杉浦歯科クリニック

私は小児歯科をメインに診療しているので、やはりお子さまの治療でやりがいを感じることがよくあります。例えば、歯科治療に恐怖を感じていたお子さまが、最終的に処置を受けられるようになると、嬉しくなります。このような時の達成感は、金銭的に測れるようなものではないですね。

もちろん、いつも上手くいくケースばかりではなく、落ち込むこともあります。そういう時は「自分にはこういう所が足りない」と反省して、同じミスを繰り返さないように努めています。

小児歯科についてです。私自身、子供の時に歯科医院で辛い経験をしました。自分と同じ思いをさせないためには、小児歯科を勉強するべきだと考え、注力してきました。

小児歯科を学ぶために働いた大学病院には、特に治療が大嫌いというお子さまが大勢来ていました。吐いてしまったり私を蹴飛ばしたり、走って逃げたりしたお子さまもいたものです。そのような経験が、今の自分の糧となっています。

親御さまが「うちの子にはできないはず」と思っても、一度やらせてみてほしいとお願いしています。親御さまは、もちろんお子さまのことを細かい所までよく理解なさっています。しかし、歯科医院のような施設では、お子さまが予想外の反応をすることがあります。

特に「麻酔は無理」「歯を削るのは怖がるはず」とおっしゃる親御さまが多いのですが、意外にもお子さまは泣きながらもきちんとお口を開けていてくれることが多いものです。そして、まだまだ幼くて怖がりと思われていたお子さまでも、結果的には治療ができたケースがよくあります。

当院は親御さまにご説明するのですが、話が長引けばお子さまは飽きてしまいます。肝心のお子さまが飽きて治療できないことを防ぐために、話す時間に配慮しています。

また、少し大きいお子さまであればご本人にもお話ししますが、もちろん歯科用語は理解してもらえません。お子さまに分かってもらえるように分かりやすい言葉でお話しし、伝わるように日々工夫しています。好奇心旺盛なお年頃のお子さまから「なんで」「どうして」と何回も質問を受けることもありますが、一つひとつしっかりと考えてお答えしています。

当院では、診療室の中にキッズスペースをご用意しました。親御さまが近くで見守ることが可能ですので、怖がっているお子さまも落ち着いて治療を受けやすくなると思います。

お子さまが甘えて治療ができないことを防ぐために、母子分離をする考えがあります。しかし、当院では最初は甘えて親御さまに付き添ってもらっていてもいいと考えています。そして、少しずつ一人で治療を受けることができるようにしていきます。

今後について、二つの柱で考えています。一つはこれまでと同様に、お子さまを歯科恐怖症にしない治療です。初めて来院される時はどんな歯科医院か分からず、心配しながらいらっしゃることでしょう。しかし、当院はお子さまの将来のために、焦らずに一緒に診療を進めていきます

もう一つの柱は、歯周病などを念頭に置いた、大人の方の口腔ケアです。天然歯を長持ちさせるために、予防の大切さを日々の診療の中でも発信し、患者さまに広めていきたいと思います。