ホワイトニングに悪影響はある?噂の検証&デメリットを解説!避けるべき人の条件も

ホワイトニングに悪影響はある?噂の検証&デメリットを解説!避けるべき人の条件も

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ホワイトニングは、「歯を溶かす」「歯をボロボロにする」といった悪影響があると思い、治療を思いとどまっていませんか。これらの噂を信じているなら、損をしているかもしれません。もちろん、ホワイトニングにはデメリットがあります。しかし、それを補うだけのメリットもあります。
この記事では、ホワイトニングの安全性と、考えられる悪影響、用いる薬剤などを詳しく紹介します。不安を解消し、本格的なホワイトニングの検討をしませんか?歯医者さんで施術をすれば、悪影響は少なく、得られるものは多いはずです。

この記事の目次

1.ホワイトニングの悪影響を検証

1-1.ホワイトニングは歯がボロボロになる?

以前は、ホワイトニングを行うと歯が弱くなる、ボロボロになる、もろくなる…といった悪影響を信じる人も多くいました。

しかし、現在では、正しいホワイトニング治療を受ければ、歯や体に危険性はなく、安全性が高いと考えられています。
特に歯医者さんでホワイトニング治療をした場合、基本的に副作用は少ないと言えます。
歯の専門家である歯科医師が、個々の患者さんに合った治療法を見極めた上で、ホワイトニング治療をしてくれるからです。

1-2.ホワイトニングのしくみ

オフィスホワイトニング(歯医者さんで行われるホワイトニング)で用いられる薬剤には、基本的に、過酸化水素という成分が配合されています。
ホワイトニングのメカニズムは、次のように説明できます。

①過酸化水素が含まれた薬剤を歯の表面に塗り、歯に付着していた着色物(ステインなど)を漂白します。
②薬剤が歯の表面のエナメル質を曇りガラス状に変化させます。

歯が黄色く見える原因は、

①歯の表面についた着色物
②半透明のエナメル質の下から、元々黄色みがかっている象牙質が透けている

上記の2つです。

①着色物を①漂白作用で解消し、②象牙質が見えていることを②エナメル質を曇りガラス状に変えることで、歯を白く見せているということです。

そのため、ホワイトニング薬剤によって「象牙質の構造を変える」といった悪影響はありません。
日本の歯医者さんで、ホワイトニング治療に使用してもよいと認められている薬剤は、過酸化水素35%以下のものだけです。
過酸化水素の濃度が高ければ高いほど、ホワイトニングの効果は期待できます。

しかし、高濃度のホワイトニング剤を使用した治療は、歯や歯茎に痛みを感じやすいといったリスクがあります。
もっとも、ホワイトニング後に痛みを感じたとしても、多くの場合、1~2日ほどで症状はおさまります。

薬剤についての詳しい説明は、3章でおこなっています。

1-3.自己流ホワイトニングは禁物!

ホームホワイトニングを自己流でおこなったり、市販のホワイトニング剤を“なんとなく”で使ったりしていませんか?
自己流でホワイトニングすると、知覚過敏になりやすい上に、歯や歯茎に痛みを感じやすくなります。

「できるだけ安く歯を白くしたい」という希望は誰しもが持つものです。
しかし、自分自身でホワイトニングする場合は、使用頻度や使用方法を守っておこなってください。
万が一、痛みを感じたときは、少し期間をおいてホワイトニングをすることをおすすめします。

1-4.個人輸入でホワイトニングするのは危険

個人輸入で手に入れることのできる、海外のホワイトニング剤は危険性があることを指摘されています。
過酸化尿素や過酸化水素の濃度が35%以下であれば、国内で流通しているものと変わりないと思われがちです。
しかし、薬剤の中にはアメリカのFDA、また日本の厚生労働省、どちらにも認可されていない製品があります。

「歯医者さんでホワイトニングするより安い!」と、安易な気持ちで使用すると、歯や歯茎にダメージを与えることになります。
また、欧米人に比べ、日本人は歯のエナメル質が薄いという傾向があります。
欧米人に合った製品を日本人が使うと、口内にダメージを与える恐れが高まります。

基本的に、ホワイトニング剤の個人輸入はおすすめできません。
もし取り寄せるのであれば、認可製品かの確認を、怠らないようにしてください。
調べるのが手間だと感じるようであれば、手を出さない方が賢明です。

2.ホワイトニングで考えられるデメリットとは?

