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※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。

この記事の目次

噛み合わせが悪い理由

外科手術が必要な顎変形症

上下の顎の形や大きさ、位置の異常などによって噛み合わせが悪くなっている状態を顎変形性といいます。顎変形性にはさまざまな種類のものがあります。

・ 下顎が前に出ている( 下顎前突症)
・ 上顎が著しく前に出ている( 上顎前突症)
・ 奥歯はかんでいるのに、上下前があたらな( 開咬症)
・ 左右の顎がずれている(非対称症)
・ 下顎が後ろにさっている( 下顎後退症)

 

顎の異常が原因の場合、歯列矯正だけで噛み合わせを治療しようとすると、歯や歯茎に負担がかかってしまいます。そのため、顎変形性と診断された場合には、外科手術によって顎の大きさや位置を調整する必要があります(症状ごとに医師の診断が必要なため、例外もあります)。

顎変形性による噛み合わせの手術は、国の指定機関で行えば保険適用となります。手術をする際には、事前に指定機関かどうかを確認するとよいでしょう。

外科手術が必要ない場合

顎変形性以外でも、さまざまな理由から噛み合わせが悪くなることがあります。

◆抜歯後、必要な治療を行わなかった場合
歯は隣り合う歯によって固定されています。そのため、何らかの理由で歯が抜けた・抜いた後に適切な処置をしないと、その周囲の歯が動いたり伸びてきたりして、噛み合わせが悪くなってしまいます。このような場合には、歯列矯正によって動いてしまった歯の位置を戻し、抜けてしまった部分にはインプラント等の治療を行います。

◆奥歯に金属を被せていたり、詰め物をしている場合
金属と他の歯とが擦れることで、噛み合わせが悪くなることがあります。この場合、正しい噛み合わせになるよう被せ物や詰め物を作り直し、改めて高さなどを調整します。

◆歯ぎしりによって歯がすり減っている場合
歯ぎしりによって歯がすり減ることで、噛み合わせが悪くなります。マウスピースを使用して歯ぎしりによる歯の摩耗を防ぐ他、あまりに多くすり減っている場合には、矯正やセラミック治療によって噛み合わせを元に戻します。

顎変形症と顎関節症の違い

言葉が似ており、ともに顎に問題がある症状のため、顎変形性と顎関節症を混同してしまう人がいますが、この2つは全くの別物です。顎関節症は、顎の関節が痛む、きしむような音がする、顎が開きにくいという症状を表すもので、噛み合わせの治療を行ってもよくなるわけではありません。

一方で、顎変形性と同時に顎関節症を患っている場合もあります。自分で判断をすることは難しいため、気になる人は歯医者さんに相談してみましょう。

噛み合わせ,手術

悪い噛み合わせの原因である顎変形性の手術

手術の種類と方法

顎変形性の手術には、顎の状態によってさまざまなものがあります。ここではいくつかの代表的な手術方法をご紹介します。

◆下顎骨切り術

下顎に原因がある症状に用いられるもので、下顎を小さくする場合と、大きくする場合があります。下顎を分割し
、前方・後方など、顎を動かしたい位置まで移動させます。口の中の状態によっては、抜歯が必要なこともあります。下顎骨切り術をさらに細分化すると、下顎枝矢状分割術と、下顎枝垂直骨切り術とに分けられます。

・ 下顎枝矢状分割術
術後の状態として、分割した骨と骨が接触しているため、骨治癒がよいとされています。移動させた骨はチタンプレートで固定しますが、吸収性があるプレートを使用すれば、後に除去手術を行わずにすむこともあります。まれに、術後一時的に、下唇の感覚が鈍くなることがあります。

・下顎枝垂直骨切り術
術式がシンプルで神経を損傷するリスクをおさえられますが、骨を移動できる距離が少ない、顎間固定(※)の
必要がある等のデメリットもあります。

(※)顎間固定とは、手術部位を安静にし安定させるために、上の歯と下の歯をワイヤーで結んで固定するもの
です。固定中は口を自由に動かすことができないため、話すことや食事が困難になります。

◆上顎骨切り術

上顎に原因がある場合や、上下の顎の大きさに極端に差がある場合に用いられます。上顎の骨を奥歯と鼻を結ぶラインで切り、移動させ、プレートとネジを使って上顎を固定します。まれに顔の腫れがひきにくい人や、鼻の通りが悪くなったと感じる人もいます。

◆前方歯槽骨切り術

顎全体でなく、前歯部分だけに原因がある症例に用いられます。側方の歯を抜歯してできたスペースを活用し、骨ごと切り離した前歯を移動させます。その後、プレートとネジを使って上顎を固定します。骨を削ったあたりの歯の色が悪くなる可能性もあります。

どの術式でも、術後は顎から首にかけてかなりの腫れを伴います。術後10日.14日で通常の状態に比べて20.50%ほど腫れている状態まで戻りますが、完全に腫れがひくまでには2.3ヶ月ほどかかります。

