西新井デンタルクリニック

補綴学は、被せ物や詰め物、入れ歯を含む補綴物（※）についての学問です。補綴物を作るのは歯科技工士ですが、歯を削る形が悪ければ、どれほど腕のいい歯科技工士であっても綺麗なものを作ることはできません。まずは綺麗に削り、綺麗に型をとるのが大切になります。その状態で歯科技工士に渡すことで、歯科技工士もいい仕事ができます。前提として、歯を削る形が綺麗でないところを外見だけ綺麗にしようとしても、なかなかできるものではないということが重要です。
補綴学を学んだのは、私が医局にいた40年前です。そのころセラミックがようやく普及しだしました。見栄えもよく、よく噛めるような補綴物を作ってあげたいなと思ったのが、補綴学を学び始めたきっかけです。綺麗なものを作るために歯科技工士の力は大きいですが、その前に歯科医師が補綴物を設計し、どこにつけるかを考えなくてはなりません。1本の歯だけではなくお口全体を見て、どこをどういうふうにすればこの患者さまの噛み心地がよくなるのかを考えて設計しています。単にセラミックを入れた入れ歯を作るだけが補綴ではありません。そういった設計が大事だと考えたからこそ、補綴を勉強したのです。
実際に開業してからは、歯周病についての勉強を掘り下げたいと考えて、大学の医局に通っていました。補綴物を長持ちさせるためには歯周病を管理する必要があります。残っている自分の歯も長持ちさせるため、被せ物の歯を長持ちさせるために、歯周病の知識を重視してきました。

※自由診療です。料金は料金表を確認してください。

大学病院では、個々の細かいことを見る目というより、大きく視野を広げて見る目を養うことができました。
口の中全体を見ることができるようになったのは、大学に残ったからこそだと思っています。全体からその歯の位置づけを考え、何としても残さねばならない歯であるかどうかを判断することで、残っている歯と入れ歯がどれだけ長持ちするかが変わってくることを実感しています。

開業当初から変わらないのは、患者さまお一人おひとりに対して、精一杯治療にあたるという姿勢です。患者さまにお喜びいただけるよう、懸命に努めてまいりました。患者さまお一人おひとりがどういう思いでおられるのか、どういった治療がよりよいものなのか……患者さまの視点に立ち続けて、すでに30年以上の年月が経っています。開業した当初と比べて、付近は様変わりしましたが、患者さまから頼られる歯科医師でありたいという願いはまったく変わることがありません。

患者さまへのご説明にはたとえ話を使うようにしています。たとえば、ブラッシングでは、どこを磨くかが大事です。しかし、強く磨きすぎている人が多いのが実状です。虫歯は、歯の平らなところにはできず、歯の間や歯のくぼんだところにできます。早く磨けば磨くほど、毛先がそこに届きません。
これを部屋にたとえると、真ん中はうまく掃除できているけれど、汚れがたまりやすい端っこやタンスとタンスの間が掃除できていないということになります。部屋の真ん中にはそれほどホコリはたまりません。やみくもにホウキではくのではなく、どこにホコリが残りやすいかを考えて、掃除しなければいけないということです。強くはいても、畳がすり減るだけです。歯の根元がすり減っている人は、強く磨きすぎて、自分で自分の歯の根元を摩耗させてしまっています。畳と一緒です。しっかりブラッシングをしていても、磨けている実感がわかない方の場合は、「部屋の隅を掃除するイメージで自分の歯も磨いてください」と伝えるとイメージがわきやすいようです。
患者さまは、自分では綺麗にしているつもりですから、「磨けていないから、丁寧に磨いてください」と言っても伝わりません。鏡で磨き残しのある場所をお見せしながら、このようなたとえ話でご説明すると、理解していただけるようです。

技工所では、私の実の弟が歯科技工士として勤めてくれています。当院の歯科技工士は、皆、美的センスのよい人材ばかりです。形を綺麗に整えてくれるので、私も任せることができます。何がどのように違うかは言葉で表現しづらいものですが、たとえば、美容院でパーマをしてもらうときに、「うまいな」と思える人と気にいらない人がいるのと同じように、そういった感覚的な違いがあるように思います。
また、院内のこだわりでいえば、バリアフリーの構造にして、小さなお子さまからご年配の方まで幅広い年齢層の皆さまにご利用いただきやすい歯科医院を目指しています。ベビーカーや車いすのままご利用いただけます。お身体に不調を抱えておられる方、ご高齢のためにユニットに座りにくい方など、お一人おひとりの体調に考慮した対応を心がけ、できるだけ楽に治療を受けていただきたいと考えています。