大人の病気にも思える歯茎のトラブルですが、実は赤ちゃんにも起こりうるものだということを知っていますか?歯茎が赤く腫れ上がっている、出血しているなど、見つけたらびっくり動揺してしまうかもしれませんね。実は、赤ちゃんの歯の腫れには、虫歯や病気、乳歯が生えてくるのに伴ったものなど、さまざまな理由があります。もし、そういった症状を見つけたらどう対処すればいいのでしょうか?この記事では、赤ちゃんの歯茎が腫れているときに考えられる原因と、その対処法について紹介していきます。虫歯にもなりやすい赤ちゃんの小さな歯を、正しい知識で守っていきましょう。
コラムを読んで、お子さんの歯に関してわからないことや不安なことがあれば、小児歯科の歯医者さんに相談してみましょう。
この記事の目次
1.歯茎の腫れや出血の原因とは
虫歯が発生している
あまり考えたくないことですが、赤ちゃんの歯茎が腫れているのは、すでに虫歯が発生しているためかもしれません。歯茎や、歯と歯の隙間などに虫歯が出来てしまうと、食べカスや汚れがたまりやすくなり、その結果、赤ちゃんの歯茎も歯肉炎になって、腫れたり、出血したりします。素人目に虫歯かどうかを確認することは難しいため、虫歯の疑いが少しでもあれば、歯医者さんを受診するようにしましょう。
赤ちゃんは唾液が多く、唾液の殺菌作用で基本的には虫歯になりにくいものです。しかし、赤ちゃんでも虫歯になることはありますので、可能性がゼロでないことを頭に入れておきましょう。
歯が生えてくる前段階
乳歯は歯茎を破るようにして生えてきます。もうすぐ乳歯が生えるというときになると、歯茎が圧迫されて腫れたり、出血したりすることもよくあります。これは、歯が生える成長過程で必要な段階ですので、とくに心配する必要はありません。歯が生えて落ち着いてくれば、腫れや出血は自然と治まってきます。
歯茎に負荷がかかっている
赤ちゃんはお口にものを入れて噛み、いろんなものを認識します。また、乳歯が生えだすと歯みがきをするようになりますよね。それらの生活の中でかかる歯茎への負荷が、歯茎の腫れや出血の原因となっているかもしれません。もし、赤ちゃんが固く尖っているものを口にしているなら、それが原因で歯茎が傷つき、腫れや出血を起こしているのかもしれません。口に入れて危ないものは手にしないように、赤ちゃんが触れられない場所に保管しましょう。また、いつもしている歯みがきの摩擦が強すぎないか、気をつけることも大切です。赤ちゃんに自分で歯ブラシを持たせているのなら、危険な使い方をしていないか、よく見守ることも大切です。
お口の中の病気
歯茎が腫れていたり、出血したりしているのは、歯肉炎などの口内の病気が原因かもしれません。赤ちゃんの時期に発生しやすいお口の病気には、歯が生えるときに起こる萌出性歯肉炎や、ウイルス性のヘルペス性歯肉炎などがあります。これらは、歯茎が腫れて出血などが見られることもある病気です。
萌出性歯肉炎は、前述の内容でも触れたように、歯が生えてくるときに起こりやすい歯肉炎です。生えかけの歯やその歯茎などに食べ物や飲み物のカスが溜まることから発生します。歯みがきをしても、小さな歯や歯茎では、きれいに歯垢を落とせないことも多いです。このような状態ではお口の中が不潔になり、炎症が起きやすくなってしまいます。
ウイルス性のヘルペス性歯肉炎の場合は、家族などとの接触や、飛沫感染などで起こります。生後6か月以降の赤ちゃんに見られるもので、高熱が出ることもあるので注意が必要です。初期の段階ではヘルペス性歯肉炎だと断定できないこともあるので、もし歯医者さんや病院で診断されなくても、「ヘルペス性歯肉炎かもしれない」ときちんと赤ちゃんを観察するようにしてください。
また稀にではありますが先天的な疾患や全身的な病気の一つの局所的な症状として歯茎からの出血や腫れがある場合もあります。 このような血の止まりにくい病気を総称して出血性素因と呼びます。
歯茎全体からのじわじわした出血が続いたり、お口の中だけではなくて身体のあちこちに青紫のアザが出来やすかったり、ちょっと打った場所でもすぐに内出血しやすいなどの時はお医者さんに必ず相談してください。
2.赤ちゃんの歯茎の腫れや出血に有効な予防・対処法とは?
