この記事では、そんな方の悩みや不安を解消するため、子供の歯科矯正の必要性や治療法などについて詳しく紹介していきます。
※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
この記事の目次
1.矯正が必要な子供の歯並びと適切な治療時期
子供の歯科矯正の一番の目的は、当然歯並びを整えることです。歯並びが悪いと虫歯や歯周病などさまざまな問題が起きる可能性があります。実は、顎の発育を整えるという目的もかねています。顎の発育不全は、咀嚼だけではなく、滑舌や顔のかたちまで劣化させることもあります。
大人になってから顎の骨を治療するとなると、外科的な手術が必要になってしまう場合もあるので、できるだけ子供のうちにしっかりと直しておくことをおすすめします。この章では、矯正が必要な歯並びと、矯正を行うベストな時期についてお伝えします。
悪い歯並びの代表パターン
悪い歯並びにはさまざまなパターンがあります。どんな状態があるのか、代表的な例を紹介します。
① 受け口
受け口とは、いわゆる反対咬合(はんたいこうごう)です。下の歯が上の歯の前に出てしまって、咬み合わせが反対になっている状態です。
奥歯に虫歯が生じやすくなり、サ行やタ行の発音が不明瞭になってしまう場合があります。
② 開咬
開咬(かいこう)とは、奥歯を噛んでも前歯や横側の歯の上下に隙間ができてしまい、きちんと咬み合わせることができない状態です。
咬み合わせがズレてしまっているため、前歯でものを噛み切ることができませんし、通常よりもものを咬むときに使う咀嚼筋(そしゃくきん)という筋肉にかかる負担が大きく、顎関節症のリスクも高くなります。審美的な問題ばかりか、健康面に与える影響も少なくありません。
開咬の症状は前歯に表れることがほとんどですが、まれに横側に見られます。
③ 出っ歯
上の前歯が強く前に突き出ていたり、上顎全体が前方に傾いていたりする状態のことです。上顎前突(じょうがくぜんとつ)とも呼ばれます。外見に及ぼす影響が大きく、精神的負担を抱えてしまうケースが少なくありません。
口が常に開いた状態になりやすく、口内が乾燥してしまうことから、虫歯や歯周病になりやすい環境が作られます。また、当然食べ物を適切に噛むことが難しいため、子供の健全な成長を妨げてしまう恐れもあります。
矯正治療の時期
子供の矯正治療は、永久歯に生え変わる時期の6歳から10歳にかけてスタートするのが適切といわれています。完全に永久歯になってしまってからでは、歯を整えるために必要なスペースを作るため、抜歯が必要になることもあります。 乳歯段階であれば矯正器具によってスペースを作ることもできるので、なるべく子供の頃に矯正を始めるようにしましょう。
また、この時期であれば顎の成長を促すことや逆に抑制することもできます。舌のクセを治すマウスピースや顎の成長を補正する装置を使用して、永久歯が正しく生えるためのスペースを確保することが可能です。
2.子供の歯の矯正治療法
実は矯正治療には様々な治療方法・治療装置があります。治療装置によってかかってくる費用や期間は異なります。「矯正治療の期間をなるべく短くしてあげたい」「目立たない矯正装置にしてあげたい」など、子供を思うと様々な要望があると思います。この章では、たくさんある歯列矯正の治療法についてお伝えします。
ブラケット矯正
① プラスチック/セラミックブラケット
プラスチック/セラミックブラケットという治療法では、歯1本1本につけたブラケットという装置をワイヤーでつなげたものです。
このブラケット部分には大きく分けてプラスチック製と、セラミック製があります。プラスチックはリーズナブルな価格になっており、セラミックは目立ちにくくなっています。
② リンガルブラケット
リンガルブラケットとは、裏側矯正という矯正方法です。通常、ブラケットは歯の表面につけますが、目立たないように裏側につけます。
見た目が気になる…という方にはピッタリです。目につきやすい上の歯だけリンガルブラケット、下の歯は通常のブラケットと組み合わせることも可能です。
③ メタルブラケット
治療費を抑えたいならば、メタルブラケットを選択するという方法もあります。
プラスチックブラケットやセラミックブラケットと比較して、どうしても存在感はありますが、矯正効果は同じなのでコストパフォーマンスには優れています。
④ デイモンシステム
ブラケットとワイヤー部分にこだわり、より歯に負担のかからない弱い力での矯正を可能にしたのがデイモンシステムです。矯正にもっとも適した力を用いるため、従来よりも治療期間が少なくてすむことが特徴です。清掃性も高く、矯正による虫歯や歯周病のリスクを大幅に軽減することができます。
取り外し可能な矯正治療
① インビザライン
0.5ミリほどの薄くて透明なマウスピース型の矯正装置です。ブラケットやワイヤーを使用していないので、患者さん自身の都合にあわせて取り外すことができるのが特徴といえます。食事中だけ外して利用するといったことも可能です。
② クリアアライナー
クリアアライナーはインビザライン同様、取り外し可能なマウスピース型の矯正装置です。定期的に少しずつ形を変えたものに変化させていくことが特徴となっています。
