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噛み合わせを治すための主な4つの治療法

噛み合わせを含め、歯並びの見た目や機能を改善する治療法では、矯正治療が一般的ですが、それだけではありません。歯が抜けたことによって噛み合わせが乱れるケースもあれば、詰め物や顎の不具合によって、噛み合わせが悪くなることもあります。その原因によって、主に4つの治療法があります。

矯正治療

矯正治療では、さまざまな矯正装置を使い、歯の位置を移動することによって、噛み合わせを改善することができます。主な矯正法は大きく分けて、ブラケット矯正とマウスピース矯正の2つになります。歯にブラケットという固定器具を装着し、そこにワイヤーを張って歯列を移動するのがブラケット矯正です。マウスピース矯正は、マウスピースを定期的に付け替えて理想の歯列に近づけていくものです。出っ歯(上顎前突)、受け口(反対咬合)、叢生(乱杭歯)、すきっ歯(空隙歯列)、前歯が閉じない状態(開咬)、上顎の過剰な噛み込み(過蓋咬合)、上下の歯の左右へのズレ(交叉咬合)など、明らかな不正咬合が認められる治療では、矯正治療が一般的な方法となります。

ブリッジや入れ歯、インプラント

歯は両隣が接触して支え合っているものなので、1本抜けただけでも、歯が移動して、歯並びが乱れてしまうものです。従って、歯が抜けた場合には、そこを補う治療が必要となります。抜けた歯を補う治療法は、ブリッジ、入れ歯、インプラントと大きく分けて3つあります。ブリッジは抜けた歯の両隣の歯を使って橋渡しをするようにつなぐ方法で、金具(クラスプ)を使用しない、ノンクラスプ義歯も有るので一般的な入れ歯は両隣の歯に金具を引っ掛けて人工の歯を装着するものですまたインプラントはチタン製の人工歯根を顎の骨に埋め込んで、人工の歯を入れる治療法となります。奥歯の入れ歯では、強く荷重がかかるので、入れ歯が沈み込んで噛み合わせが乱れることもあります。そうした際にもインプラント治療が効果的です。

被せ物の調整

虫歯の治療などで被せ物がある場合にも、噛み合わせが悪くなることがあります。被せ物は天然の歯と硬さが違うため、すり減り方も違ってきます。従って、最初のうちは噛み合わせが合っていても、徐々に噛み合わせが乱れてくるものです。被せ物がなくても、食いしばりや歯ぎしりの癖などで、歯が大きくすり減って、噛み合わせが狂うこともあります。また、被せ物を入れる際、治療後の違和感を軽減するため低く作る場合もあります。これにより、噛み合わせが乱れるケースもあります。

治療法としては、すり減った部分を被せ物で補ったり、既存の被せ物の高さを調整したり、天然の歯の柔らかさに近い素材に換えたり、仮歯を入れて適切な噛み合わせを十分に検討してから、被せ物を製作する方法などがあります。

顎の治療

顎の位置が前後左右にズレてしまうなど、顎自体のポジションの異常によって噛み合わせが悪くなることもあります。軽度のズレではマウスピースなどを使って、改善する方法もありますが、上下の顎の大きさがもともとアンバランスであったり、大きくズレてしまっているケースでは、外科手術によって対処することもあります。
また、ブラケット矯正やマウスピース矯正などの歯列矯正だけでは治せない、顎の異常を伴った場合には、矯正治療と顎の外科手術を併用することもあります。外科手術が必要とされる顎変形症と認定された場合には、健康保険の適用が可能となります。

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噛み合わせの悪さが招く6つの代表的な弊害

悪い噛み合わせは、すなわち歯の機能が損なわれている状態です。きちんと咀嚼できないことはもちろん、片側だけで噛んだりなど、顎に偏った力が加わることで、顎のバランスが崩れ、顎の使う筋肉にも偏りが生じるので、体のバランスを崩す要因にもなります。

虫歯や歯周病

噛み合わせが良い歯は、自浄作用があるものです。つまり、食事中にきれいに噛み合わさることで、汚れが自然に落ちたり、汚れが付きにくくなる作用があります。一方、歯並びが悪ければ、汚れが付きやすいだけでなく、ブラシが行き届きにくくなり、セルフケアが疎かになる箇所が増え、虫歯や歯周病になりやすい口内環境になります。また、歯に大きく負担がかかったり、まっすぐ力が加わらず、左右に揺さぶられるような歯は、歯周病にかかりやすくなります。

咀嚼障害

歯のもっとの大切な機能の一つが咀嚼です。咀嚼とは、食べ物を細かく噛み砕いて、十分に唾液と混ぜることで、消化を助ける機能です。噛み合わせが悪いと、食べ物を十分に噛めないことはもちろん、舌の動きが偏ったりするなど悪くなって、唾液と混ぜ合わせることが不十分になります。これが咀嚼障害です。さらに、咀嚼が悪くなると、飲み込みにくさを感じるといった嚥下障害にもつながってきます。

消化器への負担

咀嚼障害があると、当然胃腸などの消化器にも負担がかかります。咀嚼障害では、食べ物をよく噛まずに飲み込んでしまう癖も生じるので、十分に細かく噛んでいなかったり唾液と混じり合っていないまま、胃に食べ物が送られてしまうからです。

頭痛や肩こり

顎を構成する筋肉の中には、首や肩にかけてつながっているものもあります。噛み合わせが悪いと、片側だけで噛んだり、偏った顎の使い方をするので、こうした筋肉のバランスが悪くなり、肩こりや頭痛を招くこともあります。

