口唇ヘルペスが再発してしまったときは、誰しもできるだけ早く治したいと思うでしょう。また、毎回病院に通院せずに市販の薬で気軽に再発を防げると便利ですよね。今回は不快感や見た目が気になる方のために、口唇ヘルペスの再発に作用する市販薬をいくつかご紹介していきます。
また、ヘルペスになるのが初めての場合は自分で判断せずに歯科口腔外科、皮膚科、内科を受診することをおすすめしていますが、その理由についても詳しくご説明していきます。
1.口唇ヘルペスとはどんな症状?薬は市販されている?
1-1 口唇ヘルペスとは
口唇ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルスの感染症で唇やその周辺に水ぶくれができるという症状です。このウイルスに感染している日本人は20~30代で約半数、60代以上ではほとんどの人が感染しているというデータもあります。水ぶくれは痛みを伴い、1~2週間程度でかさぶたになり、治ります。
また、ヘルペスウイルスは、一度感染すると症状が治った後も人の細胞の中にじっと隠れていて、普段は症状が出てきませんが、発熱やストレス、疲労、月経など体の抵抗力が落ちることで再発してしまうので、再発をなるべく防げるよう薬でのケアが重要になっています。
口唇ヘルペスの発病には、初めて発病する場合と再発の場合の2通りがあります。初めて口の周りに水ぶくれやかゆみが生じたときには、自己判断せずに病院を受診することをおすすめします。過去にも口唇ヘルペスになったことのある方で、症状がそれほど重くない場合には、市販の薬も使用できます。ドラッグストアで手に入るため、活用してみましょう。
口唇ヘルペスの塗り薬には、ビダラビンやアシクロビルと呼ばれる成分が有効成分として作用します。パッケージに記載の成分を見てみると、それらが含まれていることが確認できます。
2.市販薬を買う際の注意点
2-1 過去に診断された人のみ使用可能
口唇ヘルペスの市販薬は、過去に医師から診断された人のみ使うことができます。口唇ヘルペスは、不適切な薬を用いることで症状が悪化してしまうため、医師の診断があることが前提として必要となります。再発の場合は、初めての発症と比べて症状が軽くなりやすいため、市販薬で改善させることが可能です。
2-2 薬剤師のいる薬局で購入できる
口唇ヘルペスの薬は第1類医薬品となっているため、薬剤師のいる薬局にて購入することができます。
しっかりと薬剤師の説明を聞いて、使用上の注意点などを把握した上で購入することが必要です。
2-3 市販薬を使用する際の注意点
市販の塗り薬の場合、1日に数回塗布、10日間ほどが使用の目安になります。塗り薬を使用していく中で、乾燥してかさぶたになってきたら、薬の使用を中止しても問題ありません。
※使用上の注意
・唇のまわりにかゆみや違和感などが生じたら、早めに使うことをおすすめします。
・使用前後で手を清潔にしましょう。
・食後に薬を塗るときは、口の周りを洗い清潔にしましょう。
薬を塗る際にも上記のように注意が必要となりますが、普段の生活においても患部を手で触らないようにする、タオルなどを家族と共有しない、食事のときに食べ物や食器を通して家族へ感染させないようにするなどの配慮を心がけましょう。
また、実際に使用する際は各市販薬にある説明書や薬剤師の指示に従い使用してください。
3.口唇ヘルペスになってしまう原因や治療をするために
3-1 口唇ヘルペスになる原因
口唇ヘルペスは、乳幼児期に初感染することが多くありますが、ヘルペスウイルスは神経節に潜んでいるのでたいていの場合は症状が出にくくなっています。症状が出ている間はヘルペスウイルスを大量に排出しているため、ヘルペスウイルスの抗体がない方や抵抗力が落ちている方が感染しやすくなります。
3-2 口唇ヘルペスになってしまったら
・口唇ヘルペスにかかるのが初めての場合
口唇ヘルペスになるのが初めての場合、出てきた症状が口唇ヘルペスによるものなのか確信が持てないことも多いでしょう。初めての発症では、大きな水泡が多数できる特徴があるなど、症状が強くなる傾向にあります。唇のまわりに類似した症状を引き起こす疾患も複数あるため、初めて「口唇ヘルペスかも?」と感じたときは病院を受診することをおすすめします。
・症状が重い場合
症状が重いときには、内服薬を利用したり、入院して点滴を受けることもあります。これらは病院でしか処方、処置がされないため、医師の診察を受ける必要があります。塗り薬は皮膚症状へ直接作用しますが、症状が重い場合には飲み薬でウイルスの増殖をおさえることができます。再発の場合、ピリピリ、チクチク、ムズムズといった前兆を感じたら、早めに受診して治療を受けることが、早く治すための近道です。
また、過去に口唇ヘルペスになったことがあり、市販の塗り薬を使っている人でも、症状が5〜7日で改善されなければ、他の病気の可能性もゼロではありません。一度口唇ヘルペスの診断を受けている人でも油断せず医療機関へ相談しましょう。また、症状がなかなか治らなかったり、再発を繰り返したりする場合は体の抵抗力が落ちていると考えられますので、十分な休養と睡眠が必要です。
3-3 歯科系医院にかかるときは歯科口腔外科へ
口唇ヘルペスは、口のまわりに出る症状であるため、歯科系の医院でも治療が可能です。ただし、一般的な歯科には口唇ヘルペスの薬を常備していない可能性が高いため、歯科口腔外科を受診するようにしましょう。かかりつけの歯科・歯科口腔外科がある場合には、電話をして口唇ヘルペスの症状に対応してくれるか確認してみることをおすすめします。
口唇ヘルペスの知識のない診療科にかかると、口内炎などと間違われてしまい、誤ってステロイドが処方されてしまう恐れがあります。誤った処方でステロイドを使うと、口唇ヘルペスのウイルスを活性化させるために逆効果となります。病院に行くときは歯科口腔外科または内科、皮膚科などを受診し、薬を処方してもらうことをおすすめします。症状によって鎮痛や治療の促進のためにレーザーを使うこともあります。
4.まとめ
今回は、口唇ヘルペスについてご紹介しました。ドラッグストアなどで購入することができ口唇ヘルペスに対応した市販薬もいくつかあります。
しかし、口唇ヘルペスの市販薬は主に再発を防ぐという目的で販売されているため、初めて口唇ヘルペスになったという方は薬を使用することで逆に悪化してしまうといった事態を防ぐためにも医療機関に相談してみることをおすすめします。
そもそもヘルペスはウイルス感染のため、医師から症状に合った強さの抗ウイルス薬の処方を受けることが望ましいです。アトピー性皮膚炎が出ている場合、医療機関では症状によってヘルペスの治療について判断をし、抗ウイルス薬を処方しないこともあります。アトピーの薬との塗り分けなど注意点を医師によく確認しましょう。
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監修医貝塚浩二先生
コージ歯科 院長
■院長経歴
1980年 岐阜歯科大学 卒業
1980年~ (医)友歯会ユー歯科~ 箱根、横浜、青山、身延の診療所 勤務
1985年 コージ歯科 開業
1996年~2002年 日本大学松戸歯学部生化学教室 研究生
歯学博士号 取得
2014年 昭和大学 客員講師
現在に至る