「歯医者さんで処方されるようなホワイトニング薬剤が薬局で売っていたらいいのに・・・」と思ったことはありませんか。薬局へ行ってみても歯のホワイトニングアイテムは種類がたくさんあり過ぎて何から始めたらいいかわかりませんよね。
今回は薬局で売っているホワイトニング剤の種類、また、歯医者さんで塗布されるホワイトニング薬剤やネットで購入出来る市販品との違いも合わせて紹介します。歯を白くするための数ある選択肢の中から、あなたにぴったりのホワイトニングを見つけるポイントをご紹介します。
1.薬局で買えるホワイトニング・買えないホワイトニング
1-1 歯医者さんで処方されるもの
歯医者さんで処方されるホワイトニング薬剤には歯の内部を漂白する「過酸化水素」や「過酸化尿素」という成分が配合されています。これらの成分により色素や着色を無色透明に分解することで歯を白くするのです。
ほとんどのクリニックで行うホワイトニングが「過酸化水素」が配合された薬剤を使っています。過酸化水素はお口の中の消毒だけでなく体の消毒などにも使われていてFDA(米国食品医薬品局)で安全性が認められています。
また、過酸化尿素は歯医者さんで処方されるホームホワイトニングの薬剤に配合されていることが多い成分です。過酸化尿素といってもそれは自然に尿素と過酸化水素に分解されるため効果としては過酸化水素と変わりません。ただし、過酸化水素の濃度が低いので漂白効果が弱まりますが緩やかに時間をかけて漂白していくため痛みや刺激を与えづらいというメリットもあります。
1-2 薬局で買える薬剤(ホワイトニンググッズ)
日本で市販されている歯磨き粉や歯のホワイトニンググッズには、過酸化水素や過酸化尿素といった歯の漂白成分は歯磨き粉に配合出来ません。これは日本の薬事法により過酸化水素が毒物および劇物取り締まりとして指定されているからです。
簡単にいえば、過酸化水素は取扱を間違えると火傷や怪我と言った事故につながる可能性があり、知識のない一般の方が取り扱うのが難しい成分なので、薬局などで売られていないのです。ちなみに、薬局などで目にする事がある消毒剤の「オキシドール」は、過酸化水素を大幅に薄めて3%前後の濃度で使えるようにしたものを指します。
そのため、一般に薬局などで手に入るホワイトニンググッズは、過酸化水素や過酸化尿素が配合されていない歯磨き粉や、表面に色をつける歯のマニキュアなどがそれにあてはまります。
◆歯磨き粉
歯磨き粉には着色を予防する成分やステインをはがしやすくするような成分が配合されています。市販の歯磨き粉で着色予防をしたいのであれば「ピロリン酸ナトリウム」や「ポリリン酸ナトリウム」や「ハイドロキシアパタイト」などの成分が配合されたものを選びましょう。
◆歯のマニキュア
歯のマニキュアは着色を落としたりするような効果は期待出来ませんが、爪に塗るマニキュアのように薬剤を塗ることで黄ばみや汚れを隠す効果があります。薬局やコスメショップなどでいろいろな製品が置いてあり、手に入れやすいです。
しかし、製品によってはムラになってしまったり食事をすると落ちやすかったりするので扱いが難しいのも事実です。上手く塗布出来れば即効性もあり便利な商品ではないでしょうか。ムラなくキレイに仕上げたい人や白さをある程度の期間キープしたい人には歯医者さんでの施術をおすすめします。歯医者さんでのマニキュアは数日~半年ほど持つものもあり、その持続期間や効果によって値段が違います。また、歯のマニキュアを施術している医院は限られているので、もし希望があるのなら、事前に一度確認をしてみることをオススメ致します。
1-3 通販で買える薬剤
歯のホワイトニングが日常に浸透しているアメリカでは上述した「過酸化水素」という成分が高濃度で入った薬剤や歯磨き粉が薬局などで手軽に購入出来ます。日本の薬局ではこれらの商品は手に入りませんが、通販などを使えば輸入品として簡単に自宅に届けてもらえるのが現状です。しかし、あくまでこれは欧米人向けの成分で作られているので、日本人の歯や歯茎には合わない可能性があり、一般の方が独断で使用する事はけしてお勧めしません。過酸化水素や過酸化尿素が入った薬剤は、使い方を間違えると歯や歯茎を傷めてしまう原因となります。
2.市販で買えるホワイトニングのメリットとデメリット
2-1 メリット
