早い方がいいって本当?子どもが矯正を始めるのに適切な年齢は

子ども 矯正 年齢

早い方がいいって本当?子どもが矯正を始めるのに適切な年齢は

自分の子どもの歯並びが悪いことを気にしていませんか。受け口や出っ歯、斜めを向いた歯や凸凹の歯並びなどいつごろから矯正をすればよいのか、遅くても問題ないのか迷っている方もいるかもしれません。

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この記事では、お父さんお母さんたちに対して、お子さんが矯正を始めるのに適切な年齢を紹介します。また、1期治療や2期治療の内容、メリット、矯正期間や痛みなども合わせて解説しますので参考にしてくださいね。

この記事の目次

1.子どもの歯の状態

3歳~6歳

この時期はすべての歯が乳歯の状態(乳歯列期)です。乳歯が生え始めてから永久歯に生えかわっていく時期となります。このころの指しゃぶりや悪いクセ、虫歯などの悪化で歯並びを悪くしてしまう可能性があるので、定期的に歯医者さんにチェックしてもらうことが大切です。

7歳~10歳

乳歯と永久歯が一緒に生えている時期(混合歯列期)です。骨格やあごの成長を矯正によってコントロールできるため、この時期に、次章で紹介する「1期治療」をするのがよいとされています。

12歳~15歳

永久歯がすべて生えそろってくる時期(永久歯列期)です。成長が止まり切る前のこの年代のうちに、歯の一本一本に装置をつけて矯正する「2期治療」を行うことが望ましいです。

2.歯の成長に合わせた2段階の治療

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骨格を矯正していく1期治療(7歳~10歳)

1期治療は乳歯と永久歯が一緒に生えている状態(混合歯列期)で始めるのがよいとされています。その理由は、まだ骨やあごがやわらかく骨格から矯正しやすいからです。
日本人はあごが小さい人が多く、その状態で歯が生えてきてしまうことで乱ぐい歯になる可能性が高くなるため、早めの治療が必要です。あごが小さい場合は、あごの骨を大きく広げる取り外し式の装置を使ったりして治療をすすめます。また、指しゃぶりや舌で歯を押すなどの悪いクセがある場合も専用の装置を使って改善に導いていきます。
噛み合わせ、それぞれのあごの形、クセなどを考慮して早い時期から経過を観察することで歯並びがひどくなる前に治療することができます。もし、永久歯が並び終わった際に噛み合わせや歯並びに問題がなければ、そのまま1期治療のみで終了することもあります。

歯並びを整えていく2期治療(12歳~)

すべての永久歯が生えそろってきた段階で矯正治療を始めるのが2期治療です。個人差がありますが、だいたい12歳くらいが目安となります。歯の一本一本にブラケットというワイヤー器具をつける治療であれば、1期治療では改善しきれなかった細かく繊細な治療が可能となります。それによって、歯並びの仕上げの段階に入ります。2期治療の目安は12歳からまだ歯が完全に固定していない18歳くらいですが、もちろん19歳以降でも治療することが可能です。成長が止まってしまった大人の矯正と比べて歯が動きやすいというメリットがあるので、早めに歯医者さんで相談してみてください。

大人向けの「成人矯正」というものもあります。ただし年齢にもよりますが、大人になると骨やあごの形があるていど固まってくるため、矯正にはより労力がかかる傾向があります。さらに、ワイヤーを固定するブラケット矯正などを、大人は見た目の問題から避けることが多いです。より目立たない裏側矯正やマウスピース矯正を選ぶため、費用や期間もかさみがちになります。

大人になってからの矯正には手間や費用、時間がかかります。歯並びが気になるのであれば、なるべく早めに歯医者さんで相談することをおすすめします。

3.矯正を受けるメリット

1期治療のメリット

・永久歯を抜く可能性が低くなる
・歯並びがキレイになるとブラッシングがしやすくなる
・虫歯や歯周病の予防になる
・2期治療の期間が短くなる、あるいは必要なくなる
・痛みが少ない
・骨やあごがやわらかいため骨格から矯正が出来る
・噛み合わせを治しやすい
・悪いクセを改善しやすい

1期治療をすることで永久歯を抜かずに矯正できる確率が上がります。また、ワイヤーなどをつけて矯正をしていく2期の治療期間が短くなる、もしくは必要なくなることもあるのです。取り外し式の矯正器具を選べば歯磨きは問題なく可能です。早いうちに歯並びや噛み合わせを矯正することで、歯ブラシが奥歯や歯の間にまで届きやすくなり、上手にブラッシングができるため虫歯予防になることもメリットのひとつです。

