診療のモットーを教えてください。
謙虚な姿勢を大切に診療するということです。どちらかが上の立場になるわけではなく、医療を行う側と受ける側が、対等な関係でありたいと思っています。診療で何より大切なことは信頼関係であり、そのためにお互いが同じ目線で向き合って治療をすすめることが大事だと考えています。
残念ながら私たち歯科医師は魔法使いではありません。ですので、虫歯にならない無敵の歯にすることはできませんが、その方のご要望に添ったオーダーメイドの治療法をご提案することはできます。
そのためには、まずは患者さまのご要望をしっかりお伺いし、思い描く結果に近づけるような治療法をご提案します。歯科医院に足を運びやすいよう、通院しやすい治療を目標に計画させていただきますので、ぜひご相談ください。
通院していただくなかで、患者さまの生活の一部と感じていただくことができたら嬉しいです。まだまだ赤子のような歯科医院ですが、私どもも一緒に成長させていただく思いでWIN-WINの関係になれるように努力します。
説明・カウンセリングで重要視していることはなんですか?
歯科医師に難しい専門用語で説明されても、理解できるわけがありません。そのような説明は患者さまのためにもならず、ただ時間の無駄としか言いようがありません。当院ではあまり専門的な言葉は使わず、理解していただけることを第一に説明しています。
言葉だけの説明ではなく、治療経過の様子を写真に撮ることで視覚的にもイメージしやすい説明を心がけています。治療前の写真では現在の口内の状況を把握していただき、治療後の写真では治療の結果を感じていただきます。少しずつきれいになっていく口内を見ることが治療へのモチベーションにもつながるので、この工程は大切にしています。
そのほかにも、レントゲンやCTの画像を使って詳しく説明しています。
歯医者嫌いのお子さまのために行っている工夫は何かありますか?
緊急性がある場合は別の対応になりますが、一般的な治療であれば、スタッフや歯科医院の空間にゆっくり慣れていただくようにしています。
まずは、歯科衛生士と仲良くなることからスタートします。そうすると、その後の歯磨きや治療にもスムーズにうつることができるお子さまが多いです。お子さまのペースに合わせてスローペースの治療になることが多いのですが、そこは踏むべき工程であり、そこを大切にすることでこの先も歯科医院にスムーズに通えるようになります。
決して無理やり押さえつけて治療をすることはありませんので、歯科医院が苦手だというお子さまにお悩みの親御さまも心配せずにご来院ください。
保護者の方に向けてお話しするようなことはありますか?
親御さまには歯科に関する知識をつけていただくことで、お子さまを虫歯のリスクから守ることができるということをお話しさせていただいています。何も難しいことではなく、ブラッシングの際にフロスも併用することや、正しい仕上げ磨きの方法などです。 親御さまにしても、ご自身が正しい知識を教えられて育っていないからであり、日本の歯科知識習得のあり方に悲しくなることもあります。
だからこそ、私がお伝えできることを正しく伝え、親御さまのご協力を得てお子さまを虫歯のリスクから守れるようにしています。
お年寄りへの配慮は何かありますか?
ご高齢の患者さまで特に配慮すべき問題は、全身疾患の有無になります。既往歴や服用中のお薬がないかを確認してから治療に進むということです。
また、ご高齢の方は我慢強く、痛みが出てから来院する方が多いのが特徴です。できるだけ多くの歯を残し、長く楽しい人生を過ごしていただきたいので、メンテナンスをするということに関しても少しずつ意識付けていけるようにお話ししています。虫歯にしても歯周病にしても、早期発見して早期治療すれば患者さまの時間的、身体的負担を軽減することができます。
また、バリアフリー設計の医院ですので、車いすの方はもちろん、ご高齢の患者さまにもお越しいただきやすい環境なのではないかと思います。
今後力を入れていきたいと考えている治療があれば理由とともに教えてください。
歯周病治療に力を入れていきたいと考えています。そして、メンテナンスにも同時に力を入れたいです。成人の大半が罹患すると言われている歯周病は、自覚症状を感じにくい病気でもあります。だからこそ、メンテナンスを定期的にすることを強くおすすめしています。目指すべきところは、まずご自身でしっかりセルフケアできる口にすることで、基本を大事にすることでその先に美しさや機能性を求めることができます。
また、しっかり噛めないとお悩みの方が多い義歯に関しても、高齢化社会にともない今以上にニーズが高まってくると考えています。引き続き力を入れていきたい分野の一つです。
先代の歯科医院からどんなところを見習い、どんなところは革新していきたいと考えておりますか?
父の時代はまだ歯科医院も少なく、日々たくさんの患者さまの治療に追われていたと聞きます。この地域の歯科診療に貢献してきた父の患者さまへの姿勢は見習うべきところだと思います。
私は、父が忙しくて手が回らなかったであろう分野の予防やメンテナンス、患者さまの歯科知識を高めるための努力をプラスしていきたいと考えています。
当院を歯科情報の発信の場にして、ここに来れば治療だけではなく口の健康に役立つような情報が手に入る場所にしたいです。
スタッフの自慢できる点を教えてください。
割と柔らかな雰囲気をもったスタッフが多いです。
その雰囲気からか、丁寧に患者さまと向き合い、私には話しにくいという患者さまのご要望を聞き出してくれることもあるので助かっています。
スタッフ教育で力を入れているところはありますか?
私がスタッフに臨むことは、技術ではなく、患者さまのやる気を引き出すことです。実は日々患者さまが行うセルフケアはとても重要な治療であり、毎日こつこつ続けることが大切です。
しかし、患者さまがそこにモチベーションを見い出すことはなかなか難しく、虫歯を繰り返すという悪循環になってしまいます。スタッフには、患者さまがモチベーションをもち続けられるようサポートに徹してもらいたいと伝えています。スタッフも私の考えを理解してくれていて、各々のスタイルで患者さまにアプローチしてくれています。
地域の医療貢献のために取り組んでいることがあれば教えてください。
地域の皆さまの歯の健康をお守りできるのは歯科医師だけですので、歯科治療や予防、メンテナンスの大事さをお伝えし続けていくことだと思います。
私の夢は、この地域の皆さまが歯への意識が高いと評価されるようになることです。このコミュニティのなかで、私にできることを粛々と続けていくことで、この地域や皆さまを大切にしたいと思っています。