子供の歯並びを良くする床矯正!そのメリット・デメリット

コラムを読んで、歯に関してわからないことや不安なことがあれば、歯科矯正の歯医者さんに相談してみましょう。
お子さんの成長具合は、ついつい他の子供と比べてしまうものですよね。歯の成長に関しても、他の子に比べて歯並びがおかしいのではないかと心配になり、お子さんの歯の矯正治療を考える方がたくさんいらっしゃいます。そんな不安を抱える方には、一般的な矯正治療とは少し異なる「床矯正」という矯正治療をぜひとも選択肢の一つとしていただきたいです。こちらでは床矯正のメリットやデメリットについてもご説明していますので、ぜひご参考になさってみて下さい。
この記事の目次
床矯正とは?
顎の成長を促す矯正方法
床矯正とは、顎の成長を利用して歯並びを整える矯正方法です。一般的に、成長過程にある子供に対して行われる治療になります。
子供の時に床矯正をすることで、顎を強くすることができ、ブラケットや抜歯といった手間や負担の大きい矯正方法を選ばずに済む可能性を高めることができます。大人の場合は顎の大きさを変えることはできませんが、子供と同様に歯を動かすこと自体はできますので、治療方針によっては床矯正が取り入れられるケースもあります。
もともと顎が小さい方にはもちろん、直接歯をおさえつけるタイプの矯正は避けたいという方にもおすすめできます。
他の歯列矯正との違い
施術方法での比較
一般的な歯科矯正では、歯並びを整えるために何本かの歯を抜くことが前提になります。
抜歯は痛みを伴うことが多く、患者さんにとっても大きな負担になってしまいます。大人でも歯を抜くのには抵抗があるのですから、小さなお子さんであればなおさらです。一方、床矯正は歯に直接処置を行うのではなく、時間をかけて顎を広げていくことで、自然と歯の向きや並び方を矯正するような治療方法です。そのため歯を抜かない、できるだけ残すような施術が可能になります。
しかし、床矯正だけでは歯並びを整えることが難しいと判断された場合は、他の治療や矯正方法との組み合わせが必要です。
矯正期間の比較
一般的な歯科矯正では、矯正を終えるまでに2年~3年の月日がかかることがほとんどです。一方床矯正は、顎を広げる期間はおおよそ半年~1年程度です。一般的な矯正器具を装着しての生活は最初は強烈な違和感をおぼえ、不便も多いため、お子さんの負担を軽減することができます。しかし、矯正が必要な歯が広範囲におよぶ場合はこの限りではありません。
また、床矯正は顎を広げる期間自体は短いですが、子供の歯が生えそろう12歳頃まで経過を見守る必要があります。歯科医師の診察によって追加の矯正が必要と判断された場合は、さらに矯正期間がかかるケースもあります。
床矯正のメリット4つ
食事や歯磨きが楽に行える
床矯正の矯正器具は、歯医者さんを受診せずとも自分で取り外しができます。そのため矯正治療中に痛みを感じた場合でも、受診するまで付けっぱなしになる心配がありません。自分で取り外しができるため、矯正期間中でも食事や歯磨きを難なく行うことができます。
矯正器具を装着したままの食事や歯磨きは大人でも違和感をおぼえますし、小さなお子さんにとっては食事や歯磨きが楽しくなくなってしまうというリスクもあります。
実際に矯正治療中、食欲がなくなってしまうというお子さんも一定数いらっしゃいます。もしもお子さんに矯正治療の必要を感じたら、早い段階で床矯正を選択肢の1つに入れると良いでしょう。
将来その他の矯正をしなくてもよくなる
まだ小さな子供のうちに床矯正をしておくことで、大人になってから抜歯を伴うなど、おおがかりな矯正治療を受けるリスクを下げることができます。また、矯正治療は他の子供たちから目を引きやすいため、中学生や高校生など思春期を迎える前に治療を受けておくことも、お子さんのことを考えると重要なことです。
さらに、歯の角度やばらつきは年を重ねるごとに悪化してしまうこともあります。すると矯正治療もさらにおおがかりなものになりますし、身体的にも精神的にも負担となる場合があります。
