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歯が小さい「矮小歯」は矯正で治せる?
歯が小さい状態「矮小歯」って?
標準よりも極端に歯が小さいものは「矮小歯(わいしょうし)」と呼ばれます。極端に大きな「巨大歯(きょだいし)」とともに異常な歯とはされますが、審美的、機能的に問題がなければ、特別治療の必要はありません。
歯が小さい矮小歯はどこに?なぜ起きる?
小さな歯が出現しやすい場所は、上顎側切歯(上の前歯中央から2番目の歯)や第三大臼歯(いわゆる「親しらず」)などとある程度絞られており、退化傾向の強い歯に矮小歯が出現しやすいようです。また、正常より多く生えてくる歯、いわゆる過剰歯の多くが小さい歯でもあります。歯が小さい矮小歯の原因は、はっきりとは分かっていません。しかし、上記したように特定の歯のみが小さいのではなく、全体の歯でサイズが小さいケースでは、遺伝や下垂体機能の衰え、ビタミンDの欠乏などが原因と考えられているようです。
歯の大きさを矯正で変えることはできません
歯が小さい矮小歯には、矯正治療を行うことがあります。しかし、矯正治療とはあくまで歯並びや噛み合わせを整える治療であり、矯正治療のみで小さい歯を大きくすることはできません。
歯が小さいための不具合は矯正で改善可能
矯正治療で歯の大きさそのものを変えることはできませんが、歯が小さいことによって生まれる不具合は、ある程度改善することが可能です。歯が小さいとはいえ、きれいに並んで生えていれば、特に問題はありません。しかし、矮小歯のせいですきっ歯や歯並びの悪さが発生しているようなケースでは、矯正治療でこれらを解決することは十分可能なのです。
歯が小さい人が矯正を受けるべきケースは?
歯が小さいこと自体は異常ではありますが、それにより支障が発生していなければ治療は必要ありません。しかし、歯が小さいために歯並びが乱れて見た目が悪かったり、小さい歯があるために、別の歯に極端に負担がかかってしまったりといった問題があるようなら、矯正などによる治療を考えるべきです。
歯が小さいために起こり得る問題って?
空隙歯列(すきっ歯)
特定の極端に小さい場合、その周辺で歯と歯の間に隙すき間が空いてしまう場合があります。この状態を専門用語では「空隙歯列(くうげきしれつ)」と言います。これが前歯で起きると、すきっ歯として目につきやすく、気になるという人が多いようです。
歯並びの悪さ
適正なサイズの歯が、正しい場所にきちんと並んでいれば良いのですが、1本でも小さすぎる歯があると、その周囲の歯がすき間に生えてしまうなど、適切な場所に並ばず、歯並びが乱れてしまうことがあります。
噛み合わせの不具合
歯が小さい場合、小さすぎる歯が上手に噛み合わないなど、噛み合わせの不具合が出るケースもあります。別の歯に負担がかかりすぎるなど、歯が小さいために影響が広がる場合もあり、矯正で噛み合わせを整える必要があるケースもあるのです。
食事の難しさ
歯が小さく、噛み合わせがよく合わないと、上手に噛むことができず、食事に支障が出ることもあります。また、小さい歯の周辺ですきっ歯があると、食べもののカスなどが挟まりやすく、清潔を保つことも難しくなります。
虫歯・歯周病リスクが高まる
歯が小さいために歯並びが乱れていると、歯に汚れが溜まりやすくなってしまいます。そのため、虫歯や歯周病になりやすくなってしまうという問題もあるのです。
ブリッジなどの土台に向かない
歯が小さい場合、歯の根も短く、歯の強度が十分とは言えない場合が多くあります。そのため、小さい歯をブリッジなどの土台にしてしまうと、通常より早く寿命を迎えてしまうこともあります。
発声への影響
歯が小さいために歯と歯の間にすき間があると、そこから空気が漏れてしまい、発声に影響がでるという問題もあります。特にサ行の音発音が難しくなる傾向があるようです。
歯が小さいことによる問題を改善するには?
矯正治療
歯が小さいことにより歯と歯の間にすき間が空いていたり、歯並びが乱れているような場合には、矯正治療が有効です。ワイヤーブラケットやマウスピースなどの装具を用いて、歯の位置を調整し、正しい歯並びに導きます。
歯冠補綴
歯の大きさそのものを改善したいなら、セラミッククラウンなどの差し歯を被せる治療があります。被せものはには、さまざまな素材のものがあるため、予算や美しさ、耐久性など、自身の希望に沿ったものを選びましょう。
ラミネートベニア
小さい歯の表面をほんの少しだけ削り、極薄いセラミックのシェルを貼りつけて、歯を大きくするラミネートベニアという治療法もあります。歯が小さいことによって生まれたすき間を埋めるのには、とても有効な方法です。また、貼りつける素材がセラミックなので、変色もなく、自然な色味が長続きするのも魅力です。
ダイレクトボンディング
矯正治療や歯間補綴、ラミネートベニアといった方法は、一度の治療では完了しません。一度の通院でお金をかけずに矮小歯をなんとかしたいと考えるなら、ダイレクトボンディングがおすすめになります。ダイレクトボンディング法では、歯科用レジンというプラスティック樹脂を歯に直接盛りつけて、小さい歯を大きくしたり、歯のすき間を埋めたりします。すぐできて安価と大変手軽な治療法ですが、プラスティック樹脂を用いるため、時間の経過とともに変色して不自然に見えてしまうというデメリットもあります。
複数治療の組み合わせ
歯が小さい矮小歯を整える場合、矯正治療や歯冠補綴、ラミネートベニア、ダイレクトボンディングといった治療を単独で行うことは可能です。しかし、より良い治療成果を挙げるためには、各治療法を状態に合せて組み合わせることも必要になってきます。目指す仕上がりにはどのような治療が必要となるのか、まずは歯医者さんに相談するのがよいでしょう。
歯が小さい矮小歯の矯正での注意点は?
歯が小さいため強度が不足しがち
矮小歯は表面に見えている歯冠のみでなく、歯の根も細く短いことが多いようです。そのため、正常な歯に対して強度が不足しがちな傾向にあり、大きすぎる負荷をかけてしまうと、寿命を縮めてしまうことにもつながります。矯正治療を行う際にも、歯の状態を見ながら慎重に行う必要があるのです。
上下で噛み合わせがズレてしまう
内容 歯が小さい場合でも、矯正治療で歯並びを整えることは可能です。しかし、小さい歯が上、もしくは下のみに出現している場合、上下で噛み合わせが多少ずれてしまうという事態は、避けようがありません。歯が小さいまま矯正治療のみで歯並びを整えると、見た目の違和感や噛み合わせの不具合などが残るケースもあるということは心に留めておきましょう。
まとめ
一部、または全体の歯が標準より小さい矮小歯は歯の異常ではありますが、小さくとも問題が発生しない場合は治療の必要はありません。しかし、歯並びや噛み合わせ、口腔内環境などに悪影響を及ぼすケースも多々あるので、矯正治療を含む各種治療での対策が必要となることも。歯医者さんと相談しながら、ご自身に合った治療法を探してみてください。
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