禁煙必須?歯列矯正中にタバコは吸えない!

コラムを読んで、歯に関してわからないことや不安なことがあれば、歯科矯正の歯医者さんに相談してみましょう。

歯列矯正を始める前に気になるのが、禁煙は必要かということです。一見すると、矯正器具を使用して治療する矯正治療なら、タバコを吸っても問題ないように思いますよね。しかし、多くのケースで、歯医者さんは禁煙を勧めることが多いのです。タバコを吸っている人にとっては、矯正のために禁煙するのは嫌かも知れませんが、治療内容を見ると「禁煙もやむなし」と納得できるかも…。治療のためにも、禁煙を本格的に考えるためにも、矯正治療の中での禁煙リスクについてきちんと把握しておきましょう。

この記事の目次

矯正中のタバコは厳禁!?その理由とは

装置にも着色汚れが

タバコを吸うと、歯にヤニ汚れがつきますよね。これは歯列矯正の装置も同じで、着色汚れがつき、見た目に黄色くなります。審美性を考えると、タバコは吸わないほうがいいでしょう。

しかも、ヤニ汚れは歯磨きでは落とすことができず、専用のクリーニングを受けなければいけません。一度汚れがついてしまうと、なかなか簡単には落ちないのです。複雑に入り組んでいる矯正装置は、クリーニングが容易ではないため着色汚れと長期間付き合わなければいけなくなります。

また、装置を取り外した際に、露出していた部分は黄色、装置のついていた部分は白いままといった状態になることがあります。他にも、矯正をしていると手入れが行き届かないため、行き届かない部分だけ黄色になるというケースもあるようです。

この状態では、治療を終えて装置を外した後、歯が黄色と白のまだら模様になります。せっかく治療が終わってスッキリ!と思ったら仕上がりが残念な状態…。こんな問題を起こさないためにも、矯正中のタバコは控えたほうがいいでしょう。

歯が動きにくくなる

タバコを吸っていると、歯の動きが遅くなる傾向があります。歯の動きが遅くなるので、なかなか治療がスムーズに行かず、治療期間ばかりが長引くことでしょう。

タバコは血行不良や傷の修復を遅くしてしまうという傾向にあります。そのため改善が遅くなり、治療も長引くのです。

虫歯や歯周病のリスクも高くなる

喫煙をすると唾液分泌が阻害され、口の中が乾きがちになります。唾液は殺菌作用もありますが、その唾液が分泌されないため、雑菌が繁殖しやすくなるのです。

雑菌が繁殖しやすくなると、虫歯や歯周病の菌も繁殖しやすくなり、これらの発症リスクも高くなります。ただでさえ装置が邪魔をして口の中が不潔になりがちな矯正中は、タバコを避け、なるべく口の中を清潔に保つことが大切です。

外科手術を伴う場合のタバコは禁止

抜歯などの外科手術が伴う場合、傷口の治癒のためにも禁煙が言いわたされます。インプラントなどを用いた矯正治療なら、タバコは吸えないと思ったほうがいいでしょう。

前述の通り、タバコを吸うと傷口の治りが悪くなり、治癒が遅くなります。インプラント治療においては、装置が脱落しやすくなるという例も…。トラブルがあれば当然治りは遅くなり、治療期間も長引くでしょう。

歯医者さんによっては、喫煙者の治療を受け入れていないケースもあるほど、タバコは治療に影響をもたらします。この機会に禁煙をする覚悟で治療を受けるといいかも知れませんね。

矯正に関係なく知っておきたいタバコの影響

ヤニ汚れがつく

矯正の有無にかかわらず、喫煙していると歯にヤニ汚れがついてしまいます。白い歯を見ると爽やかに感じるものですが、黄色くヤニで汚れた歯は見た目も不潔に見えます。この状態になってしまうと、歯磨きではなかなか落ちないため注意が必要です。このヤニ汚れを落とすには、歯医者さんでクリーニングしてもらわなければいけません。当然ですが、時間もクリーニング費用もかかります。