2-1.知覚過敏

ホワイトニングの施術後、歯がしみたり痛みを感じたりすることがあります。
ホワイトニング剤を塗ったことで、歯のエナメル質が脱灰(※)し、一時的な知覚過敏の状態になっているためです。
エナメル質は自然に再石灰化しますので、こうした痛みは時間とともに和らいでいきます。

ただし、過酸化水素の濃度が高いと、痛みが長引くことがあります。
虫歯や歯周病、歯の割れや欠けがあると、過酸化水素が神経まで浸透し、痛みが増すことも考えられます。
通常、24時間ほどで痛みは和らぎますが、何日も続く場合は歯医者さんを受診しましょう。

※脱灰については、2-3章で詳しく解説します。

2-2.ホワイトニングで起こる変色や色ムラ

◆歯の黄ばみが目立つ
ホワイトニングをしたあと、根元部分の黄ばみが目立つことがあります。
これにはさまざまな理由がありますが、主に以下の理由が考えられます。

・根元部分に歯石や汚れがあったため、薬剤塗布にムラができた
・脱灰でエナメル質が薄くなったため、下の象牙質の黄ばみが透けて見える

ホワイトニング後は、濃い色の飲食物を控えなければいけないといった、食事制限を守る必要があります。
食事制限を守らずに濃い色の飲食物を摂ると、治療前よりも黄ばみが目立つことがあります。

◆ホワイトスポットが目立つ
ホワイトニングをしたあとに、「ホワイトスポット」という、歯の表面にある斑点が目立つことがあります。
ホワイトスポットは、エナメル質形成不全(※)の一種です。
原因は、ホワイトニングで白くなった部分と、白くならかった部分(ホワイトスポット)の差がはっきりするためです。

※エナメル質形成不全とは:歯の表面の組織が不完全に作られる、先天性の異常です。

◆ムラになる
市販のホワイトニング剤を用い、自己流でホワイトニングをした場合、歯の色がムラになることがあります。
薬剤の厚みに差が出ることや、液を均一に塗布できないことが挙げられます。

◆歯茎の変色
薬剤の濃度が高いホワイトニング剤が歯茎につくと、トラブルを引き起こすことがあります。
歯茎が白く変色する、赤くなり炎症するといったトラブルです。

2-3.歯が一時的に弱くなる(脱灰)

脱灰とは、酸性のホワイトニング剤が原因で、歯のカルシウムが溶け出すことです。
酸性の飲食物(たとえば、炭酸飲料)を摂ることによっても、脱灰は起こります。
つまり、脱灰は生活する上で日常的に起こっている現象と言えます。

お口の中が酸性から中性に戻れば、再石灰化(※)が起こるため、溶け出した歯は元の状態に戻っていきます。
そのため、ホワイトニング剤や酸性の食品で一時的に脱灰しても、歯がダメージを受けたままになることはありません。

※再石灰化とは:唾液の中に含まれるカルシウムが歯面に付着する現象のこと

中には、中性のホワイトニング剤を用いて治療をおこなっている歯医者さんもあります。
ホワイトニング剤そのものが中性であれば、脱灰は起こりにくくなります。
基本的に、脱灰は時間経過とともに治癒する症状ですが、心配なようであれば、中性のホワイトニング剤を扱っている歯医者さんを受診するとよいでしょう。

3.ホワイトニングに用いる薬剤は安全?

3-1.過酸化水素

ホワイトニング薬剤の主な成分は、過酸化水素です。
過酸化水素には、歯を漂白する作用があり、消毒薬として用いられるオキシドールと同じ成分です。
過酸化水素は、FDA(米国食品医薬品局)において安全性を認められている成分です。

日本では、「うどん」や「かまぼこ」といった食品を作る際に、食品添加物としても用いられます。
過酸化水素の安全性は高いものの、濃度が高いホワイトニング剤が歯茎や口につくと、火傷や炎症を引き起こす恐れがあります。

3-2.過酸化尿素

基本的に、ホームホワイトニング薬剤には、過酸化尿素が配合されています。
過酸化尿素は、ホワイトニング剤として使用する場合、過酸化水素と尿素に自然分解されます。
そのため、効果は過酸化水素とほぼ同じと言えます。

過酸化尿素の濃度が10%の場合に、その中に含まれる過酸化水素の割合は3%ほどです。
つまり、過酸化尿素が分解したあと、過酸化水素の濃度は3分の1ほどになるということです。
そのため、過酸化尿素が配合されているホワイトニング剤の漂泊効果は、緩やかになります。
ゆっくり作用していくため、痛みがでづらいことがメリットです。

3-3.酸化チタンやチッ素

オフィスホワイトニングでは、薬剤の中に酸化チタンやチッ素という成分が入っている場合があります。
目的は、ホワイトニング効果を引き上げるためです。

酸化チタンやチッ素の副作用や悪影響は、ほぼ心配ないでしょう。
理由は、どちらも食品に入っているからです。
酸化チタンは、食品を白くするための食品添加物(着色料)として配合されています。
酸化チタンを添加したホワイトチョコレートと、添加していないホワイトチョコレートでは、白さに違いがあります。
チッ素は、お豆腐を作るときに、材料を固める凝固剤として使われています。

4.こんな人はホワイトニングを避けて

4-1.虫歯や歯周病がある人

ホワイトニングをしたくても、虫歯や歯周病があるとすぐに施術できません。
虫歯や歯周病を治療せずに、ホワイトニングを行うと、歯や歯茎を痛める恐れがあります。
口内のトラブルを解決してから、ホワイトニング治療をおこないます。

