この記事の目次
二重歯列について
二重歯列とは
二重歯列とは、おもに前歯部分がデコボコになっていて、歯が二列に並んでいる異常のことです。「二重前歯」や「叢生(そうせい)」ともいわれています。また、乳歯が完全に抜けずにそのまま残ってしまうことで、永久歯といっしょに並んでしまうことがまれにあります。これも二重歯列とよばれるものです。
閉じているときにはわかりませんが、口を大きくあけたときや笑ったときに目立ちます。小さいころにからかわれたり、人から指摘されたりしてコンプレックスに思う人もいます。自分では対処法がわからず放置していることも多いようです。
原因はなに?
二重歯列になる原因は以下のようなものがあります。
◆あごが小さい
日本人は外国人と比べるとあごが小さい傾向にあります。その場合、空間がないので歯が並ばす二重歯列やデコボコ歯になりやすいです。
◆あごに対して歯が大きい
あごの大きさが普通の人と変わらなくても、歯の形が大きいと並ぶ空間が足りないため二重歯列やデコボコ歯になりやすいです。
◆乳歯から永久歯への生えかわりがうまくいかない
1-1でも記述しましたが、乳歯が抜けないで永久歯といっしょに並んでしまうことで二重歯列になることもあります。普通であれば、永久歯ができてくると乳歯の根っこが吸収されるため抜けるのですが、それがうまくされないのが原因です。
◆虫歯で乳歯が早く抜けてしまう
虫歯などが原因で乳歯が予定より早く抜けてしまうことで歯並びが悪くなることがあります。永久歯が生えてくるまでの間にその周辺の歯が倒れてきてスペースがなくなってしまい二重歯列になるのです。
◆指しゃぶりや爪噛み
指しゃぶりをすることで指が歯にあたり、歯並びのバランスが崩れて二重歯列になってしまうことがあります。また、爪を噛むことや唇を噛むことも歯並びが悪くなる原因です。
二重歯列は最近の子どもに増えている?
最近の子どもはあごの骨が小さくなってきています。それに対して、歯の大きさはあごに対して大きくなってきているのです。そのため小さなあごの中にきちんと歯が並ばずに、並列する「二重歯列」が増えています。
もちろん子どもだけでなく、成人した大人でも二重歯列で悩んでいる人はいます。大人になってからでも治療は可能ですので歯医者さんに相談してみましょう。
二重歯列がもたらす4つのリスク
見た目のコンプレックス
前歯が二重歯列の場合、見た目を気にする人が多いです。それは奥のほうに生えている歯列部分が、かげのように見えいわゆる「歯抜け」のように見えるからです。
また、口をあけて上を向いたりすると歯や口のなかが丸見えになり、二重歯列が目立つこともありますよね。小さいころであれば気にする人も少ないですが、大人になるにつれてそれが気になってくる、またはコンプレックスに感じる人もいます。
清掃性の悪さ
二重歯列により歯が完全に重なってしまうと歯の間が非常にみがきづらいです。とても清掃性が悪く、虫歯や歯周病のリスクが高まります。その状態のまま、自分でしっかり汚れを落とすのは至難のワザといえるでしょう。
もし、虫歯や歯周病になったあとも進行しやすいため注意しなければいけません。たかが二重歯列…と放っておくとその周辺の歯を失うこともあるのです。
噛みあわせの悪さ
二重歯列も不正咬合のひとつです。そのため、上下の噛みあわせがよくないケースが多いです。なかには歯がねじれていたり傾いていたりするので早めに治療するべきでしょう。
顎関節症の危険性
二重歯列の場合、顎関節症になってしまう危険性が高まります。それは下あごが動くのが制限されてしまうからです。たとえば、下の前歯が二重歯列にはさまり可動域が制限されたり、上下のあごがズレたりすることがあります。顎関節症になることで頭痛や肩こりを引き起こす可能性もあるんですよ。
矯正それとも抜歯?
矯正はできるの?
二重歯列は、基本的に矯正治療をしながら歯並びを改善していきます。矯正治療の前に歯医者さんで確認されるのが以下のポイントです。
◆あごのなかに歯が並べられるか
◆歯を並べたときに口元が出てしまわないか
◆治療後に下あごと上あごがしっかり噛みあうか
抜歯が必要なこともある
患者さんによっては、二重歯列を治療するために抜歯が必要な場合もあります。たとえば、以下のようなケースは抜歯の可能性が高いです。
◆あごの大きさと歯の大きさのバランスが悪い
◆歯を並べられる十分なスペースがない
◆歯を並べると口元が出てしまう(もしくは元々口元が出ている)
◆歯を並べると上下の噛みあわせがうまくいかない
あごが小さい、歯が大きいなど「あごと歯のバランスが悪い」ときにはスペースをつくるために抜歯することもあります。ただ、抜歯をする歯はどの歯でもよいわけではなく、虫歯や状態の悪い歯などが優先的に抜かれます。
二重歯列を治す矯正の種類
ブラケット矯正
ブラケット矯正とは一般的な矯正治療で、歯それぞれにブラケットとよばれる装置をつけることで歯を移動させます。効果が高く、前歯だけでなく奥歯の歯並びもキレイに改善できます。
ただ、金属のワイヤーがどうしても目立つため見た目的に気になり治療に踏み出せない人もいます。そのような人には白や透明な素材の審美ブラケットを用いることで、多少見た目が改善されます。
部分矯正
一部を矯正するのに用いられるのが部分矯正です。上の前歯だけ、サイドだけ…など、歯全体でなく一部のみ動かせばよいケースにおすすめできます。基本的にはワイヤーブラケットが使われますが、上で記述したような白や透明な素材の審美ブラケットもあるのでそれらを用いることで見た目が改善されるでしょう。
舌側矯正
舌側矯正は歯の裏側にワイヤーブラケットを装着して歯を動かしていく矯正治療です。慣れるまで舌にあたるので違和感や痛みが生じることもあります。それでも、表側から矯正装置が見えないため人気の矯正です。
マウスピース矯正
透明なマウスピースをはめて歯を動かしていく矯正治療です。自分の歯型にあわせた透明なマウスピースなので見た目的にほとんど気にならないのがメリットといえます。ただし、二重歯列の場合、最初からマウスピース矯正ができるケースはまれでしょう。
その場合、最初はワイヤーブラケットなどで歯を少しずつ移動させ、途中からマウスピースに変更するといった治療もあるため歯医者さんに相談してみてくださいね。
まとめ
歯が重なって生えていることをコンプレックスに思っていたけれど、実際どのように治療すればよいかわからなかった人もいるのではないでしょうか。
二重歯列は多くの場合、矯正治療でキレイに治すことができます。
患者さんによっては抜歯をすることなく歯をキレイに並べることもできます。二重歯列は見た目だけの問題だと思わず、虫歯などのリスクも考えて一生使える歯を残す選択をしましょうね。
治療をする際には矯正治療をたくさん行っている歯医者さんを選ぶことが大切です。「安いから」「医院が近いから」といった理由で安易にクリニックを決めるとあとでトラブルになることもあるので気をつけてください。
症例写真のなかに二重歯列のケースがあるクリニックを選択するのもおすすめです。時間が少しかかっても信頼できるクリニックをじっくり選びましょう。
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