はつおい歯科室

私は「目の前のことに集中しつつ、その後どうなるのかを考える」ことを診療のモットーとしています。我々が考える治療で良い結果が出ると思っていても、患者さまが納得していなかったり、求めていることとは違ったりすることがあります。それだと、患者さまにとっては迷惑だったという結果になってしまうのですよね。そうなると、患者さまが歯科医療へ不信感を持つことにつながり、歯科医院から足が遠のく可能性があります。

その点を考慮して、「医学的に良い治療はこれ」だとはきちんとお伝えしつつ、その方が求めている治療とのすり合わせを行って、バランスを取ることを心がけています。患者さまとコミュニケーションを取りながら進めていくことが大切だというのが、私の考えです。

「どうしても伝わらないことがある」という前提を持つことですね。私が伝えたつもりでも、患者さまには伝わっていないことは往々にしてあります。

例えば、言葉で伝わる方がいれば、絵や文章を使ったほうが説明が頭に入ってきやすい方もいらっしゃいますよね。一人ひとりで伝わりやすい方法は異なりますので、その方にとってどのような伝え方が理解しやすいのかを考え、ご納得いただける説明ができるように努めています。

お子さまに、歯科医師も歯科衛生士もただの人であることを理解してもらい、友達のつもりで来院してもらえるようにしたいと思っています。

以前勤めていた歯科医院でも、そういった関係性を結ぶことを大切にしていました。そのお子さまたちには、医療施設に来たというよりも、私に会いに来たと思ってもらえていたように感じていました。

最初は怖がっているお子さまにも、「治療はできなくても、頑張って来られれば良いんだよ」と伝えてあげると、いつの間にかできるようになっていることもあります。歯科医院が苦手なお子さまも、まずはご来院いただける歯科医院にしたいですね。

患者さまの緊張感をぬぐえるように、院内の照明には特にこだわりました。実際に診療チェアに座って明るさや色合いを確認しながら、設計士に何度もライトを替えてもらっていました。お口の中を見るのである程度の明るさは必要ですが、まぶしすぎると緊張感につながるので、ちょうどいいバランスを追求したつもりです。

あとは、個室に比べると半個室の診療スペースは少し狭いので、壁の一部分にガラスを入れました。天井にも広がりを持たせているので、圧迫感も多少軽減できたと思います。個室は他のスペースとは違う壁紙を選んで、落ち着いた雰囲気を目指しています。

歯科医院はできる限り来たくない場所だと思います。そんな中でせっかく来てくださったのですから、患者さまには少しでもリラックスしていただきたいと考えて、デザインを考えました。

もともとは私の母が歯科医院を営んでいて、他界したことをきっかけに、当院をリニューアルオープンするというかたちで継承しています。

最初は後を継ぐ気がなかったのですが、ご近所の方に何度も続けてほしいと言われて、それが嬉しくて引き継ぐことにしました。

ここの出身ではないのですが、祖父母が住んでいた場所であり子どもの時からずっと来てはいたので、いろいろな意味で縁があったのかもしれませんね。

家で料理をすることです。最近は豚バラブロックでのチャーシュー作りにはまっていますが、カレーもけっこう作りますよ。カレーはスパイスからはもちろん、インドカレーやタイカレーを作ることもあります。

やはり、スタッフが笑顔かどうかがポイントではないでしょうか。ブラックな歯科医院に勤めたことがありますが、その時は皆暗い顔をして働いていて、「これが医療なのか」とすごく疑問に思いましたね。

スタッフがイキイキと働いている所は、歯科医院に限らず通いたいと思うのではないでしょうか。私なら、例えば飲食店であればそういう所で食事をしたいし、通いたいと、個人的には思います。

リニューアルオープンするにあたっていろいろな機材を導入しましたが、新しい機器はまだまだ物足りなく感じていますので、診療設備の拡充を考えています。例えば、レーザー光で歯型を採る光学印象スキャナーや、歯科用の顕微鏡であるマイクロスコープなどの導入ですね。

またペーパーレスのためタブレット端末による説明に力を入れているので、その説明用データを患者さまのスマートフォンに送れるようにしたいと思っています。紙やインクの削減はもちろん、手元で拡大しながら資料が見られるので、患者さまにとっても役立つ取り組みではないでしょうか。

診療面においては、患者さまの予防意識を育てていきたいですね。予防志向が進んでいる国に比べると、日本はまだ治療目的での通院が多い印象です。予防のために歯科医院に通っていただくことで、虫歯や歯周病を減らしていきたいと思います。