顎関節症の原因を追求します。
近年多い疾患は、顎関節症です。この疾患は、あごが痛い、口を開けると音が鳴る、口が開けづらいといった症状があります。顎関節症の治療方法としては、日常の生活指導がメインとなります。例えば、頬杖をつかないようにするなどです。歯ぎしりの激しい患者様には、ナイトガードというマウスピースを使った治療も行います。もちろん投薬も行います。顎関節症の初期症状である炎症を抑えるための薬を処方することもあります。重要なのは、なぜ顎関節症になったのか、疾患の原因を追求することです。そのために、患者様との対話を重ねます。スポーツを久しぶりにしたり、ジェットコースターに乗ったり、食いしばったことが原因で顎関節症になることもあります。
舌癌や歯茎の癌を心配された患者様も来られるので、悪性腫瘍の鑑別診断も行います。こういった疾患を見落とさないことが、歯科医師の重要な仕事だと思います。また、骨に埋まっているなど、ちょっとした手術が必要な親知らずの抜歯も行います。さらに、歯根端切除術も実施することができます。これは、差し歯を抜くことなく、歯茎のほうから骨を削り、歯根の先の炎症を治療する方法です。そのほか、重度の歯周病の方を対象に、歯茎を切開し、直接、その下にある歯石を除去することもあります。
高齢者の方の抜歯は、慎重に行います。お口の中だけでなく、服用する薬にも関係するからです。ご高齢の方の中には、骨粗鬆症性の薬を服用されている方が多くいます。これを飲むと骨が硬くなり、歯を抜いた傷が戻らなくなります。骨は皮質骨と海綿骨の2つで構成されています。皮質骨は外側の固い部分で、中の海綿骨はスポンジ状になっています。この海綿骨が薬を飲むことで徐々に少なくなっていきます。ほとんど皮質骨になると、歯を抜いても出血しなくなります。血が通っていないので、骨が露出したままになり、そこが細菌に感染し、腐ってしまいます。骨粗鬆症性のお薬を飲んでいる方は、基本的に抜歯を行わないようにしています。