子どもの歯列矯正は小児歯科へ行くべき?その理由とは

子どもの歯列矯正は小児歯科へ行くべき?その理由とは

近ごろでは、歯列矯正の方法や装置などが豊富にあり、以前よりも歯列矯正へのハードルは低くなってきました。一部だけを矯正したり、見た目にはわかりづらい、目立たない歯列矯正をしたりと、多くの子どもが治療を受けています。アメリカなどの先進国では、歯列矯正がひとつの身だしなみとして認識されています。日本でも、将来の向けて見た目を改善する目的や、勉強や運動での集中力の高まりを期待して、歯列矯正を受ける子どもが増えています。そこで気になるのが、小児歯科と一般的な矯正歯科の違いです。いったい、この両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

11,889 View

※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。

この記事の目次

1.小児歯科と一般の矯正歯科は何が違うの?

子ども 矯正 小児歯科

小児歯科とは

小児歯科では、子どもの歯に詳しい歯医者さんが対応してくれます。大人も子どもも同じ歯のように見えますが、子どもの場合はこれから乳歯が永久歯に生え変わったり、顎の骨自体が成長したりと、変化が大きい時期です。

小児歯科ではそれらを加味して治療をするため、一般的な矯正歯科とは違う、小児矯正ならではの知識が必要になります。ほかにも、虫歯の治療などをしながら、歯の生え変わりのタイミングなどに合わせてより適した治療が行えるのは、小児歯科ならではのメリットといえます。

さらに、子どもの対応に慣れているというメリットもあります。歯医者さんを怖がる子どもは多く、「歯医者さんへ行く」ということに不安や緊張がともなうものです。親御さんとしても、歯医者さんで泣かれたりしたらと思うと、行く前から心配になってしまいますよね。小児歯科では、そういった不安が少なく通わせられるのがうれしいところです。

矯正歯科とは

矯正歯科は、歯列矯正に専門性のある歯医者さんのことです。ほとんどの患者さんが大人であることが多く、子どもへの対応が慣れていない歯医者さんもなかにはあります。

小児歯科ではこんな指導も!?

生活習慣が子どもの歯列矯正に影響を与えていることがあります。例えば、指しゃぶり、頬づえ、うつぶせ寝、唇の咬みぐせ、爪噛みなどです。

これらの癖がある場合、歯医者さんから正しい習慣を身につけるように指導されることもあります。根本原因を早期に取り除けば、大がかりな治療が必要なくなる可能性も高まります。親御さんが、できるだけお子さんの癖を気にかけてあげましょう。

将来的な可能性について教えてくれる

子どもに慣れている小児歯科は、これから成長する過程で歯列や身体などにどんな影響が出るのか、さまざまな角度から教えてくれます。もちろん、通常の矯正歯科でもある程度は伝えてくれますが、小児矯正を行っている歯医者さんなら、経験や実績からより具体的なアドバイスをしてもらえます。

例えば、以下のような事柄です。

・将来的に顔や身体などに歪みが発生する
・顎の関節が痛くなる
・虫歯や歯周病のトラブルが発生しやすい
・咀嚼がうまくできないなど、食事に影響が出る
・発音がしにくいなど、喋りづらくなる
・将来的に上記の状況に悩み、精神的に影響を受ける可能性がある

現状で取り立てて問題がないと、「きっと大丈夫だろう」と軽く考えてしまいがちです。しかし、将来的に痛みが発生したり、咀嚼ができないなど食習慣に支障をきたしたりすることもあるのです。
身だしなみが気になる年齢になると、歯列の悪さに悩んで、精神的に影響を受ける可能性もあります。将来そうならないように、予防法や治療法など、経験豊富な小児歯科の歯医者さんなら丁寧に教えてくれるはずです。

子ども向けの設備が充実している

小児歯科の場合は、子ども向けの設備などが充実していることが多いです。子どもは怖がることが多いため、キャラクターの飾りつけをしたり、リラックスできる院内の雰囲気づくりをしていることも多いです。

また、治療前に器具を見せたり、治療器具の音を聞かせたりして、不安感を拭う工夫をしている歯医者さんもあります。他にも、子ども向けにお土産を準備したり、シールをくれたりと、子どもが歯医者さんに通いたくなるようなさまざまな取り組みがされています。

2.歯列矯正を子どものころからしたほうがいい理由

子ども 矯正 小児歯科

発達過程の方が治療しやすいケースがある

上顎や下顎のバランスを整えやすい発達過程の歯列矯正は、大人になってからの治療よりも調整がしやすいです。小児矯正には、第1期治療と第2期治療があり、第1期治療で早めに治療を始めた場合は、あとから、抜歯などの大がかりな治療をせずにすむ可能性が高まります。

「このままだと顎の骨の発達に悪影響がある」といったケースでも、早めの受診で未然に防ぎやすくなります。

指しゃぶりなどの癖を治し、よりよい発達を促す

指しゃぶりなどが原因で歯列が乱れている場合、その癖を早期に直せば、歯並びへの悪影響を防げて、よりよい発達を促すことができます。

指しゃぶりのように目立つ癖ならすぐにわかりますが、、例えば舌で前歯を押してしまうなど、深い知識がなければ気づけない癖もあります。それらの癖を取り除くためにも、早期から歯列矯正の相談へ行くのがとても大切なのです。

歯列矯正の問題を解決すると、食べ物の咀嚼や発音など、他の機能にもよい影響があります。見た目だけの問題だと思わず、子どもの身体の発達を健康に促していくためにも、早めに歯医者さんを受診しましょう。