清潔さを保つのが基本
歯茎の腫れや出血は、食べかすなどが原因でお口の中が不潔になり、発生することが多いです。そのため、できるだけ清潔を保つようにし、食後はガーゼ歯みがきなどをして汚れを落としましょう。乳歯が生え揃ってくるころには、しっかりとブラッシングした方がよいでしょう。腫れや出血の原因となる歯垢も、きちんと落とすようにしましょう。
脱水症状に注意を
ヘルペス性歯肉炎の場合は喉やお口の中が痛むことから、赤ちゃんが飲食を拒否する可能性があります。できるだけ水分を取るようにして、脱水症状に注意することがとても大切です。水分を与えるときには、小さなスプーンなどで少しずつでも与えるようにしてください。ヘルペス性歯肉炎は完治までに2週間近くかかることもあります。早くても1週間程度はかかることがほとんどです。なかなか歯茎の腫れが治らないと思ったら、病院を受診して抗ウイルス薬を服用するようにしましょう。
3.歯肉炎になる悪習慣とは?
甘いものの食べ過ぎ
甘いものばかりを食べていると歯肉炎に発展することがあります。糖分摂取が多い生活をしていると歯垢が発生しやすくなり、そこから歯茎の腫れに発展してしまうのです。また、血液中の糖分が多い状態が続くと、炎症を起こしやすくなるともいわれています。
そのため、甘いものの与えすぎには注意しましょう。とくに赤ちゃんに与えやすい甘いジュースは、糖分が多くお口の中にばい菌が増殖しやすくなります。果物なども果糖が多いため注意が必要です。もし、おやつを与えるのであれば、糖分の少ない赤ちゃん用のおやつを与えるようにしてください。
お口のケアがきちんとできていない
もうすぐ1歳を迎えるころになると、赤ちゃんでも前歯がしっかり生えてきます。基本的には赤ちゃんはよだれがたくさん出てお口の中を殺菌しているので、虫歯にはなりにくいと考えられています。しかし、そんな赤ちゃんでも、食べかすが残った状態が長く続いていると、どうしても歯肉炎に発展しやすくなるのです。
神経質になる必要はありませんが、食べたあとにお茶を飲ませるなど、お口の中に食べかすを残さないよう工夫をするようにしてください。ちょっとしたことですが、赤ちゃんが虫歯や歯周病に侵されるリスクを減らすことができます。
歯垢が溜まっていないかチェック
赤ちゃんの歯の表面にネバネバぬるぬるした歯垢が溜まっていると、歯肉炎になって腫れや出血を引き起こしやすくなります。親御さんは、歯垢が溜まっていないかのチェックをこまめにしておきましょう。仕上げ磨きなどをするときにチェックしておけば、歯肉炎を防止することができるはずです。また、前歯部分だけでなく、サイドの歯茎もよくチェックしましょう。磨き残しやすい部分は、虫歯や歯肉炎にもなりやすい部分です。食べかすや歯垢が残っていないかをチェックをこまめに行いましょう。
4.歯茎が腫れているときの赤ちゃんによくある行動・症状
お口にものを入れるのを嫌がる
歯肉炎などで歯茎が腫れてくると、赤ちゃんも不快に感じるものです。お口にものを入れたがらなくなったり、食事を拒否したりすることもあります。もし、赤ちゃんが食事を嫌がったら、「お腹がいっぱいなのかな?」と見逃すことなく、歯肉炎を疑ってみてください。もし、食べるのを嫌がったら、まずはお口の中をチェックする習慣をつけましょう。
発熱・倦怠感を感じる
もし、赤ちゃんがヘルペス性歯肉炎にかかっていたら、発熱している可能性が高いです。ヘルペス性歯肉炎は高熱になることも多いので、必ず体温を測るようにしてください。この高熱は2日間〜5日間続くこともありますので、きちんと対処しなければ赤ちゃんの体力の心配も出てきます。歯肉の腫れが痛むだけでも赤ちゃんにとっては不快なことですが、赤ちゃんは高熱でぐったりし、元気がなくなってしまうことも。口周りに水疱ができることもあるので、よく観察するようにしてください。これらの症状が出たら、歯医者さんやお医者さんへ連れて行き、きちんと治療することも大切です。
5.まとめ
赤ちゃんの歯茎が腫れたら、まずは熱など、ほかの症状がないかをチェックしましょう。高熱がなければ、まずは小児歯科に連れていき、歯茎の腫れや出血の原因を探ります。もし熱が出ているようであれば、別の病気である可能性も考えて小児科を受診します。赤ちゃんの高熱は命にも関わることですので、早急に受診するようにしてください。日ごろから赤ちゃんのお口の中を見るようにして、気になる変化がないかをチェックすることも大切です。