将来的に矯正の必要があると感じた場合は、早い段階から床矯正を受けておくことで、そういったリスクを回避することにつながります。
虫歯になりにくい
歯に直接装着するタイプの矯正器具は歯磨きがしにくく、汚れが溜まりやすいのが難点です。その結果、矯正治療中に虫歯になってしまうというお子さんもいらっしゃいます。
場合によっては矯正治療を一時ストップしなければいけないこともあるため、矯正器具をつけながらの歯磨きに皆さん苦心されています。一方自分で外すことのできる床矯正は、普段となんら変わらず歯磨きを行うことができるため、虫歯のリスクを下げることができます。
食べる物を限定せずに済む
歯に固定するタイプの通常の歯列矯正は、固い食べ物や粘性のある食べ物を食べないよう制限する必要があり、子供にとってストレスになる場合があります。また、それに伴い栄養の偏りが起こってしまいがちです。育ちざかりのお子さんはさまざまな栄養素を含んだ食材をバランス良く摂取する必要があるため、親御さんは食事メニューにより気を遣う必要が出てきます。
一方床矯正は、食事の際にも取り外しが可能なので、食べるものを制限する必要がありません。好きなものを食べることができるので、お子さんにとってのストレスを軽減し、無理なく治療を続けることができます。
床矯正のデメリット4つ
子供でも自分で取り外せてしまう
床矯正の矯正器具は自分で取り外しができるため、食事や歯磨きに関してなどメリットもたくさんありますが、同時に自己管理が大切になっていきます。
矯正器具を自分で取り外して、テーブルの上や洗面台などに置いておくと、落として壊してしまうというリスクがあります。また、外出先で器具を取り外し、そのままなくしてしまったという事故も少なくありません。そのため矯正器具を取り外し際にはしっかり注意を払い、ケース等に入れて置いておくようにしましょう。
歯科医院によっても異なりますが、そのときは矯正器具を作り直す必要がある場合もあり、矯正治療が一時ストップとなる上に費用もかさんでしまいます。違和感をおぼえる、気になるからといって頻繁に器具を取り外してしまうと、それだけ矯正の作用が薄れてしまうのです。
歯ぎしり癖があると壊れやすい
歯ぎしりの癖がある方や、噛む力が強い方は、矯正器具を壊してしまうことがあります。そのような癖がある場合、一朝一夕でなくなる癖ということではないでしょうから、あらかじめ歯医者さんに相談しておくと良いでしょう。日常生活で無意識に陥りがちな場面では矯正器具を外すなど、何かしらの対策を講じてくれる可能性があります。
使える時期が限られる
床矯正ができるようになるにはタイミングがあり、前歯が4本永久歯に生え揃うまで待つ必要があります。また、歯全体の乳歯から永久歯への移行が進みすぎると床矯正が行えなくなる場合もあるため、床矯正の必要性を感じた際は、なるべく早い段階で歯科医師に相談し、治療を行えるタイミングを待つようにすると良いでしょう。※萌出してくる(しつつある)前歯を床矯正で修正する場合もあります。症状に関しては、一概には言えないので歯科医院で口腔チェックをしてもらいましょう。
装置を外すと元に戻ってしまうことがある
元に戻ってしまう原因は複数あります。矯正治療を終えた後でも、口周りの筋肉の使い方や寝相、日常生活の過ごし方によっては顎が狭くなってしまうことがあります。また、10代の成長期は後戻りがしやすいので器具の取り外しはできるだけ避けましょう。
決まった日時にネジを回転させる必要がある
床矯正では、決まった日時に矯正器具のネジを回して顎を広げていく必要があります。これを回し忘れてしまうと矯正の作用が薄れ、治療期間も延びてしまいます。また、ネジを回転させる時にしっかり固定されていないと装置が浮いてしまう場合があるので気をつけましょう。
まとめ
床矯正は顎の大きさや歯列が改善されても、習慣によって元に戻ってしまう可能性があります。治療後のアフターケアも含め、歯科医師によく相談の上、アドバイスをもらいながら生活するようにしましょう。