人工歯の種類と選び方!予算・安全性?何で選ぶべきか

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人工歯とは、虫歯や歯周病などによって失われた天然歯の役割を補うために、人工的に作って口腔内に入れる歯のこと。義歯(入れ歯)やインプラントのほか、部分的に失った歯の機能を回復するために入れるインレー(詰め物)やクラウン(被せ物)、ブリッジなどの補綴物も、人工歯の範疇に入ります。近年の新素材開発により、人工歯はさまざまな種類が誕生し、特性によって選ぶことが可能となりました。代表的な人工歯の種類について、その特徴と向いている使い方、さらには正しい人工歯の選び方などをご紹介します。

1章 人工歯の種類と特徴・費用

1-1 ジルコニアセラミック

インプラントなどに使う人工歯のうち、見た目の美しさや強度などのメリットがもっとも大きいのが「ジルコニアセラミック」の人工歯です。白色の非金属素材である人工ダイヤモンドのジルコニアに、セラミックを焼きつけた素材となっています。天然歯と並んでも見分けがつかないほどの自然な白さとつやがあり、かつ硬くて強度も高いのが特徴です。ただし、人工歯のなかでも価格が高く、1本あたり9〜20万円ほど。保険適応がないために自費診療の費用がかさんでしまうデメリットがあります。

1-2 オールセラミック

すべてセラミックのみで作られているのが「オールセラミック」の人工歯です。セラミック最大の特徴である美しい透明感やつやを持つうえ、経年劣化・変色もないので、天然歯と遜色ない自然な仕上がりが長く続きます。ただし、先程のジルコニアセラミックや、後にあげるメタルボンドといった、フレームで補強されているものと比べると強度が弱いため、調整不足があったり、かみ合わせの力が強い方の場合は、割れたり欠けたりしてしまうこともあります。

1-3 ハイブリッドセラミック

セラミックの美しさと、プラスチックの手ごろさを兼ね備えているのが、「ハイブリッドセラミック」の人工歯です。素材を混合させることにより価格が安く抑えられるため、1本あたり4〜12万円程度と自費診療の人工歯のなかでは最も安価に入れることができるのがメリットです。ただし、劣化が早く、徐々に変色が起こったり透明感が失われたり、と、仕上がりの美しい白さが続く期間が短いという残念な点も。やわらかい素材なため、他の歯を傷つけないという特徴もありますが、逆に耐久性に欠けるという欠点もあります。

1-4 メタルボンド

見た目の美しさと耐久性を兼ね備えたのが、金属にセラミックを焼きつけた「メタルボンド」の人工歯です。
経年劣化はジルコニアやオールセラミックと同様に殆どありませんが、金属フレームを含んでいるので透明感といった見た目の美しさではこの2つに劣ります。また、使用する金属によっては金属アレルギーの反応が出てしまうこともあるので注意が必要です。土台に金属を使うことで価格が抑えられるといわれてきましたが、近年の金属価格高騰により、1本あたり5〜15万円ほどジルコニアセラミックと大きく変わらない予算が求められるケースも出ているようです。

1-5 フルジルコニアセラミック

耐久性に非常に優れたジルコニアのみで作られた人工歯が「フルジルコニアセラミック」です。人工ダイヤモンドであるジルコニアならではの硬さが最大の特徴で、変色も傷がつくこともなく、長く使うことができます。ただし、耐久性を最も重視した素材なので、セラミックと比べると透明感や色の仕上がりの自然さに劣ります。費用は 1 本 8~20万円前後と開きがあります。

1-6 ゴールド(金合金)

低腐食性と強度を誇る貴金属・金やプラチナを使って作られているのが「ゴールド(金合金)」の人工歯です。これらは体への害が非常に少ない金属であるため、金属アレルギーの人でも安心して使うことができます。保険適用の金属よりも硬さのバランスが良く持ちします。また、歪みも少なく適合性が非常によいので、隙間が出来づらく虫歯になりにくいメリットもあります。
ただし、見た目が金なのでどうしても目立ってしまうのを嫌う人も。また、現在は素材の価格そのものが高いので、予算も 1 本 4〜15 万円とそれなりに必要となってしまいます。

1-7 銀歯(金銀パラジウム合金)

