矢野歯科医院

勤務医時代のことですが、高額な自由診療を選択しているにも関わらず、途中で治療を諦めてしまう患者さまを多く見てきました。多くの原因は「痛いから」ということですが、麻酔の打ち方などを工夫して痛みを和らげることはできます。しかし、それにも限界がありますので、初期の段階で治療が終わった後のことを見据えながら治療を行いたいと考えました。

特に歯周病は、一度なったら元に戻すことは非常に困難です。進行を遅らせ、元の状態に近づけることはできますが、歯を削り原因を取り除くなど、虫歯治療と同様のことはできません。中には、「噛むだけで痛い」という末期の症状が出るまで放置している方もいらっしゃいます。重度になると噛めなくなり、歯を何本か抜くことになるのですが、残った歯の負担が大きくなってまた歯を抜く、という悪循環に陥ることも少なくありません。

だからこそ、初期の段階から将来を見据えての治療を強くおすすめするようになりました。治療は痛みが伴う場合があるもの事実ですが、放っておくとますます痛くなってしまいます。早く治療しておけばよかったという後悔をしないためにも、ぜひ検診にお越しいただければと思います。

当院は医療機関なので、患者さまを幸せにするというのはある意味あたりまえのことで、当院の歯科医師たちがしっかり大切にしなければならないことの一つであると思っています。

スタッフも含めて、としている理由としては、当院で働いている仲間たちにも、うちに来て良かったと思ってもらいたいし、何かしらの役に立つ知識やスキルを得てほしいと考えているからです。例えば、別の場所で働くことになったとしてもうちでの経験がプラスになったら良いなと思っています。

ですので、当院ではスタッフ教育にも力を入れています。私自身、歯科医師を目指す前は一般企業への就職を考えており、多くの企業を見てきました。そのため、働くということについて、スタッフにもよく話をしています。理解をしてもらえると、患者さまへの対応も変わってくると思っています。例えば、受付で単に「お待ちください」と言うのではなく、相手の立場になり、患者さまは痛みに悩みご来院されているのだと考えられるようになればおのずと良い応対に結びつくと思うのです。

じっくり話を聞く、ということが大切だと考えています。なかなか上手に思いを伝えられない患者さまもいらっしゃいますので、カウンセリングではマンツーマンでお話を聞いています。お話を伺い、可能な限りご希望に添うような治療プランになるように計画するようにしています。痛みが本当に苦手な方もいらっしゃるのですが、当院では治療中の痛みを少なくすることにも注力していますので、しっかりとご説明し、心理的な負担を取り除きながら診療に当たっています。

また、治療中は「痛くないですか」「大丈夫ですか」と逐一お声がけするようにしており、治療の後にスタッフが声をかける場合もあります。すると歯科医師には話しにくい本音がポロッと出てくることもありますので、そういった声をフィードバックしてもらって、次回からの治療に活かすようにしています。

おいしく食べられるようになったとかやって良かったという方もいらっしゃいました。中には、病気で入院した時にインプラントの良さを実感したという声もありました。その方は、入れ歯だったら体がしんどい時に手入れをするのは大変になるので、食事もおっくうになるかもしれなかったと話されていました。

インプラントはあくまでも自分の歯の代わりです。自分の歯ではないので、うまく付き合っていかなければなりません。特に歯周病には要注意です。歯周病を放置しておくと、せっかくのインプラントが台無しになってしまうことがあります。ですので、メンテナンスをすることが重要になりますが、きちんと行えば自分の歯と同じ感覚で物が噛めるのです。入れ歯ですと支えている歯への負担が大きく、その歯が悪くなることもあります。一概には言えませんが、奥歯の場合は、インプラントをおすすめしています。インプラントで得られるものは大きなものだと考えています。

地域的にデンタルIQはそれほど高くないかもしれません。例えば、1カ月2カ月かかる治療を短い時間に済ませては、根本的な治療は行えません。そうなると結局、損をするのは患者さまなのです。患部が悪化し、辛い痛みを伴う根管治療が避けられない状況になることもあります。そういった事態を避けるためにも、定期検診や日頃のケアの大切さをお伝えするようにしていますね。

当院に通ってくださっている方は、予防への意識は全体的に高いように思います。当院では、リスクもしっかりと説明するので、治療が進むにつれて意識が変わっていくのかもしれません。予防歯科ではブラッシング指導や歯石除去を行い、口内環境を整えるようにしています。ご自身の歯を残していただきたいと考えています。

おいしく食べて、たくさん笑えるお口にしていきましょう。この思いを改めてお伝えしたいと思います。そのために精いっぱい頑張らせていただきます。もちろん、患者さまお口を守るのは、患者さま自身のご協力も欠かせません。力を合わせてお口の中の改善を目指していきましょう。