顔の歪み

噛み合わせの偏りは、顎で主に使う咀嚼筋の偏りにもつながります。顎の片側ばかりで噛んでいると、左右の咀嚼筋にかかる負荷のバランスが悪くなり、筋肉の大きさが左右で異なっていくので、顔の歪みが生じることもあります。

顎関節症

近年、若い女性に急増しているのが顎関節症です。これは、顎関節のクッションとなっている組織がズレたり歪んだりすることにより、口を大きく空けられなくなったり、噛む時に痛みやシャリシャリといった異音がするような症状を招く疾患です。ストレスや方杖や噛み締めなど、生活習慣や環境的な要因など、原因はさまざまですが、噛み合わせの悪さもその一因となります。

自律神経失調症

噛み合わせのバランスは、神経のバランスにも影響を与えることがあり、自律神経失調症の一因となるケースもあります。自律神経失調症は、慢性的な疲労感やめまい、頭痛、動悸、不眠症、耳鳴り、イライラや倦怠感など、症状はさまざまで、原因を特定しにくい疾患ですが、ストレスによるものも多いものです。悪い噛み合わせは、そのストレスの一つになるものとして考えられています。

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噛み合わせの良い歯とは?その6つのポイント

噛み合わせの悪い歯の及ぼす悪影響や、代表的な治療法について、ご説明してきましたが、そもそも噛み合わせの良い歯とは、一体どのような歯を指すのでしょうか?噛み合わせの良い歯の条件となる8つのポイントについてご紹介しましょう。

1.上下の前歯の適切な噛み込み

上の前歯が下の前歯よりも前方に出ている状態が基本です。その上で、横から見た時に、上の前歯が下の前歯よりも2ミリから3ミリ前方に出ていることが一つの条件です。 また、正面から見た時に、上の前歯が下の前歯を2ミリから3ミリ程度、覆うように接触して噛み込んでいるのが理想です。

2.前歯の中心線が揃っていること

正面から見たときに、上の前歯の中心と、下の前歯の中心が揃っていることも、噛み合わ
せの良い歯のポイントです。これが、ズレている歯並びは交叉咬合と言われ、上下の歯がきちんと噛み合わさっていないと考えられます。

3.犬歯から奥歯までの正常な噛み合わせ

良い歯並びを横から見ると、犬歯から奥歯まで上下の歯が交互に噛み合わさる形になっています。正確にいうと、上の歯のそれぞれの中心が、下の歯と歯の間に隙間なく収まるような形で噛み合わさります。

4.隣り合った歯の適切な接触

上下の噛み合わせだけでなく、それぞれの隣り合った歯の接触の仕方も一つのポイントとなります。理想的な歯並びでは、歯列を真上から見た時に、歯の側面で隣の歯と接触し、接触した箇所を結ぶときれいなアーチを描きます。従って、乱杭歯やすきっ歯は、理想的な接触ができていない状態と言えます。

5.歯根が顎の骨に沿っていること

正面からレントゲン撮影すると分かることですが、顎の骨のラインに沿って、そこから垂直に伸びるように歯根があることも重要です。噛んだ時に、顎の骨にまっすぐ均等に力が加わることで、しっかり噛むことができます。

6.小臼歯の適切な噛み合わせ

小臼歯には、上下の顎の位置を正しいポジションに保つ役割があります。その形を見ると、2つの尖った部分(咬頭)があり、上下の小臼歯の咬頭がきれいに噛み合わさることで、上下の歯のポジションがいつも一定の位置に定まります。小臼歯は噛み合わせを決める大切な歯なのです。

噛み合わせの検査をしてみよう

噛み合わせが悪いことが疑われるケース

上顎前突(出っ歯)、空隙歯列(すきっ歯)などといった疾患名がつき、自分でも判断できるような不正咬合は別として、噛み合わせの良し悪しは、適確なセルフチェックがなかなか難しいものです。ここでは、噛み合わせの悪さが疑われる状態について、列挙してみましょう。

・知覚過敏がある(力が強くかかってすり減りやすい箇所がある)
・歯に食べ物がよく挟まる箇所がある
・被せ物や詰め物が取れやすい
・片側で噛んでしまいがち
・噛みやすいところと噛みにくいところがある
・頬の内側や唇、舌など、口内を噛んでしまうことが多い
・歯茎が後退している箇所がある
・正面から見た時、顎が非対称で歪んでいる

どんな歯医者さんに相談する?

噛み合わせの不具合には、さまざまな原因があります。前述した通り、いろいろな治療法があり、一般歯科で扱うもの、矯正歯科で扱うもの、口腔外科が専門とするものなど、科目も多岐に渡ります。従って、噛み合わせの治療は、そのケースによっては、治療が難しい分野の一つでもあります。

噛み合わせの不具合を相談するのであれば、一般歯科、矯正歯科、口腔外科を扱うなど、幅広い診療項目を手がけているところや、噛み合わせの治療を専門的に手がけている歯医者さんに相談するのが得策です。また、歯科用CT(歯や顎の骨の位置関係を3次元的に撮影できる機器)や、オクルーザー(噛む力やバランスを測定する機器)、シロナソグラフ(下顎の動きを立体的に測定する機器)など、精密検査を行える設備が整っていることも、一つのポイントとなります。

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まとめ

歯の噛み合わせ治療は、歯科治療においても扱う診療科目が多岐にわたり、場合によっては、改善するのが難しい分野の一つです。まずは、明らかな不正咬合がないかどうか、噛み合わせが悪いことが疑われるような症状や状態がないかどうか、セルフチェックしてみましょう。歯医者さんに相談するのであれば、噛み合わせの治療を専門的に扱っていて、精密検査ができるところで診てもらうのが得策です。

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2022-08-16T13:35:28+00:00