子供の矯正は、乳歯がある場合、歯並びのベースとなる顎の矯正をも見据えたものとなっています。治療内容にもよりますが、大人の矯正と比べ費用がかからずに済むケースもあります。
コラムを読んで、お子さんの歯に関してわからないことや不安なことがあれば、小児歯科の歯医者さんに相談してみましょう。
※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
この記事の目次
1.ふたつの治療時期と費用の目安について
治療時期と費用の目安
子供の矯正は、6歳から小学校中学年までの一期治療と、小学校高学年から中学生くらいまでの二期治療に分かれます。一期治療では、顎の骨格の矯正が中心となり、二期治療では歯列矯正が中心となってきます。
【一期治療】6歳から小学校中学年くらいまで
【費用】10万円から50万円程度
乳歯と永久歯が混在する時期が、一期治療の時期となります。永久歯がきれいに生えそろうよう、上下の顎のバランスや大きさなどを整える矯正が中心となります。
【二期治療】小学校高学年から中学生くらいまで
【費用】20万円から120万円程度
永久歯が生えそろっている場合は、二期治療の範囲となります。基本的な治療方法は大人の矯正と同じです。一期治療から始めた場合、二期治療の費用から一期治療の費用を差し引いてくれる歯医者さんが多いようです。
ただし、同じ歯医者さんでなければ差し引かれないなど、条件は歯医者さんによって異なります。一期治療の説明を受ける際、二期治療の可能性も踏まえて確認しておくことをおすすめします。
保険の適用について
子供の矯正でも、一般的に考えられている「咬み合わせの悪さ」を改善するための矯正治療は、原則として保険適用外です。
「顎の外科手術が必要な顎変形症の手術前後の矯正治療」のほか、「前歯の永久歯が3本以上、正常に生えてこないことに起因する、咬み合わせ異常」「厚生労働省が定めた疾患に起因する、咬み合わせ異常」などと認められた場合、保険診療の対象になることがあります。
これら保険適用される医療機関は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして、地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関のみになります。
年度により変更となることがありますので、この名簿の医療機関にご紹介される場合、または受診を希望される患者さんは、あらかじめ各医療機関に「保険適用となるか」直接、ご確認されるようお願いいたします。
2.子供の歯列矯正方法と費用
一期治療と二期治療によって、矯正方法が変わります。また、原則として自由診療のため、費用は歯医者さんごとに異なるほか、使用する装置や症例によっても変わってきます。
下記で紹介している費用は、ひとつの目安として参考にしてください。
一期治療と二期治療の違い
一期治療は、上下の顎の骨のバランスを整えたり、永久歯が生えるスペースを作ったり、前歯の咬み合わせを良くすることなどが大きな目的です。
顎の骨の状態や、歯並びなどから治療方針を決定し、矯正装置を選択します。
装置には、前歯だけなど部分的なブラケット、マウスピース、床装置(プレート)、拡大装置、ヘッドギアなどがあります。
一方、永久歯が生えそろい、本格的に歯を動かしていくためにおこなうのが二期治療です。いわゆる、成人の矯正と同じです(分かりやすく区別している歯医者さんもあります)。
装置はワイヤー・ブラケット(唇側・舌側)、マウスピースなどが一般的です。
なお、一期治療の適齢期は6歳~11歳頃とされていますが、3歳児健診などで「反対咬合(受け口)」を指摘された場合、6歳を待たずに治療を始めることもできます。
その場合、マウスピース型の矯正装置を使うのが一般的です。
反対咬合の矯正は、早い時期に始めた方が成果も得られやすいと言われています。3歳児健診などで反対咬合の可能性があると言われたら、早めに歯医者さんに相談してみましょう。
費用の目安
処置 | 費用の目安(税別) |
検査・診断料 | 1万5000~5万5000円 |
一期治療 | 10万~50万円 |
二期治療 | 20万~120万円 |
調整料(処置料) | 2000~7000円 |
観察料 | 2000~5000円 |
※歯医者さんごとに変わるため、あくまで目安です。調整料(処置料)および観察料は1回ごとの費用です。また、初回の相談が有料の歯医者さんもあります。受診前に確認しておきましょう。
子供の矯正費用は、矯正装置のほか「検査・診断料」「調整料(処置料)」「観察料」といった費用がかかるのが一般的です。
ただし、トータルフィー(総額制)を採用している歯医者さんの場合、「調整料(処置料)」「観察料」などは費用に含まれていることが多いです。
また、同じ歯医者さんで一期治療から続いて二期治療を受ける場合、一期治療の費用を差し引いてくれることもあるようです。
こうした料金体系も歯医者さんによって変わるので、カウンセリングを受けたときに詳しく確認しておきましょう。
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3.子供の矯正のメリット
健全な顎の成長を促したり、将来的に抜歯が必要になるリスクが減ったりと、子供の矯正にはさまざまなメリットがあります。
顎の成長を助ける
前述した通り、特に永久歯の生えそろっていない一期治療では、顎の成長を問題ない形に近づけていく矯正が主体になります。
この時期に矯正すれば、上下の顎のバランスや大きさを整えやすいというメリットがあります。
将来的な抜歯のリスクが減る
大人の矯正では、歯列を整えるため抜歯をするケースもあります。顎が小さく、歯が生える十分なスペースがないまま成長しきってしまったためです。
一方、子供の矯正は顎の成長に合わせておこないます。永久歯が生えるスペースもできやすく、結果的に大人になってからの抜歯リスクを減らすことにもつながります。
定期的な虫歯のチェックも可能
矯正している間は、1、2カ月に一度、定期的なチェックを受けることとなります。
その際、虫歯のチェックや予防などをしてもらえば、歯の健康を保つことにつながります。
呼吸や滑舌、口、舌の使い方も見直せる
指しゃぶりや舌癖などが歯並びに影響していたり、歯並びの悪さが口呼吸や滑舌の悪さにつながっていたりするケースもあります。
歯医者さんの指導や矯正器具で悪い癖を止めることができれば、全身の健康にプラスになります。
4.子供の矯正のデメリット
子供の生活に負担がかかったり、本人の努力が必要であったり、また、定期的なチェックを怠ると、虫歯のリスクが高まったりするというデメリットもあります。
矯正期間が長くなる場合もある
顎の成長が止まるのは、15歳前後と言われています。
したがって、顎が健全に成長するまで継続的に矯正をおこなう場合、治療期間が長くなる可能性があります。
治療法によって虫歯のリスクがある
歯に装置を固定するブラケット矯正の場合、食べかすが挟まりやすく、ブラッシングもしにくいので、虫歯になるリスクがあります。
定期的な検診で、虫歯のチェックや予防をしてもらうことが肝心です。
子供の生活に負担がかかる場合がある
子供にとって、表側のブラケット矯正は見た目も大きく気になるだけでなく、口の中に異物があるという、違和感も続きます。
また、就寝中や一定時間だけのマウスピース矯正でも、子供にとっては大きなストレスになる可能性があります。
治療法によっては本人の努力が必要
特に、マウスピース矯正の場合は自分で取り外しできるので、継続して治療する本人の意志が必要となります。
決められた装着時間を守れないと、治療が長引いてしまう可能性もあります。
5.まとめ
子供の歯並びを、なるべく早い時期に整えたいと思う一方で、子供の生活に負担がかかってしまうのではないかという心配もあるでしょう。
しかし、矯正治療の成果に関しては、顎の成長が止まった大人になってからよりも、子供のうちに始めた方が、良い場合が多いです。
迷っている方は、その治療方法も含めて、歯医者さんとじっくり相談してみましょう。