健康保険の適用となる人工歯が「銀歯(金銀パラジウム合金)」でできた人工歯です。1 本 3,000~5000程度と安価に入れることができるのが最大のメリットですが、水銀の含有量が多く現在ではほとんど用いられていないアマルガム同様、従来広く一般的に使われてきた素材ですが、近年ではアレルギーなど人体への害が取りざたされ、スウェーデンなどの医療先進国では小児や妊婦への使用が禁止となっているところもあります。
また、長く使っていると黒ずんだり、歯茎が黒く変色したりということもあります。さらに、とても硬い金属であるため、時には噛み合う天然歯を傷つけてしまうこともあるようです。これらの理由から、虫歯でなくても昔入れた銀歯を最新素材の人工歯に入れ替える人も増えています。

1-8 レジン

プラスチック樹脂でできているのが「レジン」の人工歯です。保険適応で 1 本 4,000 円前後と費用を抑えることができ、見た目も銀歯より歯の色に近く、目立ちにくいという特徴があります。ただし、素材の特性として、長く使うとどうしても変色が起きたり、強度不足により割れたりすり減ったりしてしまうため、数年おきに入れ替えるなどの対応が必要となることもあります。また、傷がつきやすいので、セラミックよりも汚れがつきやすいというデメリットがあります。

1-9 硬質レジン

プラスチックにセラミックの粉末を混ぜ込み、強度を補ったのが「硬質レジン」の人工歯です。金属の土台に硬質レジンを貼り付けた、保険適応の被せ物「硬質レジン前装冠」として使われたり、樹脂ならではの柔らかさを生かして、天然歯の欠けた部分に直接埋め込む「ダイレクトボンディング」に用いられたりします。
前歯などでは保険診療の範疇で使用することができ、比較的安価にすませることができますが、奥歯では保険適応がありません。

2章 自分に合った人工歯の選び方

2-1 見た目で選ぶ

人工歯を入れていることを周囲に気づかれたくない、見た目の美しい人工歯を選びたいという人は、自費診療となりますがセラミック系の人工歯を選ぶべきです。色調やつやの再現性において、最も天然歯に近い仕上がりが得られるのは、オールセラミックの人工歯です。ただし、耐久性には欠けてしまうので、長持ちさせたいという人は見た目と強度のバランスが取れたジルコニアセラミックやメタルボンドを選ぶのもよいでしょう。

2-2 予算で選ぶ

とにかく安く済ませたいという人は、保険適応の銀歯(金銀パラジウム合金)や、レジン、硬質レジンの人工歯を選ぶのがよいでしょう。1本数千円からと、自己診療の人工歯に対して、圧倒的に低い自己負担額で人工歯を入れることができます。ただし、仕上がりや強度、アレルギー性などの観点から見ると、安価な人工歯にはそれなりのデメリットも。予算と質のバランスを、自分なりに考えてみるのが良いでしょう。

2-3 もち(耐久性・強度)で選ぶ

丈夫で長持ちな人工歯といえば、オールジルコニアやゴールドなどが挙げられます。天然歯に馴染むという点では少し難がありますが、耐久性にはとても優れた素材です。

2-4 アレルギーの有無で選ぶ

金属アレルギーがある場合、反応を起こすリスクのある金属素材の人工歯は選ぶべきではありません。ただし、ゴールドはアレルギーのでない貴金属なので、金属アレルギーの人でも使うことができます。金属アレルギーは突然発症することもあります。現時点ではアレルギーがないからと金属素材の人工歯を入れたことで、後日アレルギーを発症してしまうケースもあるのです。人工歯は一度入れると長く使うもの。慎重に選ぶことも大切です。

まとめ

虫歯や歯周病などのために天然歯を失った際に、見た目と機能を回復させるために入れる人工歯。保険適応の素材から自費診療となる素材まで、幅広いラインアップが揃っています。それぞれの人工歯の特徴を知って、仕上がり、もち、費用など複数の視点から考えてみて。長く使う人工歯だからこそ、安易に選択するのではなく、本当に自分に合うものを選びましょう。

青山通り歯科監修医矢島昇悟 先生

東京都港区赤坂4-9-25 新東洋赤坂ビルB1F

■コメント

ジルコニア・オールセラミック・メタルボンドといった表面がセラミック製の人工歯は、表面が非常に滑沢で傷もつきにくく、ツルツルな状態が長持ちします。ツルツルな状態が長持ちするという事は、プラスチック素材と比べて汚れもつきにくい・落としやすいので、虫歯や歯周病にもならないという隠れた長期的なメリットがあるんです。「同じ歯の治療を繰り返したくない…」という方には、一回の費用が少々かかったとしても、長い目で見たらセラミックの方が歯には優しいんです。

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