歯が白いと清潔感があり、笑顔にも自信が持てますね。ホームケアやオフィスケアで歯のホワイトニングに取り組む方もいらっしゃいますが、ホワイトニングが効かない歯もあるってご存じですか?
実は、差し歯は天然歯のようなホワイトニングはできません。天然歯をホワイトニングすると差し歯の黄ばみが目立ってしまうため、目立つ所に差し歯がある方は思うようにホワイトニングできないケースもあります。
ここでは、ホワイトニング以外に歯を白くする方法や、黄ばまない素材、着色を最低限に抑える方法などについて紹介します。
1.差し歯はホワイトニングできない
1-1 素材の変色が原因
保険適用で作った差し歯であれば、その素材は「レジン」と呼ばれるプラスチックです。
入れたばかりの時はきれいですが、数年すると汚れが付き、表面だけでなく徐々に内部にも浸透していきます。最終的には、黄色く変色し差し歯であることが一目で分かるようになります。
しかし、付いてしまった着色汚れは、天然歯用のホワイトニング剤では漂白することはできません。
差し歯の着色の原因はいくつかあります。一つは天然歯と同じように食べ物による着色、もう一つは、経年変化によっておこる変色、その他にもプラークやそこに住む細菌が影響することもあります。
天然歯は唾液の成分で作られる薄い膜で覆われており、ある程度着色を防いでくれます。しかし、レジンにはそいうった効果はなく、そもそも色の付きやすい素材であるため天然歯よりも着色しやすい傾向にあるのです。
着色しやすい食べ物はコーヒーや赤ワインなど、天然歯と同じように色の濃いものを食べていると徐々に着色していきます。喫煙も大きな要因となりますので注意しましょう。
1-2 クリーニングや専門店で対処
差し歯の着色にホワイトニングは効果を発揮しませんが、付いたばかりの汚れならクリーニングである程度落とすことができます。
ただし、レジンはそれほど強い素材ではないため、あまり頻繁に研磨剤で磨くクリーニングに通うのはおすすめできません。
また、ホワイトニングとは歯の漂白です。漂白では差し歯を白くすることはできませんが、汚れを分解して元に戻すというサロンもあります。
2.ホワイトニングできない場合の対処法
かぶせ換え
根本的に解決するには、着色したものを取って新しい被せものと交換するのが良いでしょう。しかし、治療目的でなく美容目的となると保険適用外になり数万円の負担が必要となる場合もあります。
3.変色しにくい差し歯の素材とは?
セラミック
保険診療で差し歯を作るとレジンや金属となり、数年後には黄ばみや歯茎の黒ずみに悩む方も増えてきます。
しかし、差し歯の素材はこれ以外にもあるのです。
おすすめは、セラミック!天然歯のような透明感があり見分けがつかないくらい自然で、着色や変色の心配もそれほどなく快適です。
陶器なので強度はあまりなく、歯軋りや食いしばりがある場合にかけてしまうこともあります。また、自由診療なので経済的な負担が大きいことは否めません。
メリット | デメリット | 費用 |
・着色しにくく、変色を気にする必要がない。 ・天然歯に近い仕上がり ・長期間使用できる |
・保険外の治療になるため費用が高額 ・欠けてしまう可能性がある ・技術者の腕によって仕上がりが左右される ・歯を削らなければならない |
約7~15万円/本 |
4.着色しづらい生活習慣
4-1 着色しやすい食べ物を控える
食事や毎日のケアをすることで、ある程度は着色汚れを防ぐことができます。特に気を付けたいのは食事です。
天然歯でも同じですが、濃い色の食品は歯の着色汚れの原因となります。コーヒーや赤ワインは有名ですが、コーラやウーロン茶、緑茶なども同様です。
また、食卓に欠かせない醤油・ソースなどの調味料、みかんやお酢、梅干しなど酸味のある食品も注意が必要です。
色の濃い野菜も注意が必要など、ずっと着色しない食生活をするのは無理がありますが、赤ワインは白に変えたり、コーヒーを飲む回数を減らしてみるなど対策を考えましょう。
4-2 喫煙しない
タバコのヤニといわれるタールは、ベタベタしていてくっつきやすく色が黒い性質があります。
室内で喫煙していると、壁紙が茶色く変色してしまいますがこれもタールが付着した結果です。
もちろん煙を吸い込んでいる口の中にも大量に入り込み、歯に付着します。丁寧にケアしないと歯に茶色い汚れとして現れ、徐々に溜まって歯が真っ黒になることもあります。
ヤニは食べ物の着色汚れよりも落ちにくいため、ヤニ用の歯磨き粉を使用しても歯磨きだけでは限界がありますので、定期的にクリーニングすることをおすすめします。
軽いタバコに変えても着色汚れには効果がありませんので、ホワイトニング用の歯磨き粉に変える、禁煙をするなど対策を考えなければならないでしょう。
4-3 早めに歯磨きをする
食べ物を食べると、口内の細菌が糖をエサにして酸をだし歯を溶かしはじめます。こうなると、歯の表面が荒れているため色素沈着しやすい状態となります。
着色の原因となるものを早く口から追いだすことで、着色を最低限に留めることができます。ダラダラ食べずに、食べたら早めに歯磨きをすることが大切です。
食べ物が口の中に残っている時間がポイントとなりますので、お酒の席や、コーヒーを飲みながらのお茶会を楽しんでいる場合には、お水を飲み口の中をきれいにしつつ、着色しにくくなる方法を考えながら楽しむと良いでしょう。
5.差し歯を入れる前にホワイトニングを
差し歯の色は途中で変えることができない
差し歯を入れる段階で、ホワイトニングをしたいと思っているのであれば、差し歯を入れる前にするのがおすすめです。
差し歯のカラーもある程度選べるため、ホワイトニングをした白い歯を基準に選べば浮く心配もありません。
差し歯を入れた後では色を変えることは難しく、差し替えなど余計な出費が必要となりますので、タイミングや差し歯の素材について考えることも大切です。
6.まとめ
差し歯に一般的な漂白系のホワイトニングをすることはできません。着色汚れに気をつけた生活を送り、定期的にクリーニングをするなど変色を最低限に抑えるよう心がけましょう。
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監修医小川隆介先生
後楽園デンタルオフィス 院長
■院長経歴
2005年 日本歯科大学 卒業
2005~2006年 東京医科歯科大学摂食機能構築学 医員
2007~2011年 東京都内歯科医院 副院長
2011年 後楽園デンタルオフィス 院長就任
現在に至る