4-2.歯に傷・割れなどがある人

歯の表面にクラック(欠け)や傷といったダメージがあると、ホワイトニング薬剤が神経まで達することがあります。
ダメージを残したままホワイトニングをすると、しみやすくなります。

自分では歯の状態に気づきにくいので、歯医者さんで詳しく診察もらいましょう。
ダメージが歯にある場合は、人工素材で傷を補う治療を受けてから、ホワイトニング治療をおこないます。

4-3.妊娠や授乳をしている人

ホワイトニングが妊娠や授乳中のお母さん、またはお子さんに悪影響を与えるという研究結果はありません。
ただし、絶対に安全であるといったような確証もありません。
そのため、多くの歯医者さんで、妊娠中や授乳をしている女性に対するホワイトニング治療をおこなっていません。
ホワイトニング治療を希望しているなら、妊娠前、もしくは授乳後に計画を立てましょう。

4-4.無カタラーゼ症の人

ホワイトニング薬剤に配合されている成分の分解ができない、「無カタラーゼ症」の人には、ホワイトニングをおすすめできません。
無カタラーゼ症の人が無理にホワイトニングをおこなうと、進行性口腔壊死といった危険な症状を引き起こすこともあります。
そのため、過酸化水素が配合されたホワイトニングはおこなわないようにしてください。
「無カタラーゼ症」かもしれない、と不安に思うようであれば、歯医者さんで検査をしてから治療をするようにしましょう。

4-5.光過敏症の人

オフィスホワイトニングの中には、効果を高めるために、ハロゲンやLEDの光を当てることがあります。
光過敏症とは、強い光をあびることが原因で、皮膚に赤い斑点や水疱ができる病気です。
光過敏症の人は、光を照射しないタイプのホワイトニング、または、ホームホワイトニングを選ぶようにしましょう。
どんなホワイトニング方法があるか、歯医者さんに相談することをおすすめします。

5.どんな歯医者さんを選べばよい?

5-1.詳しく検査をしてくれる

初めて行く歯医者さんであれば、しっかり検査をしてくれるか確認したいものです。
中には、十分な検査をせずにホワイトニング治療をおこなう歯医者さんもあります。

お口の中を視診するだけでは、十分でない場合があります。
隠れた虫歯や、肉眼で発見できない異常を見つけるために、各種検査を実施してくれる歯医者さんを選びましょう。
セルフホワイトニングやエステサロンには、歯科医師が在籍していない店舗が多くあります。
ホワイトニング前の検査ができないので、利用する際は注意しましょう。

5-2.歯茎に保護ダムをしてくれる

痛みが心配な人には、薬剤から歯茎を保護してくれる保護ダム(歯肉保護剤)を塗ってくれる歯医者さんをおすすめします。
保護ダムを使用しているかどうかは、歯医者さんのホームページに記載されていることがあります。
または、電話で問い合わせてみましょう。

5-3.口や唇の保護マスクをしてくれる

皮膚が弱い人には、唇やお口の周辺に保護マスクをしてくれる歯医者さんをおすすめします。
万が一、薬剤がお口の周辺についたとしても、保護マスクが皮膚のかぶれや炎症を防いでくれます。

5-4.痛み止めを処方してくれる

歯医者さんによっては、ホワイトニングの際に鎮痛剤を処方してくれるところがあります。
ホワイトニングの治療後、一時的に知覚過敏のような痛みが出る恐れがあるためです。
痛みやしみる感覚が強かったり、長く続いたりする場合は、鎮痛剤を服用しましょう。

5-5.クリーニングを行ってくれる

歯医者さんによっては、ホワイトニングの前にクリーニングをおこなってくれます。
ホワイトニング前にクリーニングすることで、表面の汚れや被膜を取ることができます。
薬剤が均一に浸透し、ムラなくキレイに仕上がるというメリットがあります。

6.まとめ

基本的に、オフィスホワイトニングであれば、大きな心配はありません。
歯医者さんの指示通りにマウスピースや薬剤を用い、自宅で行うホームホワイトニングも、悪影響や副作用は少ないでしょう。

一方、個人輸入で海外のホワイトニング剤を手に入れたり、自己流でホワイトニングをおこなったりすれば、歯や歯茎にダメージを与えるリスクが高くなります。
安く効果が強いからといって、手軽に海外のものを使うのはおすすめできません。

ホワイトニングを始める前には、歯医者さんで検査をしてもらいましょう。
虫歯や歯周病がないかをチェックしてもらうことが、その後のホワイトニング治療で起こるリスクの軽減につながります。
白くキレイな歯を維持するために、長くつきあえる歯医者さんを選びましょう。

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監修医飯田尚良先生

飯田歯科医院 院長

■院長経歴
1968年 東京歯科大学 卒業
1968年 飯田歯科医院 開院
1971年 University of Southern California School of Dentistry(歯内療法学) 留学
1973年 University of Southern California School of Dentistry(補綴学・歯周病学) 留学
1983年~2009年 東京歯科大学 講師
現在に至る

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