今井歯科クリニック

私は虫歯予防を勉強してきたのですが、その中で「実は虫歯予防は私が思っていたよりも容易にできる」ということに気が付きました。予防の基本は、ホームケアと歯医者でのケアを併用することです。例えば、甘いものを食べた後にはホームケアをして、定期的に歯医者でのケアを受けることで、虫歯を防ぐことができます。

お口のケアと同時に、歯医者のサポートのもとで顎の成長を促すことも大切です。最近のお子さまは、顎が育ち切っていないまま永久歯が生えてくることで、歯並びが悪くなるケースが増えています。歯並びが整うと歯が磨きやすくなり、虫歯の予防にもつながりますので、お子さまの口腔育成を行うことは歯医者にとって重要な役割の一つであると考えています。

初診時に痛みを訴えられる患者さまに対しては、まずその痛みを緩和させることが重要です。その際、後に続く治療期間中に、痛みがぶり返すことがないよう応急処置を心がけています。治療が終わった大人の患者さまに対しては、症状を再発させないようにメインテナンスをしていっています。

お子さまの場合は、最初から予防目的でいらっしゃるケースがほとんどです。その中で虫歯になった場合には、症状が進行しないように維持することを希望される親御さまが多いため、それに寄り添った形で私たちがケアしていくスタイルを採っています。

小児治療の際には、「もしこの子が自分の子どもだったら、どうしたいのか」ということを考えて、親御さまに説明しています。大人の方の場合には、「もし自分がこの状況だったらどうするのか」というように、自分の身に置き換えてお話しすることを重視しています。

予防で通ってくれていた、高校2年生の女の子のお母さまから伺ったお話が、大変印象に残っています。

お母さまのお話によると、ある日女の子が学校で検診を受けたところ、虫歯・歯並びともに問題がないと言われたそうです。それで女の子は嬉しくなり、将来結婚して子どもができたら、お母さまがそうしてくれたように自分も子どもを当院に連れて行きたいと話していたとのことでした。

私自身この話を聞いて、歯科医師冥利に尽きると心から感動しました。女の子も大人になったので、そろそろお子さまを連れてきてくれるのではないかと、楽しみにしています。

1987年に開院した当初、この地域のお子さまにはまだ虫歯が多く見られました。しかし、当院が「秩父っ子虫歯ゼロ」を掲げて診療してきたことも関係してか、現在ではほとんどの方が虫歯予防のために通ってくださっています。努力が実った今は、ここで開院して良かったなという気持ちでいっぱいですね。

虫歯ゼロのための具体的な取り組みとしては、小学校や産婦人科への啓発活動が挙げられます。検診以外にも年に2回ほどスタッフ全員を引き連れて行き、虫歯予防の劇などをしています。ちなみに私は、虫歯菌の役をしましたよ。

産婦人科では、お母さまの歯の健康はもちろん、お子さまのお口の中も責任を持って管理する必要があることをお話ししています。親子一緒に健康なお口でいられるように、月に1回ケア方法をアドバイスすることを、地域への医療貢献としています。

歯医者を選ぶ際には、ご友人や知り合いの方の口コミを聞くのが良いと思います。「どの歯医者の、どういった点が良かったのか」を聞いて、自分が必要としている治療をしてくれそうか判断することをおすすめします。また、歯医者とは長いお付き合いになりますので、ずっと通い続けられる信頼関係を築けそうな所が良いでしょう。

昨今はソフトフードや甘い食べ物が氾濫しているので、「お子さまがすぐにお腹いっぱいになる」、「顎が成長しない」、「虫歯になりやすい」などの問題があります。しかし、お子さまが幼いころから予防や口腔育成に取り組んでおけば、成長した時には歯並びが整っていて、何でも食べられる状態になっていることが期待できるのです。親御さまにもそういった点を考えて、歯医者へのかかり方を考えていただければと思います。

そういった歯医者の利用者を増やすために私たちができるのは、なるべく親御さまに負担をかけないようにすることです。ご来院いただきやすい環境作りや行動に努めるのも、歯科医療者として重要な役割だと考えています。

私は剣道7段を所持しているので、合格率の低い剣道8段を目指して、休日や仕事終わりに自主練習を行っています。毎年、京都大会や東京都剣道祭など、日本でもメインの試合に一般参加しておりますよ。