※ 掲載する平均費用はあくまでユーザー様のご参考のために提示したものであり、施術内容、症状等により、施術費用は変動することが考えられます。必ず各院の治療方針をお確かめの上、ご自身の症例にあった歯医者さんをお選びください。
この記事の目次
日本人の歯並びに対する意識
日本人はデンタルIQが低い?
「日本人はデンタルIQ(※1)が低い」と言われることがあります。
しかし、歯並びをはじめ、口腔環境に対する意識や関心はそれほど低くないようです。
例えば、日本臨床矯正歯科医会が全国の10~50代の男女1,000人を対象に実施した調査(※2)では、次のような結果が報告されています。
■「歯並びは第一印象を左右する」と答えた人…72.6%
■「芸能人だけでなく一般人も歯並びは大切」と答えた人…67.9%
また、日本歯科医師会が、全国の10~70代の男女10,000人を対象に実施した調査(※3)でも、次のようになりました。
「歯並びやかみ合わせが悪いと、虫歯や歯周病、顎関節症、肩こりや頭痛などの原因につながる」ことへの関心度や認知度について
■関心を持っている人の割合…91.4%
■認知している人の割合…88.1%
こうした調査結果から、日本人は決して「歯並びに対する意識や関心が低い」というわけではないことが分かります。
※1 デンタルIQという言葉は、虫歯や歯周病といった口内の病気や、矯正といった歯のメンテナンス、そのほか口内環境全般についての意識、理解度・認知度の指標として使われています。「高い」「低い」といった言葉で表されるのが一般的です。
※2 日本臨床矯正歯科医会 「歯並びと矯正歯科治療」に関する意識調査
※3 日本歯科医師会 「歯科医療に関する一般生活者意識調査」
日本人で矯正治療する人の割合は?
意識や関心の高さに比べると、日本人の中で実際に矯正治療を受けたことがある人や、将来的に矯正治療を受ける意向がある人は、それほど多くないようです。
アライン・テクノロジー・ジャパン株式会社が、日本・アメリカ・中国に住む男女600人(各国200人ずつ)を対象におこなったアンケートでは、次のような結果が出ています。
■歯並びの悪い人が矯正治療をおこなった割合…日本21.3%(アメリカ50.0%、中国23.8%)
■矯正治療をしたいという意向がある人の割合…日本54.2%(アメリカ79.3%、中国85.3%)
■歯医者さんに相談した経験がある人の割合 …日本23.5%(アメリカ67.5%、中国74.5%)
また、先ほどの「歯科医療に関する一般生活者意識調査」では、「歯並びやかみ合わせが悪いと、虫歯や歯周病、顎関節症、肩こりや頭痛などの原因につながること」について
■関心を持っている人の割合…91.4%
■認知している人の割合…88.1%
という調査結果を紹介しましたが、その多くは「聞いたことがある」程度という人で、「詳しく知っている」人は、1~2割に留まったという結果も出ています。
こうした調査は、同じ時期に実施されたものではありません。
また、対象となる年代や人、地域も異なります。
そのため参考程度という捉え方が適切ですが、日本人の歯並びに対する意識や関心、治療について次の傾向があると考えられます。
■歯並びの大切さについて高い意識や関心を持っているが、詳しく知っている人は少ない
■意識や関心が高い反面、実際に治療をおこなった人の割合は少ない
歯並びが悪くなりがちなのは骨格の影響?
日本人の顔の骨格が、歯並びに影響していることが分かっています。
硬い食べ物を食べていた縄文時代の日本人は、顎の筋肉が発達し、顔の骨格も厚くて頑丈だったため、顔が大きかったと考えられています。
一方、柔らかい食べ物が中心の現代の日本人は、顎の筋肉や歯を支える骨(歯槽骨=しそうこつ)が退化して縮み、細長い顔の人が増えていると言われています。
歯槽骨が退化して縮むということは、その分だけ歯が並ぶスペースが狭くなるということです。
結果として、まっすぐに生えてくることができない歯が出てしまい、八重歯や出っ歯といったように、歯並びに影響してしまうケースが多くあるようです。
※【参考】国立科学博物館 日本人の顔 内部構造の進化 日本人の顔の進化 縄文から現代まで
日本人が歯並びの矯正治療をためらいがちな理由
矯正治療に対してマイナスのイメージがある
日本人には、歯並びの矯正治療について、次のようなマイナスのイメージが根強く残っていると言われています。
「口を開けると目立つため恥ずかしい」
「食事や会話のときに違和感がありそう」
「痛みがありそう」
「歯磨きといったケアが大変そう」
その中でも特に、「目立つ」ことを気にする人は多いようです。
目立たない矯正器具はあるのか。どれくらいの費用でできるのか。普通の矯正とどれくらい値段が違うのか?