早期発見で適切な治療が可能になる

先天的に欠如している歯があるという子どもの場合、早期発見と早期の対処がそのあとの歯の発達を大きく左右します。早期発見をすることで、歯が生えるスペースを調整したりでき、大人になってから治療するよりも負担が少なくすみます。

早期発見で、より適切な治療が受けられる症例としては、先に紹介した歯が先天的に欠如している先天性欠如歯のほかに、歯が生えてこない埋伏歯(まいふくし)などもあります。

虫歯など、歯の治療全体の知識に詳しくなる

歯医者さんに定期的に通うことから、歯のケアへの意識が高まり、予防歯科にも詳しくなります。正しい歯みがきの方法を自然と習得したり、お口の中の健康チェックが定期的に行えるため、虫歯や歯周病などの予防に関する知識が深まるのです。歯の病気は、虫歯にしても歯周病にしても、一度かかると治すのに時間と費用がかかるので、事前に詳しくなっておくことはとても大きなメリットになります。

大人になってからでも問題ないケースも

大人の歯科矯正は、子どもの歯科矯正に比べて時間がかかったり、治療が大がかりになるケースが多いです。もちろん、さほど負担がないケースもあるようですが、それは個々の治療内容によって変わります。もし気になることがあれば、子どものころから歯医者さんに相談し、歯医者さんに歯列矯正を始める適切な時期を見極めてもらいましょう。

3.早めに受けて負担減?歯列矯正の費用について

小児歯科の歯科矯正の相場とは?

歯列矯正というと、「治療費が高い」というイメージがあります。しかし、だいたいの目安がわかっていれば、治療を受けるための経済的な計画も立てやすくなりますよね。ここでは、歯列矯正の費用の相場について触れていきます。

◆乳歯列期と混合歯列期の費用

乳歯だけが生えている時期に行う歯列矯正のことです。場合によっては、第1期と呼ぶこともあります。乳歯列期の治療を受けられるのは、乳歯から永久歯へと変わる小学校中学年くらいまでです。
混合歯列期は、乳歯から永久歯へと生え変わる時期です。乳歯と永久歯が混合した状態なので、混合歯列期と呼びます。治療の上では第1期治療の後半にあたります。
乳歯列期と混合歯列期の治療は、まとめて第1期治療と呼ぶことがあります。この第1期治療の費用相場は、だいたい10万円〜40万円ほどです。

◆永久歯列期の費用

永久歯が生え揃った時期を、永久歯列期と呼びます。この時期では、大人と同じような歯列矯正の治療が行われます。
永久歯列期は、治療の区分でいうと第2期治療と呼ぶことがあります。第2期治療の費用は、だいたい30万円〜60万円ほどです。その治療内容や、装置をつける範囲などによって、費用が決まります。

◆第1期と第2期の治療を続けて受ける場合

第1期治療を行ってから第2期治療を受けると、歯の位置を調整しやすいなどのメリットがあります。治療期間も短くなり、治療自体の負担が減るため、治療費も割安になることが多いです。

※費用は歯医者さんによって違います。

大人になるまで治療するケースの場合の料金

一般的には、子どものころから大人になるまで矯正治療が続く場合、かかる費用を子どものころからのトータルで考えて、調整してもらえる歯医者さんが多いです。ただし、同じ歯医者さんを受診している前提なので、引っ越しなどで別の歯医者さんにかかった場合は、基本的に新規扱いになります。矯正費用が支払い済の場合は、一部返金してもらえる可能性もあるので相談してみましょう。

また、矯正治療を終えた場合でも、何年か経つと、歯並びがもとに戻ってしまうケースも見られます。口周りの筋肉が複雑に影響するなどのさまざまな理由で、再び悪化してしまうのです。その理由によって再治療の金額は変わってきます。

これらの理由から、矯正治療を開始する前に、費用面についてはしっかりと確認しておく必要があります。引っ越した場合、矯正がもとに戻ってしまった場合など、心配なこと、不安なことは事前に聞いておくようにしましょう。

小児歯科での矯正は自由診療

歯列矯正は、基本的には自由診療で保険は適用されません。自由診療ということは、料金が一定ではなく、歯医者さんによって金額が大きく違うこともあるということです。

まれに保険が適用されますが、そのケースは一部の疾患に限られ、ある一定の条件を満たした場合のみです。

例えば、「口蓋裂や口唇裂などの先天的な咬合機能」の場合は、保険治療をしている歯医者さんで診療を受けた場合には保険適用されます。また、指定自立支援医療機関に指定されている病院で治療した場合には、自己負担分も自治体が補助してくれます。

「外科的な治療が必要な顎変形症」の場合は、指定されている医院で治療を受ければ保険適用が可能となります。

将来引っ越す際には治療費が変わることも

歯列矯正は長い期間をかけて行う治療です。そのため、将来的に転居などの可能性がある場合は、その治療を始める時期や転居先なども配慮して決めなければいけません。

また、転居等で通う歯医者さんが変わると、料金などが変わってしまう可能性もあります。事前にどれくらいの治療期間がかかるのかも確認しておくと、将来生活に変化があった際にも慌てずにすむでしょう。

4.まとめ

子どものころから歯列矯正を始めると、たくさんのメリットがあります。そのため、歯列が気になれば一度歯医者さんに相談して、適切なタイミングで治療を始められるようにしておきましょう。治療費が高額になることは、歯医者さんも当然把握しています。治療を始める適切なタイミングがわかれば、身体に負担も少なく、コストも低く抑えて治療できる可能性が高まります。早い段階で、一度は歯医者さんに相談しておくことが大切なのです。

不正確な情報を報告

子どもの歯列矯正は小児歯科へ行くべき?その理由とは

監修医 飯田尚良先生

飯田歯科医院

院長

【経歴】
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る
小児矯正のある歯医者さんを探す