歯ぎしりの原因が知りたい!子どもと大人での違いや病気も紹介

自身で「朝いつも歯を食いしばっている」と感じている方や「他人に指摘されたことがある」方などは、歯ぎしりの原因について気になっているのではないでしょうか?この記事では、歯ぎしりの種類や原因をはじめ、考えられるお口の疾患も説明しています。また大人だけではなく、子どもでも睡眠中に歯ぎしりをしているケースがあります。歯ぎしりが発症する原因を知りたい方は、ぜひ内容を確認してみてください。

この記事の目次

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1.歯ぎしりはどのような症状?種類や特徴を紹介

1-1.グライディング

グライディングは「ギリギリ」という音で一般的に認識されている歯ぎしりであり、上と下の歯をすりあわせることで起こります。睡眠中をはじめ、日中でも無意識にグライディングをおこなっている場合もあります。

 

1-2.クレイチング

クレイチングは上と下の歯を食いしばることで、日中にほかの作業をおこなっているときや集中しているときなどに出やすい症状です。音が鳴らずに無意識でクレイチングをしている場合が多く、気づくのが遅れることもあります。

 

1-3.タッピング

上と下の歯を継続的に素早く噛みあわせる癖で、カチカチという音が鳴るのが特徴です。グライディングやクレイチングよりは顎や歯に与える影響は少ないと言われていますが、歯ぎしりの一種として認識される症状です。

 

2.歯ぎしりが発症する原因は?子どもと大人の違い

2-1.噛みあわせの影響から起こる

歯ぎしりの原因の一つとして、噛みあわせの悪さが考えられます。抜歯をしたあとにそのままにしていたり歯の治療により噛みあわせに変化が生じたりした際に起こることもあるので、気になる症状がある場合は歯医者さんに相談しましょう。

 

2-2.精神的な要因が関係している

ストレスや不安といった心理的な状況が要因となっている場合もあります。家庭の悩みや職場の人間関係など心配事が多かったり、疲れがたまっていたりするときにも表れやすいです。

 

2-3.子どもの歯ぎしりは成長が関連している場合が

大人とは違って成長に関連した要因が隠れている場合が子どもの歯ぎしりにはあります。たとえば、赤ちゃんの場合は顎の位置を決めるために、上下の歯をギリギリとすりあわせて調整していると考えられています。また、幼児期以降の子どもの歯ぎしりは、乳歯から永久歯への生え変わりのステップとして必要なものだという見方もあるので、一時的なものかどうか様子を見てみましょう。

 

2-4.アルコールとニコチンによる睡眠の質の低下

歯ぎしりは眠りが浅いときも起こりやすく、アルコールやニコチンの摂取も原因のひとつと考えることができます。ストレス解消のつもりでアルコールやニコチンを取り入れていても、常用していると逆に体への負担が大きくなることが特徴です。

 

3.自分は大丈夫?歯ぎしりセルフチェック

歯ぎしりの自覚がない方が多い理由は、睡眠中をはじめ無意識のうちにおこなっているためです。下記の項目を参照にしながら、確認してみましょう。

 

・家族などに歯ぎしりを指摘されたことがある

・朝起きると歯や顎に違和感がある

・集中して作業をしていると歯に力が入っている

・歯にひびや欠けがある

・冷たいものを食べたり飲んだりすると歯がしみる

・肩こり、頭痛といった症状が慢性的にある

・下の側面に歯型や頬の内側に噛んだ痕ができている

 

4.歯ぎしりで引き起こされる症状や病気

4-1.歯や歯茎への影響

日常的に歯ぎしりをおこなっている場合は、歯茎をはじめ骨にかかる負担も増えるため歯周病の悪化につながりやすいです。また、歯ぎしりにより加わる力は自身の体重以上とも言われているため、歯がすり減ってしまい噛みあわせ機能の低下を引き起こします。そのほか、歯の表面を覆うエナメル質もはがれやすくなり、知覚過敏などの症状が表れることもあるので、早い段階で歯医者さんを受診しましょう。

 

4-2.歯の噛みしめから発症しやすい顎関節症

歯ぎしりをするときには下顎も動かすため、顎の痛みや動かす際に音が出るといった顎関節症も引き起こしやすいです。朝起きたとき顎の疲れや痛みがある場合は、症状をそのままにせず受診を検討するのが望ましいです。

 

4-3.肩こりや頭痛などの体への影響

歯ぎしりは全身疾患にも関連があり、下顎の筋肉を通して首や肩をはじめ、背中に異変を感じるケースがあります。たとえば肩こり、背中の痛み、頭痛や腕のしびれなど原因不明の体調不良に悩む方は、歯ぎしりを疑ってみましょう。

 

4-4.睡眠時無呼吸症候群は歯ぎしりと関連性も

眠っているとき呼吸が一時的に何度も止まってしまう睡眠時無呼吸症候群の兆候のひとつに、歯ぎしりがかかわっていることがあります。睡眠の質が低下するために誘発しやすい状況となるようです。歯ぎしりが重い疾患のサインとなるケースも踏まえて、自身の状況を把握することが大切です。

5.歯ぎしりの治療方法・改善法

5-1.噛みあわせの治療

噛みあわせのバランスを整えることで、歯ぎしりの緩和が期待できるケースもあります。詰め物や被せ物があっていない、特定の歯が噛みあわせに影響を与えている場合は、矯正治療も選択肢のひとつになります。

 

5-2.ストレスの解消

日常的にストレスが多い方は、できるだけ原因の除去や気分転換を心がけましょう。ひとりでストレスをため込まずに誰かと話をしたり運動をしたりして、自身で気持ちを楽にする方法を模索することが大切です。

 

5-3.マウスピースの使用

寝るときにマウスピースを付けることが、歯の保護につながります。歯医者さんで作製することもできて、歯や歯茎をダメージから守るだけでなく、マウスピースの形や硬さを調整することで歯ぎしりを緩和できる場合もあります。

また、マウスピースを着用することが歯ぎしりや知覚過敏、顎関節症や歯周病の予防にも役立ちます。

 

5-4.睡眠の質の改善

子どもの睡眠の浅さについては、成長過程ゆえにリズムが整っていないと考えるのが一般的です。一方で大人の場合は、意識的に生活習慣を整えて睡眠の質を高める努力が必要です。たとえば、アルコールやカフェインの量を抑えるほか、禁煙や適度な運動などを心がけ、快眠できる環境を整えましょう。

 

5-5.ボトックス注射による治療

ボトックスは異常に発達した筋肉の力を正常まで戻す治療法です。咬筋に注射することで歯ぎしりの症状を緩和することができます。ボトックス注射の所要時間は5~15分程度で、症状の程度や個人によって差はありますが、1ヶ月弱で作用し3~6ヵ月ほど持続すると言われています。また、ボトックス注射による治療をくり返すことで、歯ぎしりの症状を根本的に解消できる場合もあります。自由診療となっており、費用目安は1回につき3万~5万円となります。まだ一般的ではないですが、歯医者さんのなかには、ボトックス注射を行っているところもあります。

6.まとめ

歯ぎしりの原因や種類、関連性のある疾患や対処法などについて詳しく解説してきました。自身で気づくことが難しいため、歯ぎしりは発見が遅れがちですが、そのままにしておくと全身疾患を招くリスクもあります。セルフチェックをしてみて、歯ぎしりの兆候がある方は早い段階で対処してお口や体の健康を保ちましょう。

 

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監修医

松岡 浩司先生

松岡歯科クリニック 院長

経歴

1986年 日本歯科大学 卒業
1988年 パール歯科医院 勤務
1995年 松岡歯科クリニック 院長就任
現在に至る

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