当院の予防歯科では、ブラッシング指導に重きを置いています。顎の痛みなどの骨格や筋肉的なものに起因する症状に関してはまた別の話になってしまいますが、予防歯科においてはブラッシング、つまり日々行う歯磨きを、その方にあった形で徹底的に実践、指導を行うことで口腔内のトラブルの発生を抑え、虫歯などを改善した後にその状態を長く保っていただくようにしています。
私は患者さまに一回きりで完璧なブラッシングを身に着けてもらおうとは考えていません。もちろん、ご希望があれば別ですが、基本的には段階を踏んでお教えしています。まずは歯ブラシでのブラッシング、次は糸式ようじでのケア、また、歯ブラシができていなかったらまた戻って指導といったように、ご自宅で口腔ケアを患者さまお一人で実践される際、医院にて行うブラッシングと遜色ないクオリティーで実践できるように根気よくお付き合いします。
ブラッシングは、お口の中の汚れを取ることを目的に行います。そうすることによって、お口の中のばい菌のコントロールをすることができるのです。特に大切なことがこれで、お口の中に悪さをするばい菌がたくさんいなければ、虫歯にも歯周病にもならなくて済みます。歯を一本治療するよりも、同じ金額で歯ブラシを一年分買った方がいい、というのが私の考えです。
患者さまにお教えしても続かなければ意味がないので、磨きにくい、見落としやすいところがあれば、磨きにくい理由やどうすれば磨けるのかをご説明したり、赤い染め出しの薬剤を用いてブラッシング作用を可視化したりすることで、モチベーションを高めるお手伝いもしています。また、並行して虫歯や歯周病などの治療を行いますので、治療が終わるころには見違えるような変化を実感していただけます。また、身に着けた技術は一生ものなので、続けていただくことで虫歯になりにくい口内環境を維持していただくことができます。
某所に、お子さまがさまざまな職業を働く側に回って学ぶことを目的とした体験型のアミューズメント施設があります。当院では、ゆくゆくはそういった取り組みを歯科医院でも行っていきたいと考えています。
また、地域の方々に向けたセミナーや体験学習を行うことで、治療だけではなくて、その前の段階で予防する方法を学んでいただきたいと考えています。ブラッシングをしっかりしていれば治療が必要な状態にはなりませんし、また治療をした後の歯もブラッシングを丁寧に行うことで良い口内状態を長く保ってくれるのです。
私は、患者さまをハッピーな気持ちになっていただきたい一心で、予防歯科に取り組んでいます。正しい知識と正しい方法で丁寧な口腔ケアを実践していけば、治療が必要になる回数が減ります。病気にならないことはいいことです。そのお手伝いをすることで、患者さまのお役に立つことができればと思っています。