インビザラインもクリアアライナーも、症状によっては対応できないこともあり、ワイヤー矯正を併用するケースもあります。
治療中のメンテナンス
歯科矯正中は、どうしても歯と装置の間に磨き残しが発生しがちです。いつもよりも入念なブラッシングをするように心がけましょう。ときには汚れを発見するために、染め出し液を使用することをおすすめします。
また、矯正治療中に装置が当たることで頬の内側に傷がついたり、歯の移動に伴う痛みを感じることもあるでしょう。傷には塗り薬が必要ですが、歯の移動による痛みには慣れるしかありません。個人差はありますが、自然に解消するケースがほとんどです。
治療後のメンテナンス
いったん矯正治療が終了しても、美しい歯列を安定化するための保定装置を装着する期間が必要になります。ここをおろそかにすると、歯はまた元の位置に戻ってしまうのです。
歯科医の指導に従って、定められた期間はきちんと保定装置を装着し、定期健診にきちんと通いましょう。
3.子供の矯正治療費
矯正費用の相場は50万円~100万円が目安
矯正治療を行う時期として、第一治療期(3~10歳)と、第二治療期(中学生以降)があります。
第一治療期は乳歯に対する矯正治療の期間を指し、第二治療期は永久歯に対する矯正治療の期間のことをいいます。
① 第一治療期(3~10歳) 30~50万円以上
② 第二治療期(中学生以降)70~100万円以上
※第一治療期から引き続き第二治療を行う場合は、25~60万の費用相場になります。
矯正の費用は、治療時期・お口の中の状態・矯正装置によって費用も大幅に変わりますので、先生としっかりと話し合いましょう。
健康保険は適用外
一般的に、歯科矯正は健康保険の適用外です。しかし、顎の骨の大きさや形のバランスが崩れることで起こる「顎変形症(がくへんけいしょう)」の場合には、定められた医療機関で健康保険が適用されます。
矯正費用のローン
歯科治療は一般的に高額なので、二の足を踏む人も少なくないようですが、実はローンを利用することもできます。クレジット、デンタルローンなど種類も豊富で、審査が不要な場合もあります。ただし、分割回数や総額によって金利が変わることもあるので、よく比較検討してから利用するようにしましょう。
子供の矯正の補助
「咬み合わせが悪く機能的な問題があるため矯正が必要」と医師によって判断されると、歯科矯正でも医療控除の対象になります。税務署に申告することで、納めた所得税の一部が戻ってくる可能性があります。
また、矯正治療にかかった総費用と通院のための交通費の合計が、1年間で10万円を越えるならば、これも医療控除の対象です。ただし、領収書などの提出が必要なので、捨てずに保管しておきましょう。
4.歯の矯正によるメリット
虫歯や歯周病になりにくい
歯を矯正すると、見た目がよくなるのはもちろんですが、その他にもさまざまなメリットが得られます。たとえば、虫歯や歯周病になりにくくなるというのもそのひとつです。
歯並びが悪いと、どうしても磨き残しができやすく、さまざまなトラブルの原因になってしまうのです。
スムーズな発音ができる
歯並びが悪いと、滑舌も不明瞭になりがちです。いつまでもサ行やタ行が幼児のような発音のままならば、それは歯並びが原因ということも考えられます。歯列矯正を受けることで、適切な発音が可能になるでしょう。
顎と肩の筋肉バランスが整う
歯並びは、身体全体にも影響を及ぼします。悪い咬み合わせをそのまま放置していると顎がゆがんでしまい、肩から背中の筋肉も必要以上に緊張しがちです。
子供なのに肩こりや頭痛がひどいというのは、もしかしたら歯並びのせいかもしれません。不快な症状を解消するには歯列矯正をおすすめします。
コンプレックスに悩まない
歯並びにコンプレックスがあると、どうしても隠そうとしがちなので、思いきり笑うことができません。できれば思春期前にしっかりと歯列矯正をして自信を持たせてあげましょう。
5.矯正中の親の役目
毎日のお手入れを欠かさない
矯正装置の周辺は汚れやすく、磨きにくいので、歯間ブラシやワンタフトブラシを使って丁寧に磨いていきましょう。せっかく矯正しても虫歯の原因になってしまっては元も子もありません。お子さんと一緒になって毎日のお手入れを欠かさないことが大切です。
取り外し可能な矯正装置の場合は洗浄しましょう
取り外しができる矯正装置を使用している場合は、定期的に洗浄してあげましょう。マウスピースは入れ歯と同じ材質なので、市販で販売されている義歯用洗浄剤でも大丈夫です。心配であれば矯正歯科専門の歯医者さんなどでも洗浄剤が置いてある場合も多いので相談してみてください。
モチベーションを高める
矯正装置をつけさせれば、それで親の役目は終了というわけではありません。矯正はどうしても一定以上の期間が必要ですし、途中で嫌になってしまいがちです。モチベーションを維持させることがとても重要です。親が一番の味方になってあげ、矯正に対する痛みや不安・不満をしっかりと聞いてあげましょう。
6.まとめ
歯列矯正は子供のうちに行うのがおすすめです。費用面や治療法について不安をお持ちの方は、歯医者さんで歯列矯正について相談してみましょう。先生とよく話し合って、納得のいく治療を進めていくことが何より重要です。