虫歯は治したはずなのに詰め物をした歯が痛む、なんてことはありませんか?治療してすぐに痛みが出るのではなく、治療を終えてからしばらく経って痛みだすケースもあり、原因が分からず不安を感じる方も少なくありません。
痛みの原因は一つではありませんが、治療が必要な場合も多く、放置すると悪化してしまうケースもあります。まずは自分の歯に何が起きているのかを知ることが大切です。
そこで今回は、詰め物をした歯が痛む原因を特集!詰め物をしている歯が痛む原因を知り、自分がどのケースにあたるのかを検証してみましょう。また、突然痛みだした場合の対処法や、痛みを悪化させるNG習慣などもご紹介します。合わせてチェックして下さいね。
1.被せ物の歯が痛む4つの理由
1-1 被せものがあっていない
歯は絶妙なバランスで並んでいますので、少しの違いで違和感を抱きます。歯を治したばかりの時に感じる痛みの正体は、被せ物が入ったことによる違和感から起こっていることもあります。特に、噛み合わせの高さは食事した際に気になることがあります。被せ物は隣の歯と隣接している為、被せ物が入ったらきつく感じてしまいます。
金属の被せ物の場合は熱が伝わりやすくなりますので、熱いものや冷たいものがしみることもあります。
数日経つと慣れて気にならなくなる場合もありますが、圧迫感や高さが気になる場合は治療してもらった歯科医院で相談することをおすすめします。
1-2 虫歯が進行している
被せ物をしてからしばらく時間が経って感じる痛みの原因は、虫歯かもしれません。治療して詰めたはずなのに虫歯?と、思われるかもしれませんが、実はよくあるトラブルの一つです。
被せ物をしているのに虫歯になる原因は、被せ物を接着しているセメントが劣化してその隙間から虫歯になってしまうことや、虫歯の削り残しがあるケースもあります。
治療から時間が経っているが最近になって鈍い痛みやズギズキする痛みは、虫歯が進行して神経を刺激しているのかもしれません。
1-3 歯根が破折している
食事の時だけ痛む、という場合は歯根が折れていることが考えられます。歯根が折れる原因は、転んだりぶつけたりといった外的要因だけでなく、神経を取って歯がもろくなってしまい知らない間に割れていることもあります。
特に、最初は知覚過敏のような痛みから始まり、固いものを食べて痛むという場合は可能性が高いため、早めに歯科医院を受診しましょう。
1-4 細菌が悪さをしている
神経を抜いた歯が痛む場合も!神経は真っ直ぐに通っている方だけでなく、網目のように枝分かれしている方もいます。細かく分かれている場合は完璧に治療するのは非常に難しいのです。
そのため、残った神経に細菌が入り込んで痛みがでるケースもみられます。
2.被せ物の歯の痛みを押さえる応急処置
2-1 ロキソニンSなどの市販薬
歯の痛みにも効果があり、頭痛や生理痛でおなじみの「ロキソニンS」は常備しているという方も多いでしょう。眠気が出にくい成分なので、運転や仕事がある方でも服用可能です。実は、医院で処方されるロキソニンと同じ解熱鎮痛成分のロキソプロフェンナトリウム水和物配合であり、痛みを取る効果は大いに期待できます。
処方されるロキソニンとの違いは用法用量や効能効果であり、市販のロキソニンSは主に短期の使用を目的としています。長期に渡って痛みが続く場合は、市販物の服用を続けずに受診しましょう。
痛みが発生したら1日に2回まで、4時間以上あけて服用します。ただし、痛みが強い方は1日3回まで服用可能です。注意点は、使用できるのは成人のみという点。15歳未満は使用できないため、ほかの頓服や方法を検討しましょう。
また、稀に頓服後も痛みが続く場合があります。歯根が膿んでいて炎症が強い可能性があるため、その場合は早急に受診することをおすすめします。
2-2 冷やす方法
「薬が手元にない、でも痛む!」という場合は、冷やす方法もあります。
歯が痛むときに氷を口に含んで患部を直接冷やそうとする方法がよく取り上げられていますが、虫歯になっている場合は冷たいものは余計に痛みが増してしまいますので、直接冷やすのではなく、頬に冷えピタを貼るなどして痛みを和らげる方法にしましょう。
神経が炎症を起こしている場合は患部を直接冷やすことで一時的に痛みが和らぎます。この場合は重度の状態であると考えられますのですぐに受診する必要があります。
