今まで診てきた患者さまの中で心に残っている印象的なエピソードがあれば教えてください。
「様々な入れ歯を試したけど、どれも痛くて噛めない」と悩んでいる方が来られたことがあります。そこで、その方に入れ歯を作ったところ「入れ歯で痛くないのは初めて」と涙を流して喜んでいただけたのです。しかし、その方は末期癌で寿命があと2ヶ月だったのです。しばらくして亡くなられたのですが、私が入れ歯を作ったことで、最後に好きなものを食べることができてお食事の時間を楽しく・美味しく過ごすことができたと思うと、心にぐっと響くものがあります。
人生のターニングポイントはいつですか?
先程お話した末期癌の方の入れ歯を作成し、患者さまの最後の食事のお手伝いができた時がターニングポイントかもしれません。私は元々、歯科口腔外科を学んでおり、見た目に配慮をした治療などにも力を入れていました。しかし、その患者さまの治療を通し、「きちんと噛んで食べられること」の重要性を改めて認識したのです。この頃から、歯科医師としての方向がシフトチェンジしていったような気がしますね。
診療のモットーを教えてください。
心に貯金をして帰っていただくことを目標にしております。
患者さんが幸せな気分になって帰られれば、私たちも心に貯金をして帰る事が出来るのです。「患者さんのために」という上から目線でなく患者さんの幸せは私たちの幸せでもあります。
ですので、「自分が受けて良かったと思える治療を提供する」ということを大切に日々診療をおこなっています。患者さまの目線に立って考え、その方が何を望んでいるのか、どこがどう気になって歯科医院へ来られたのかなど、一人ひとりの思いを見極めるようにしています。患者さまとの合意を大切にして診療にあたっていますので、ご要望やご不明な点など、気になることは遠慮せずにお話しいただければと思います。
お子さまを喜ばせるために行っていることはありますか?
お子さまに合わせてアニメのお話などをしており、少しずつ慣れていただけるようにしています。そのため、応急処置が必要でない限り、無理に治療を進めることはありません。無理に治療を行ってトラウマを植え付けてしまっては、その先も「歯科医院は怖い、痛い場所」というマイナスイメージが付いてしまうからです。
まずは、お子さまと同じ目線でお話をして、診療室に入る、イスに座るなど、段階を踏んで治療を進めています。
子どもの歯を守るために何を気を付ければよいかアドバイスをお願いします。
口呼吸は万病のもとですので鼻呼吸に直しましょう。口呼吸でお口のなかが乾くと細菌が増えてしまい、将来的な虫歯や歯周病のリスクが高まってしまいます。また、親御さまにはお子さまに堅く、噛み応えのある食べ物を与えていただくようにお伝えしています。そうすることで、正しい力のコントロールができるようになり、お口や顎の成長を促すことにつながるのです。
私自身も育児の経験があり、食生活や仕上げ磨きに気を付けていますので、そういった実体験も含めてお話していますね。親御さまに無理がない程度でよりよい方法をお伝えしていますので、お子さまのお口のことで悩んでいる方はお気軽にご相談ください。
自慢の設備について教えてください。
当院では、院内で使用する水も清潔な状態を保つようにしています。空気清浄機や治療中に使用している水は、電気分解で細菌やウイルスに作用するものとなっており、患者さまのお口や身体にも良いものとなっています。これは患者さまに気持ち良く治療を受けていただくほか、院内感染の予防のためにも役立っています。
スタッフの自慢できる点を教えてください。
当院のスタッフは子供好きで、性格が柔らかいです。そのため、お会計の時に雑談をしていかれる方も多くいらっしゃいます。歯科医師と同じように、スタッフも患者さまと接する機会は多くありますので、親しみやすさを大切に、少しでも落ち着いた気持ちでリラックスして治療を受けていただけるようにと考えてくれるスタッフがいることは当院の自慢です。
この町の特徴を教えてください。
お子さまから親御さま、ご年配の方まで多くの方が来てくださっており、ファミリー層が多いのかなと思います。当院に来られる方としては、治療についてすでにいろいろと調べている方や歯科医師に話を聞いている方が多く、予防やメンテナンスへの意識が高い方も多いですね。
先生の思う歯科医院選びのポイントを教えてください。
歯科医院と言ってもそれは治療以前に人対人であり、その歯科医師が自分に合うかどうかが大切です。あとは、お口の状態や治療内容について包み隠さずに説明をしてくれる歯科医師がいいでしょう。隠したところで患者さまのためにはなりませんので、メリットだけでなくデメリットまできちんと話してくれる歯科医師を選びましょう。
今後力を入れていきたいと考えている治療について理由と共に教えてください。
お子さまの予防に力を入れていきたいと思っています。0歳児の頃から咀嚼、飲み込み、呼吸を身に付けていただき、その子本来の意思で健康への道へ進んでいただけるよう、そのお手伝いをしていきたいです。呼吸による低酸素障害がお口や身体に影響をすることもありますので、将来的な健康を守るために早い頃からしっかりと取り組んでいきましょう。