治療の流れと期間の目安

手術にあたっては、術前と術後の矯正が必須となります。また術前矯正前に虫歯等の治療をしておく必要もあります。そのため、治療は口腔外科と矯正歯科とで行います。ここでは噛み合わせ治療のための全体の流れと、期間の目安をご紹介します。

1.虫歯治療と術前矯正
外科手術をする前に、矯正歯科で歯列矯正を行います。これは手術後の顎の状態を想定し、術後によくかめる歯並びにしておくことを目的としています。ブラケットやバンドを用いた矯正のため、この間は歯みがきがしにくく、食事もとりにくい状態となりますが、口の中を清潔に保つためにもしっかりとした歯みがきを意識しましょう。術前矯正期間の目安は1.2年です。また矯正前の段階で、虫歯や歯周病がある人はその治療も行います。

2.手術申込と術前検査
手術に適した歯並びとなったら、口腔外科に手術の申込を行います。口腔外科では、X線検査や噛み合わせの型取りなどを行った後、術式についての説明を受けます。

3.入院・手術
入院は手術日の前日.前々日となり、手術は全身麻酔で行います。手術時間の目安は1.5時間、入院期間の目安は7.10日前後です。

4.術後・退院
口の中を固定しているため、術後は口を自由に動かすことができません。そのため食事や会話に制限が出ます。
口をあけられるようになるのは、術後4.5日後です。食事は鼻のチューブを通して胃に流動食を流し込む経管食となりますが、手術当日の夜か翌日より、歯のすきまから流し込むようにして摂取する流動食になる場合もあります。退院する頃にはおかゆが食べられるようになり、術後2.3ヶ月で普通食をとれるようになります。
退院後も顎間固定をする必要がある人は、退院後の食事も流動食となります。

5.術後矯正・保定・経過観察
退院したら矯正歯科で術後矯正を始めることになります。これは歯並びの微調整や後戻りを防ぐことを目的とするものです。術後矯正の期間の目安は6ヶ月~1年です。術後1.6ヶ月間は口腔外科と矯正歯科の両方を定期的に受診し、骨のつき具合をみながら、矯正のゴムやワイヤーを調整していきます。骨が完全につくまでには約2年かかり、術後矯正後も取り外しができるリテーナーなどを使って保定する必要があります。

費用の目安と保険の扱い

噛み合わせをよくするための外科手術は保険適用となり、費用の目安は30~50万円(3割負担の場合)です。外科手術に必要な術前・術後の矯正も保険適用となります。ただしこれは、国が指定する機関で手術・治療を行うことが前提となっているため、治療を開始する前に、その病院が国指定機関かを確認するようにしましょう。

また術前矯正を始めた後、何らかの理由で手術をすることをやめてしまった場合には、術前矯正費用は保険適用外となるので注意が必要です。術前矯正を始めたにも関わらず、口腔外科から手術への賛同が得られない場合も同様に保険適用外となります。治療を始める前には、必ず矯正歯科と口腔外科の両方を受診し、確実に手術が必要な症状かを診断してもらうようにしましょう。

退院後の生活で気をつけること

骨がきれいにつくまでには、約2年を要します。また退院後も骨や歯の状態をチェックするために、口腔外科と矯正歯科の両方に通院する必要があります。術後しばらくは自由に口をひらくことができないため、吐き気をもよおすことはとても危険で、吐瀉物が喉につまってしまう恐れがあります。飲酒やカフェインの大量摂取、タバコの吸い過ぎ、また車酔いしやすい人は長時間のドライブなども控えるとよいでしょう。

万が一吐き気をもよおした場合には、矯正で使用しているゴムなどを切って吐き出してください。そのために、小さなハサミを携帯していると安心です。またしっかりと歯みがきができない状態の場合、みがき残しなどによって虫歯や歯周病となるほか、口の中の細菌によって手術時の傷が化膿してしまう恐れもあります。こまめな歯みがきに加え、水流式の口腔洗浄機などを使って口の中を清潔に保つようにしましょう。

矯正で治す顎変形性

外科手術を要する顎変形性ですが、必ずしも手術以外の選択肢がないわけではありません。症状によっては、
顎の位置を矯正する専用プレートを使って、顎の高さやバランスを調整できる可能性もあります。手術は体に負担がかかり、術後の生活も制限されてしまいます。さまざまな理由で手術にふみきれない人は、矯正のみでも治療可能かを歯医者さんに相談してみてください。ただし、この場合は保険適用外となるため、治療は全額自費負担となります。

噛み合わせ,手術

まとめ

噛み合わせをよくするための手術は、他のさまざまな手術と同様に体に大きな負担がかかるほか、後遺症や手術による合併症もゼロとは言い切れません。事前に医師から十分な説明を受け、疑問点を解消したうえで手術にのぞむようにしましょう。

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2020-01-21T11:36:16+00:00