口臭の要因に

タバコを吸うと唾液分泌が減ってしまいます。殺菌作用のある唾液の分泌が減るということは、雑菌が増える原因になり、それが口臭発生の原因に…。もし、この状態で歯列矯正をしていれば、さらに口臭は発生しやすくなります。

歯列矯正器は食べかすなどが引っかかりやすく、それらが発酵して口臭が発生しやすい状況です。また、タバコ自体のニオイが、口臭をひどくしている可能性もあります。

健康をキープするためにも、唾液が口の中に充満している状態が望ましいのです。矯正器具が唾液の充満を妨げることもあるので、矯正中は特に唾液が充満しているかに敏感になる必要があるでしょう。タバコを吸うということは、唾液の充満を妨げる行為ですので、口臭がさらに悪化するかも知れません。

口腔(こうくう)がんのリスクも高まる

喫煙者の場合、口腔がんのリスクが高くなります。タバコを吸わない人に比べ、その確率も上がります。死亡のリスクも喫煙者のほうが高くなります。喫煙しないのであればこれらの危険性から逃れられるわけですから、口腔がんのリスクは見逃せません。

歯肉や歯茎にダメージ

タバコを吸うとニコチンや一酸化炭素によって血行が悪くなりますが、その悪影響は意外にも歯茎にダメージが表れます。血行不良になると、まず滞るのが毛細血管の血流です。毛細血管は栄養を届けて老廃物を排出する役割を果たしていますが、血行不良になるため、歯茎周りの老廃物が排出されずに、歯は悪環境にさらされてしまいます。

歯茎は意外にもリンパ管が集中している部分です。老廃物がたまって腫れぼったくなっているなど症状があれば、タバコの影響を受けている証拠かもしれません。

ちなみに、タバコを吸うと歯茎の色が悪くなることは一般的にも知られています。これは、タバコに含まれるタールやニコチン、一酸化炭素などの有害物質が原因で、タバコを吸っているとこれらの物質が歯茎に染み込んでしまい、黒く見えるのです。

危険信号に気づかなくなる?

タバコを吸っていると、口の中の感覚が鈍くなります。これは、血流が滞ることによって発生する弊害で、ヒリヒリする、チクチクするといった痛みなどに鈍感になります。

出血や痛みに鈍くなるので、口の中の異常があっても気づかずに放置してしまう可能性も…。異常があってもすぐに歯医者さんへ行ければいいのですが、歯医者さんへ行かなければ悪い状態が改善されず、最終的には歯周病になってしまったということにもなりかねません。痛みを感じていれば放っておくことは難しいですが、タバコはこんな弊害をも生みます。

受動喫煙も危険!

矯正するなら副流煙にもご注意を

自分はタバコを吸っていないから大丈夫!と、思っていませんか?実は、パートナーや家族が吸っていると、知らず知らずのうちに受動喫煙で副流煙を吸い込んでいます。

すると、喫煙者でなくても副流煙で歯にヤニがつくことがあるのです。副流煙を吸っているので、場合によっては歯茎に悪影響が及ぶケースも…。もし、歯列矯正を考えているなら、副流煙に対しても注意が必要です。家の中の共有スペースでは吸わないようにしてもらうのはもちろん、場合によっては空気清浄機なども利用しながら、副流煙の害から身体を守るようにするといいでしょう。

まとめ

歯列矯正をするなら、結論、喫煙者は禁煙するようにしなければいけません。歯列矯正をすれば傷口がふさがりにくかったり、血行不良によって歯茎に問題が出たり、出血しても気づきにくかったりと、弊害がたくさん生まれてしまいます。これらのさまざまなリスクを考えれば、歯医者さんが禁煙を勧めるのは納得ですよね。中には受動喫煙でも同じようなリスクにさらされるケースがあるので、その点についてもきちんと把握しておきましょう。歯医者さんによっては喫煙者を治療しないケースもあるので、重要事項として認識するようにしてください。

監修医 松岡浩司先生

松岡歯科クリニック 院長

【経歴】
1986年 日本歯科大学 卒業
1988年 パール歯科医院 勤務
1995年 松岡歯科クリニック 院長就任
現在に至る

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