【引用】EPARK歯科 歯のお悩み相談室「目立たない矯正器具について」
現在62歳ですが、昔から歯並びにはコンプレクスがありました。この歳からでも矯正は可能でしょうか?今更、金属金具等での目立つような矯正はしたくありません。
【引用】EPARK歯科 歯のお悩み相談室「歯列矯正について」
歯列矯正をしたいが、色んな矯正があり悩みます。 早く終わるもの、目立たないもので費用の負担も軽いものはどれなのでしょうか。
【引用】EPARK歯科 歯のお悩み相談室「歯列矯正について」
歯並びの矯正に保険が適用されないケースが多い
日本では、歯並びの矯正治療が自費診療(全額自己負担)になるケースがほとんどです。
顎の骨を手術して矯正治療するといったように、限られたケースにしか保険が適用されません。
一般的な歯並びの矯正治療にかかる費用は、10~150万円程度(※)が相場のようです。
ただし、歯医者さんごとに料金設定が異なるほか、矯正範囲や使用する器具によっても大きく変わります。
全額自己負担な上、高額になることが多いため、矯正治療に踏み切れないという人も少なくないようです。
※費用相場は矯正歯科まとめ調べによるものです。
歯並びを矯正することのメリット・デメリット
メリット
◆歯磨きしやすくなり、磨き残しのリスクも減る
歯並びの影響で歯ブラシが届きにくかった部分も、磨けるようになります。
そのため、磨き残しを減らすことができます。
衛生的な口内環境は、虫歯や歯周病のリスクを減らすことにもつながります。
◆噛み合わせが改善され、左右バランスよく噛めるようになる
噛み合わせが改善することで、顎の骨や筋肉にかかる負担が軽減されます。
また、歯並びが原因だった顎関節症、肩こり、頭痛といった症状の改善も期待できます。
◆消化器官にかかる負担も軽減される
唾液には食べ物の消化を助ける働きがあるため、胃腸といった消化器官にかかる負担が軽減されます。
噛み合わせが改善し、よく噛めるようになることで、唾液の分泌量が増えるためです。
◆発音の改善やコンプレックスの解消が期待できる
歯並びが原因で特定の音の発音に影響があった人は、発音の改善が期待できます。
また、歯並びがコンプレックスだった人も、矯正治療によって解消が期待できます。
デメリット
◆虫歯や歯周病のリスク
矯正器具を装着することで、その部分に磨き残しが増える恐れがあります。
歯垢(プラーク)や歯石が溜まることで、虫歯や歯周病といったリスクが生じます。
◆治療期間が長くなることが多い
成人の場合、矯正治療が終了するまで1~3年程度かかるのが一般的と言われています。
ただし、具体的な治療期間は、歯の状態や矯正の範囲によっても大きく異なります。
◆治療費が高額になってしまう
一部の限られたケース以外の矯正治療は、すべて自費診療です。
100万円を超えることも少なくありません。
◆後戻りすることがある
矯正治療した歯は、器具を外すことで元の位置に戻ろうとすることがあります。
これを「後戻り」と呼んでいます。
後戻りを防ぐには、さらに1年以上の保定期間を設け、保定装置で維持するのが一般的です。
目立ちにくい矯正装置も登場している
目立ちにくい矯正器具とは
「目立たない装置なら矯正治療を検討したい」という人には、透明や白い器具を使った矯正や、裏側矯正、マウスピース矯正などの選択肢もあります。
金属のブラケットやワイヤーを用いた矯正治療よりも、目立たずにできます。
営業や接客業といったように、人と接することが多い人にも人気の矯正治療です。
◆ワイヤー矯正(ブラケット)透明、白
歯の表面に装着するブラケットと呼ばれる装置と、ブラケット同士をつなぐワイヤーが、透明や白いものも登場しています。
金属のブラケットやワイヤーよりも目立たない点がメリットです。
一方、口を開いたときに矯正器具が見える、装着期間中は歯磨きがしにくくなる、といったデメリットもあります。
◆裏側矯正
歯の裏側に矯正装置を装着するのが、裏側矯正です。リンガル矯正とも呼ばれています。
表からはほとんど見えないため、見た目が気になる人にメリットがあります。
ただし、舌に矯正装置が当たるため、慣れるまで話しづらいといったデメリットもあります。
◆マウスピース矯正
透明のマウスピースを装着するのが、マウスピース矯正です。
取り外しが可能、ほとんど目立たない、といったメリットがある反面、歯医者さんで指示された装着時間を守らないと、治療期間が長くなるといったデメリットがあります。
◆セラミック矯正
歯並びを矯正したい歯を削り、セラミックの被せ物をすることで歯並びを改善する治療です。
見た目がきれいな上、数ヶ月で完了するといったメリットがあります。
一方、必ず歯を削るため、セラミック矯正を選択するかどうかは慎重に検討しましょう。
目立たない矯正器具の治療費用の目安は?
矯正治療は、顎の骨を削る必要があるいといった一部のケースを除いて、全額自己負担となる自費診療です。
費用は、歯医者さんによって、あるいは、矯正範囲や装着する器具によっても大きく異なります。
矯正治療を検討している人は、まずは一度歯医者さんに相談してみましょう。
まとめ
日本人の歯並びに対する意識や関心は、決して低いものではありません。
しかし、矯正治療に対するネガティブなイメージが根強く残っていることや、目立ちにくい矯正治療の認知度が低いといったことから、矯正治療に踏み切れない人も多くいるようです。
この記事で紹介したように、近年ではさまざまな「目立たない矯正器具」も登場しています。
歯並びで気になるところがある人や、矯正治療について詳しく知りたい人は、まず一度、歯医者さんに相談してみてはいかがでしょうか?
本町通りデンタルクリニック 野村 雄司先生 監修 |
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