エス歯科クリニック（上大岡）

僕はごく普通の会社員の家庭に育ったのですが、歯科医師を目指したのは高校生の時でしたね。急に歯が痛んで、休日診療をしていた歯医者に駆け込んだ時に、そこの先生に診てもらったら、すぐに痛みが治まったのです。「何てかっこいいんだろう」と思いました。それから歯科医師を目指すようになって、大学は歯学部に進みました。

卒業後は10年以上、いろいろな現場で働いて、いろいろな経験を積んできました。歯科医師が一人前になるには、最低でも10年以上は必要だと僕は思っていたからです。ですから開院したのは、歯科医師になって14年目です。上大岡の地を選んだのは、アクセスの良い場所でより良い治療を求める人たちにたくさん来てほしい、と思ったからです。

治療技術があることはもちろんのこと、設備をきちんと整えることも「良い治療」には必要な部分だと思ったからです。基本的に、患者さまにとってメリットになるものはどんどん取り入れていくというスタイルですね。ですから、リニューアルでマイクロスコープの数を増やしましたし、オペ専用のクリーンルームも作りました。歯科医院では、オペ室という形で作っていても他の治療にも兼用する例が多いですが、うちの場合は無菌のクリーンルームにしています。

僕は、「いいものがあるのに使わない」とか、「新しい技術があるのに習得しない」というのは、歯科医師としての義務を果たしていないことだと考えています。20年前と同じ治療を続けていたとしても、それは全力を尽くしているとは言えないと思うのです。例えば診断をする場面であれば、歯科用CTや顕微鏡を使えば診断を細やかに行えるわけです。患者さまが治療を受ける際も、きれいな個室のほうがいいと思ったので、うちは診察室を全部個室にしました。

僕は、学ぶことをやめたら歯科医師として終わりだと思っているので、学ぶ姿勢は大事にしていますね。国内外からの情報や刺激をどんどん受けながら、それを患者さまにどうフィードバックしていくか、というのが僕のスタイルです。

――　すごいエネルギーですね。

いえ、自分の中では普通ですよ。患者さまに喜んでもらうためには、勉強することは大切だと思っていますので。

そうですね。「S」が頭文字に付く言葉は結構あると思うのですが、医療で大事なことは何か、と考えた時、「Smile」「Satisfaction」「Safety」という3つの言葉を選びました。

――　その他に「Sustainability」という言葉も提案されていますね。あまり聞き慣れない言葉ですが、どのような意味が込められているのでしょうか。

これは「継続可能」という意味の言葉で、環境の分野で特にキーワードになっている言葉です。人間は年をとるにつれて目や耳や足が衰えるように、歯も衰えてゆきます。それをメンテナンスしながら少しでも長く使って、自分の歯で噛んで過ごせるようにしよう、という意味合いを込めています。

同じように、「人と人との関係」というのも継続性が大切なものだと思っています。人が嫌になったら、歯医者にも行きませんよね。だから、長く通っていただけるように笑顔や人間関係を大切にして、「ずっと面倒を見ますよ」という姿勢でやっています。

やっぱり、喜んでもらえた時ですね。よくあるのは、ほかの医院では抜歯って言われたけれどあきらめきれなくてうちに来た、という方が顕微鏡を使った根管治療をして、抜歯をせずに改善して、「抜かなくて済んだ！」と喜んでくださるケースです。

あとは、他院でインプラントをやろうと思ったけれど、「骨がない」という理由で断られた方がうちに来て骨を増やす処置をしたことで、インプラントが入れられてしっかり噛めるようになった、とか、そういった声は多いです。やっぱり、噛めない人が噛めるようになれば元気になりますから、そういう姿を見られるのは楽しいですね。

僕自身もスタッフも、「仕事が楽しい」「楽しく働ける」ということは大事にしたいと思っていますし、もちろん患者さまもハッピーにしたいと思っています。今、それがうまく噛み合っている状態だと感じているので、今後もそのサイクルを維持していきたいですね。

いい仕事をして、いい評価をされて、感謝をされる、その輪がだんだん大きくなっていくことが「成長」です。結果的に病院の数が増えたり、規模が大きくなったり、そういう変化もしていきたいと思っています。関わる人の数が増えれば、それだけハッピーにできる患者さまの数が増えるということですからね。