因で発症しているのかを正しく見極めて、適切な対処や治療を受けられるようにしましょう。

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この記事の目次

1.乳児や幼児にも起こる歯肉炎の種類

萌出(ほうしゅつ)性歯肉炎

歯が生えてくる時期を萌出期(ほうしゅつき)いい、このときに起こりやすい歯肉炎が萌出性歯肉炎です。永久歯が生えてくるときによくみられますが、乳歯が生えてくるころに起きることもあります。乳歯が生えはじめる生後6か月ころから歯周病菌は口内に繁殖しはじめ、乳歯が生えそろう1歳7か月から2歳半ころは歯周病になりやすいとされます。
これはまだ生えきっていない歯に歯茎がかぶさり、その歯茎と歯の間に食べかすなどが入り込んで炎症を起こした状態です。乳歯が生えるころに歯肉炎になった場合には、この萌出性歯肉炎の可能性が高いでしょう。

不潔性歯肉炎

一般的によくみられる歯肉炎が不潔性歯肉炎です。歯みがきがきちんとできていないと、みがき残した部分に歯垢が蓄積してしまいます。細菌のかたまりである歯垢がたまってお口の中が不潔な状態になると、歯茎に炎症が起きます。そのまま放っておくと歯茎が赤く腫れて、出血や痛みがあらわれ、歯肉炎になります。

ウイルス感染による歯肉炎

単純ヘルペスウイルスⅠ型に感染して歯肉炎の症状があらわれることもあります。ヘルペスウイルスをもっている人との接触や飛沫によって感染するので、家族に口内炎がみられるときには注意してください。症状があらわれるまでの潜伏期間は2~7日です。
ヘルペスウイルス感染による歯肉炎は、お母さんから受け取った抗体がなくなる生後6か月から3歳くらいまでの赤ちゃんによくみられます。お口やのどに痛みがあり、発熱をともなっている場合にはヘルペスウイルス感染が疑われるため注意が必要です。お熱をだしてから2~3日ほどたつと歯肉が腫れてきて、口内炎もできます。お口のまわりに水ぶくれができたり、、歯みがきをすると出血することもあります。

2.赤ちゃんの歯肉炎を治療する方法

赤ちゃん 歯肉炎

萌出性歯肉炎の治療

乳歯が生えはじめることにより引き起こされる萌出性歯肉炎は、炎症を起こしてるところの歯がしっかり生えるころには炎症が自然におさまっていきます。炎症が悪化しないように、お口の中を清潔にして様子をみましょう。
炎症が悪化し痛みや腫れがひどくなっている場合は治療が必要となるかもしれないので、歯医者さんに診てもらいましょう。

不潔性歯肉炎の治療

不潔性歯肉炎の場合には、歯垢をきれいに取り除いてお口の中を清潔にすると炎症はおさまります。
歯みがきをするときに血が出るかもしれませんが、痛みがないようであれば気にせずにみがいてあげてください。出血するからという理由で歯みがきをしないでいると、お口の中がさらに不潔になって症状が悪化する可能性があります。

また、歯のみがき方に問題があって歯垢が残っていたことが原因と考えられるので、歯みがきの仕方が間違っていないか歯医者さんに確認してもらい、正しいやり方を教わっておきましょう。間違った方法で歯みがきを続けていると、不潔性歯肉炎をくり返してしまうおそれがあります。

ウイルス感染による歯肉炎の治療

ヘルペスウイルスに感染して歯肉炎になっている場合は痛みが強くあらわれるため、ものが食べられなくなる傾向があります。脱水症状を引き起こさないように、水分をしっかりとれるように気をつけてあげましょう。また、お口の中の炎症がおさまるまでは、歯みがきはしてはいけません。食後はぬるめのお湯でお口をすすいで清潔な状態にしてください。
歯医者さんなどを受診すると、単純ヘルペスウイルスをおさえる内服薬や痛み止め、口内炎を防ぐためのビタミン剤が処方されるでしょう。処方されたお薬を飲ませながら症状がやわらぐのを待ち、熱が下がるまではお風呂に入れないようにし、症状がおさまるまでは外出も控えてください。ヘルペスウイルスは通常1週間から数週間で体の外に出ていきます。

3.乳児や幼児の歯肉炎を予防するために

乳歯が生えるまでのケア

個人差がありますが、生後6か月ころまでの乳歯がまだ生えていない時期にはお口の中のお手入れをする必要はありません。ミルクを飲んだあとも、だ液がたくさんでているのできれいに洗い流されてしまいます。
歯みがきの練習をかねて、たまにガーゼで歯の表面や歯茎を軽くふいてあげるようにしましょう。このころからお口を触られることに慣れていると、歯みがきを始めるときにすんなりと受け入れてくれる可能性が高いです。

前歯が生え始めるころのケア

一般的に生後6~8か月くらいになると、下の前歯が生え始めてきます。離乳食を食べるようになると歯に汚れがつくようになりますが、だ液の量がとても多いので通常は洗い流されてしまいます。このころは、まだ歯ブラシを使った歯みがきをしなくてもだ液の働きによって清潔な状態は保てるでしょう。
生後10か月ころになると、上の前歯が生えてきます。だ液は上の歯には届きにくいので、歯についた汚れを洗い流せません。上の前歯が生えたら、歯ブラシを使った歯みがきが必要となります。ひざの上に寝かせ、お子さんのお口の中をチェックしながらていねいにブラッシングしてあげましょう。
前歯が生えそろうころから、虫歯を予防するために歯みがきを習慣化する必要があります。また、夜寝る前の授乳は虫歯の原因となりやすいので、できるだけひかえたほうがいいでしょう。そのほか、哺乳瓶の使用も前歯が虫歯になりやすいので、そろそろコップを使えるように練習を始められるといいですね。

奥歯が生えてくるころのケア

赤ちゃん 歯肉炎

1歳をむかえるころになると乳歯の前歯が生えそろって、奥歯が生え始めてきます。
上の前歯と奥歯の溝に汚れがたまりやすいので、歯ブラシを使った歯みがきを最低でも1日1回、ていねいに行ってください。特に寝ている間はお口の中の細菌が増えやすくなっているので、夜寝る前にしっかりと汚れを落としてあげましょう。
また、お口の中に細菌が増えないように食習慣にも注意が必要です。甘い飲み物や歯にくっつきやすいおやつを与え過ぎないようにしましょう。

4.まとめ

赤ちゃんでも正しく歯みがきをしていないと歯肉炎になる可能性があります。まだ歯の本数が少ない乳児であっても、お口の中を清潔に保つように心がけなければなりません。
また、歯の生え始めに炎症が起きやすいので、こまめにお口の中の状態をチェックしてあげることも大切です。そのほか、ウイルス性の歯肉炎もあるので、ほかの症状なども確認して原因を見極められるようにしましょう。
ただし、原因がわからないような炎症が歯茎に起きている場合は、早めに歯医者さんを受診してくださいね。

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監修医 野崎康弘先生

医療法人社団 医康会 ジェイエムビル歯科医院

院長

【経歴】
1990年 日本歯科大学 卒業
1990年~1995年 医療法人社団医恵会 勤務
1996年 ジェイエムビル歯科医院 開院
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