歯医者さんに通院することなく近くの薬局やネットなどで手軽に商品が購入出来るのはメリットといえるでしょう。忙しくて歯医者さんに通えない主婦の方やサラリーマンの方は何回も通院しなくてはいけないホワイトニングをすることでストレスがかかることもあります。市販品であれば自宅でケアが出来るので便利です。
また、歯医者さんのホワイトニングより比較的値段が安価なのも魅力的かもしれませんね。
2-2 デメリット
市販品のホワイトニングを買うことのデメリットとしては「全てが自己責任」ということでしょうか。自宅でホワイトニングを行うのでどのくらい時間を置くのか、頻度はどれくらいか、何か月くらい続けるのかなど自分で調整することも出来てしまいます。特にネットで購入出来るアメリカ製のホワイトニング薬剤や歯みがき粉は取り扱いに注意が必要です。
日本では通常濃度が高いホワイトニング薬剤は医師が取り扱わなくてはいけないため市販されていません。もし自己責任でホワイトニング剤を取り寄せ、説明書を無視して自己流のホワイトニングを行うと歯や歯茎にダメージを与えてしまいます。
3.着色予防で歯を大切に
お金をかけず手軽にホワイトニングをするために歯医者さんにかからないようにしていませんか。もし自己流で誤ったホワイトニングを続け、歯を痛めてしまったり知覚過敏の症状を引き起こしてしまったりすれば結局歯医者さんに通うことになります。歯にダメージを与えてしまったことで余計お金がかかることもあるのです。大事なのは毎日の生活の中で着色を予防することです。明日から出来る着色予防を取り入れてみましょう。
3-1 ステインがつきやすい飲食物を控える
飲食物の中にはステインがつきやすい食べ物や飲み物があります。着色を防ぎたいのであればそれらのものを控えることも時には大切です。例えば、コーヒーやワインや緑茶や紅茶にはタンニンという成分が、ブドウやブルーベリーにはアントシアニンが、タバコにはタールが含まれていて着色の原因になります。特にホワイトニングを行った後などは歯を保護しているペリクル層という薄い膜が剥がれていて着色しやすいので気を付けなければいけません。ホワイトニングの種類によってはペリクル層が再生するまでの間、食事制限が出るものもあります。
~ステインがつきやすいものまとめ~
・コーヒー
・ 紅茶
・ 日本茶
・ ワイン
・ ぶどう
・ 柿
・ チョコレート
・ タバコ
・ ブルーベリー
・ 緑黄色野菜
3-2 食べた後はすぐ歯磨きをする
色のつきやすい飲食物を摂ったとしてもすぐに歯磨きをするとしないとではステインの着きやすさが違います。ステインが付着するのがイヤならば、食べた後にすぐ歯磨きをすることを徹底しましょう。もし歯磨きが出来ない状況であればうがいなど口を水でゆすぐだけでも何もしないよりは着色予防が出来ます。
3-3 ガムを噛むことで口の中をキレイに
唾液が少なくなると歯の表面に汚れやステインが残りやすくなります。キシリトール入りのガムであれば甘みがありながら虫歯の元となる酸を作りにくくする働きがあります。食事の後に歯みがきが出来ない場合にはガムを噛むことで着色予防してもよいかもしれません。
4.まとめ
薬局など市販で買えるホワイトニングアイテムの中には着色を落としやすく、もしくは着色しづらくする効果があるものの、ある一定以上は白くすることが難しいです。「歯を白くしたい」という希望があるのなら「安価」だからといって値段につられ市販品で妥協するのではなく、歯医者さんでホワイトニングしてもらうのがおすすめです。
歯医者さんのホワイトニングであれば1回で効果を感じるものもあれば、薬剤を処方して自宅で歯を白くするホームホワイトニングなどもあります。
また、知識を持った歯科医師や歯科衛生士が行うので安心して治療にのぞむことが出来ると思います。ぜひ検討してみてくださいね。
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監修医矢島昇悟先生
青山通り歯科 院長
■院長略歴
2007年 日本歯科大学 生命歯学部卒業
2008年 埼玉県羽生市 医療法人社団正匡会 木村歯科医院
2010年 埼玉県新座市 おぐら歯科医院
2011年 東京都文京区 後楽園デンタルオフィス
2015年 東京都港区 青山通り歯科 院長