2-3 食べかすの除去
歯と歯茎の間に食べかすが詰まったことで、歯茎が炎症を起こしている場合も。被せ物がある歯は隣の歯との間が狭くなっている場合があり、食べかすがはさまりやすく清潔に保ちにくくなっていることも多々あります。
また、食べかすが歯にはさまり圧迫されていることで痛みを感じている場合もありますので、歯磨きや歯間ブラシで痛みが解決することもあります。強く磨きすぎると歯茎を傷つけるおそれがあるので、柔らかいブラシでやさしく汚れを落とすようにしましょう。
3.歯の痛みを悪化させるNG習慣とは
3-1 入浴
痛みがある時の入浴は控えましょう。入浴することで全身の血行がよくなり、痛みがある部分の神経を圧迫するため、痛みが強くなります。
ぬるめのシャワーならOKですが、それでも短時間にとどめておくことをおすすめします。
3-2 飲酒
アルコールで紛らわせてしまいたい!なんて気持ちもわかりますが、実は逆効果になってしまうのでおすすめはできません。
飲酒後は体がポカポカしますが、これは血流がアップした結果であり、血流がアップすると入浴同様、神経を圧迫して痛みが増してしまうのです。
また、免疫力もダウンするので、痛みと戦っている体にムチを打つことになってしまいます。
痛みが増す、免疫力が下がるという2つの点から、飲酒は控えましょう。
3-3 喫煙
喫煙は歯にヤニをつけるだけでなく、ニコチンが血行を阻害し免疫力も低下させます。
また、唾液を減少させる効果もあり、口腔内を清潔に保てなくなるため、細菌が悪さしやすい環境になるというデメリットがあります。
痛みがある部分は血行がよすぎると神経を圧迫して痛みがでますが、血行が悪くなると治す力が低下し結果として痛みが長引くのでおすすめできません。
3-4 運動
激しい運動は、患部に振動を与えることや血行を促進することで神経を圧迫し、ズキズキ痛む原因となります。運動を日課にしている方も、痛みがある場合は安静にしておきましょう。
3-5 歯ぎしり
歯ぎしりは歯に大きな負担となり、すり減りの原因となることや、時には歯が欠けてしまうこともあるほどです。
歯ぎしりによって患部に負担をかけるのは、傷んでいる部分を強い力で押すのと同じことです。歯ぎしりが癖という方は、マウスピースなどで歯を守ってあげることをおすすめします。
3-6 刺激の強い食べ物
カレーやキムチ、わさびにブラックペッパーなど、刺激の強い食べ物は食卓にあふれています。また、辛いものだけでなく、塩辛いものや酸っぱいものも刺激が強いです。
歯が痛い時にこれらを食べると神経を刺激し、痛みを感じやすくなるため控えめにしておきましょう。
3-7 刺激の強い飲み物
炭酸水や熱すぎるもの・冷たすぎるものは刺激が強く、痛みを助長してしまうこともあります。痛みがある時は、常温や温めで殺菌作用のあるお茶などがおすすめです。
3-8 患部を触る
痛いとつい気になって、指や舌で触ってしまう方がいます。被せ物がかぶっている状態であっても、雑菌が入る恐れがあるのでおすすめはできません。
鏡でチェックしておく程度にとどめましょう。
4.まとめ
歯に違和感や痛みを覚えているのに対処療法で済ませてしまうと、症状が進んでしまいます。原因は歯科医院に行ってきちんと調べましょう。被せ物をしている歯が痛いと感じたら、早めに受診することをおすすめします。
・被せ物の歯が痛む4つの理由
L1.被せものがあっていない
L2.虫歯が進行している
L3.歯根が破折している
L4.細菌が悪さをしている
・被せ物の歯の痛みを押さえる応急処置
L痛みを取る効果を期待できるロキソニンSなどの市販薬
L頬に冷えピタを貼るなどして冷やして痛みを和らげる
L歯と歯茎の間に食べかすが詰まったことで、歯茎が炎症を起こしている場合があるため食べかすの除去
・歯の痛みを悪化させるNG習慣
L入浴
L飲酒
L喫煙
L運動
L歯ぎしり
L刺激の強い食べ物
L刺激の強い飲み物
L患部を触る
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監修医小川隆介先生
後楽園デンタルオフィス 院長
■院長経歴
2005年 日本歯科大学 卒業
2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
現在に至る