2期治療のメリット

・噛み合わせなど細かい調整がしやすい
・1期治療からであれば期間もかかりにくく費用が安い傾向がある
・骨や歯が固まっていないため大人になってから矯正をするよりスムーズ

2期治療でも、ワイヤーを歯一本一本にとりつけるブラケット矯正などを選べばミリ単位で細かい歯並び、噛み合わせの調整がしやすくなります。「ブラケット矯正だと見た目的に目立つのでイヤだ…」という子どもでも、取り外しができるマウスピース矯正や、歯の裏側から見えずに矯正できる裏側矯正などを選べば無理なく治療が進められます。

4.どのくらいの期間かかるか

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1期治療の治療期間

子どもの歯の状態や生えかわりの時期によっても違いますが、目安は10か月~1年半ほどです。1期治療が終わったあとすぐに2期治療にうつるわけではなく、永久歯が生えそろうのを数年待つこともあります。その間、経過観察をするため定期的に歯医者さんに通うことが多いです。

2期治療の治療期間

大人の矯正と同じくらいの期間である、1年半~2年くらいが目安になります。ただし1期治療で土台が整っている場合には、治療期間が短くなることもあります。

5.矯正は痛いのか

1期治療

基本的に1期治療では、ワイヤーなどを使わずあごの骨や骨格を整える矯正をします。例えばあごを広げるために床矯正という装置を使ったりしますが、それは自分で取り外しできるものが多いので、痛みがあったら外せばよいでしょう。ただし、せっかく矯正用の装置を作ったのに長時間外したままだと効果が弱まってしまいます。お父さんお母さんが毎日チェックしてあげることが大切です。もし、どうしても痛みに対して我慢ができないようであれば、歯医者さんに遠慮なく相談してください。

2期治療

基本的に2期治療では、ブラケットなど歯を一本一本固定する装置を使うため、痛みや違和感を覚えてもすぐには取り外しができません。痛みや違和感は少しずつ慣れてくるようですが、もしどうしても我慢ができなければ歯医者さんで相談してみましょう。
ストレスの少ない矯正方法を望むのであれば、短いワイヤーを使って一部分だけ矯正する部分矯正や取り外し式のマウスピース矯正、歯の裏側に装置をとりつけて矯正する裏側矯正などもあります。裏側矯正は見た目が目立たず、他人の視線が気にならないというメリットはありますが、その分、舌に矯正器具が触れていることが多く、違和感を覚えることもあるようです。それぞれのメリット、デメリットを知り、子どもにあった矯正方法を選びましょう。また、すべての医院でこれらの治療法が選べるわけではなく、歯医者さんによってはブラケット矯正しかしていないというところもあります。受診前にホームページなどで診療内容をチェックするようにしましょう。

6.まとめ

子どもの矯正治療は、なるべく7歳~10歳の1期治療のうちから行った方が、骨格なども含めた幅広い治療が可能になります。乳歯や生えたての永久歯は虫歯になりやすいので、早い時期から歯並びを整えておくことで虫歯、歯周病予防にもつながります。また、1期治療からスタートすることで、成人矯正より治療期間が短くすむというメリットもあります。小児期に矯正をするもうひとつの利点は、顎の成長コントロールをしながら行えることです。大人になり骨格が決まってしまうと、抜歯をしないときれいに歯が並ばないことが多いようです。
もちろん18歳、19歳でも矯正はできるので、「もう遅い…」とあきらめずに歯医者さんに相談してみましょう。

子どもの矯正は、大人がしっかりチェックしてあげることが大切です。痛みや違和感を覚えて、装置を外してしまっていないか、正しく装着できているか、ブラケット矯正をつけた状態で歯みがきがきちんとできているかなどきちんと確認してあげましょう。
また、子どもによっては取り外しができないブラケット矯正をつけてから、友達の目を気にして笑わなくなくなった、話さなくなったなど性格が変わってしまうこともあります。子どもとのコミュニケーションを取りつつ、学校での様子も気にかけてあげましょう。

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早い方がいいって本当?子どもが矯正を始めるのに適切な年齢は

監修医 野崎康弘先生

医療法人社団 医康会 ジェイエムビル歯科医院

院長

【経歴】
1990年 日本歯科大学 卒業
1990年~1995年 医療法人社団医恵会 勤務
1996年 ジェイエムビル歯科医院 開院
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