ホワイトニングには、歯医者さんで行うオフィスホワイトニングと自宅で行うホームホワイトニングの2種類があります。いずれも方法は違いますが、歯を白くするメカニズムは同じで、注意点も共通している部分が多くあります。ホワイトニングで特に気をつけたいのは、日々の食事です。せっかく白くした歯も、食事次第でまた着色してしまうおそれがあります。
一体どんな食事をとるのがよいのでしょうか。また、着色しやすい食事をとってしまったときの対処法についても調べました。
この記事の目次
1.ホワイトニング後の食事に気をつけるべき理由
ホワイトニングでせっかく白い歯を手に入れても、口に入れるものに気をつけなければまた着色汚れがついてしまいます。特にホワイトニング直後は注意が必要です。その理由は3点あります。ひとつずつご紹介いたします。
1-1 ホワイトニング後48時間以内は着色しやすい
ホワイトニングは、歯の皮膜(ペリクル)を汚れとともに取り除きます。歯の表面が一枚はがれてエナメル質がむき出しの状態になっているので、歯が着色しやすい状態になっています。ペリクルは時間が経てばまた作られますが、再生されるまでの間は色素がつきやすいことに注意しておかなければなりません。
ペリクルの再生には、ホワイトニング後12〜48時間かかりますので、ホワイトニングを行ったら少なくとも24時間は、食べ物や飲み物などによって歯の表面に色素がつかないよう気をつける必要があります。
1-2 ホワイトニング後は歯が敏感になっている
ホワイトニングによってエナメル質がむき出しになると、一時的な脱灰状態(カルシウムが奪われる状態)になり、知覚過敏を起こしやすくなります。歯は脱灰しても再石灰化されて時間が経てば再び元に戻りますが、酸性の強い食品をとると元に戻りにくくなり、歯がしみたりする場合があります。
1-3 ホワイトニング効果は永久ではない
ホワイトニングを行って歯が白くなっても、その効果は永久に続くわけではありません。ホワイトニングでは過酸化水素という薬剤で歯を白くしますが、色素は時間とともに後戻りします。一般的にホワイトニングの効果が持続するのは3~10ヶ月程度といわれています。
2.着色しやすい食事について
ホワイトニング後でもいつものように食事をとることは差し支えありませんが、着色しやすい食べ物や飲み物は避けるようにしたほうがよいです。具体的には、次のようなものは着色のおそれが高いものなので、なるべく控えるようにしましょう。
2-1 唾液に色がつく食材や調味料
・醤油、味噌、ソース、タレ、緑黄色野菜など、食材や調味料そのものの色が濃いもの
一般に色が濃い食べ物は、唾液に色がつきやすく、その唾液の色が歯に着色してしまいます。調味料は味噌、ソースよりも塩やハーブスパイスにしましょう。焼き肉のタレなどにも注意します。
2-2 ポリフェノールやアントシアニンを含む食品
・赤ワイン、ブドウ、チョコレート、イチゴ、ブルーベリーなど
ポリフェノールを多く含む赤ワインは健康によいとされていますが、着色汚れが最もつきやすいのでホワイトニング後は避けたほうが無難です。チョコレートやココアには、カカオマスポリフェノールという成分が含まれています。
2-3 タンニン、カテキンを含む食品
・コーヒー、ウーロン茶、紅茶、緑茶、 ほうじ茶など
タンニンはポリフェノールの一種で、いわゆる「渋」といわれる成分です。食器に茶渋がつくように、タンニンは歯を着色してしまう可能性があります。
2-4 イソフラボンを含む食品
・豆腐、納豆、豆乳など
イソフラボンもポリフェノールの一種です。ポリフェノールは歯に色素沈着を起こしやすい物質のため、元の食品の色が濃くなくても、歯の黄ばみに結びつきます。豆腐などは色が白く着色しにくいようにみえますが、注意が必要なのです。
2-5 酸性食品
・トマト、レモン、わさび、からし、マスタード、ケチャップ、 カレー(香辛料) など
ベクリルがはがれた状態の歯に刺激となるような酸性の強い食品は避けます。注意したいのは、調味料とドリンク剤で、酢や柑橘系の原料を使ったドレッシングや、ビタミンCを含んだ栄養ドリンク、炭酸飲料などは避けるようにしましょう。
3.着色しやすい食事に対する対処法
着色しやすい食べ物は少なくないので、うっかり口にしてしまうこともあるかもしれません。そんな場合でも慌てずに対処するにはどんな方法があるのでしょうか。
3-1 着色しやすい食事をとってしまったら
すぐに歯を磨くことが大事です。着色汚れ(ステイン)除去をうたっている歯磨き粉や、ホワイトニング用歯磨粉などを使うとさらによいでしょう。ホワイトニング後長い間には、着色しやすいものを食べることもあるので、歯医者さんで定期的なクリーニングを受けるようにすると安心です。
3-2 着色しやすい食事をとる前の対処法
どうしても食べたいものがあるときは、水をコップに一杯飲んでから食べるという方法があります。口腔内が乾いているほうが着色しやすいので、湿らせてから食べることで少し着色しにくくなります。
4.ホワイトニング後におすすめのメニュー
上記のような知識を前提に、朝食、昼食、夕食にはどのようなメニューを食べればいいのでしょうか。ここで、いくつか例を挙げてみます。ポイントはなるべく色が薄い、もしくは白い食べ物を選んで食べることです。
4-1 朝食のメニュー例
パン食は心配ありませんが、ジャムではなくバターやマーガリンがおすすめです。飲み物は牛乳をおすすめします。
4-2 昼食のメニュー例
ランチにパスタを食べるなら、酸性のトマトを使ったトマトソース系ではなく、白いホワイトクリームソース系を選びましょう。ソースを使わないペペロンチーノもおすすめです。麺類なら、色の濃い味噌を使った味噌ラーメンよりも塩ラーメンを食べましょう。
4-3 夕食のメニュー例
白米は食べても大丈夫です。焼き肉や焼き鳥は、色の濃い調味料を使ったタレではなく塩かコショウで味付けします。キャベツやレタス、大根などを使ったサラダはよいですが、酸性のトマトは入れないようにしましょう。
ドレッシングは酸性の酢をダイレクトに使ったものよりも、酢がマイルドなマヨネーズなどがおすすめです。ハンバーグにはトマトを使ったケチャップや色の濃いソースはやめて、塩・コショウを振りかけます。ピクルスには、日本の浅漬け類はよいですが、唐辛子の色素が強いキムチは避けます。白身魚のソテーもよいです。
飲み物は、赤ワイン、コーヒー、ウーロン茶、紅茶は避けます。ワインなら白ワイン、他のアルコールなら日本酒や焼酎がおすすめです。おつまみは、白い乳製品のチーズなどがよいでしょう。最も着色しない飲み物は水です。
5.まとめ
せっかくホワイトニングをして白くてきれいな歯を手に入れたのなら、できるだけ長くその歯を保っておきたいものです。ポイントはホワイトニング直後の食事と、さらにその後の食事で着色しやすいものを避けることです。特にホワイトニング直後は着色しやすいので、慎重に食事をするようにしましょう。
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監修医貝塚浩二先生
コージ歯科 院長
■院長経歴
1980年 岐阜歯科大学 卒業
1980年~ (医)友歯会ユー歯科~ 箱根、横浜、青山、身延の診療所 勤務
1985年 コージ歯科 開業
1996年~2002年 日本大学松戸歯学部生化学教室 研究生
歯学博士号 取得
2014年 昭和大学 客員講師
現在に至る