西郷歯科医院

やっぱり特に大事なのは、家の土台と同じで根っこの治療だと思います。深い虫歯になった場合ですね。根管治療では、実は唾液への対処が大変です。歯の根の治療をする時には歯の奥まで穴をあけていますから、唾液が入らないようにしないといけないし、乾燥させなければいけません。

当院では唾液対処のために、歯科用吸引管というゴムでできた枠を使っています。これで歯の周りを囲めば、唾液が入ってこないのです。唾液が入ってこないということは、細菌感染のリスクを軽減できます。根管治療のために必須の器具ではありませんが、少しでも良い治療ができるように取り入れていますね。

義歯の患者さまで、足が悪いから誰かに連れて行ってくれるようにお願いしないといけなかったんですけど、なかなか人に頼むことができずに、最初来た時はかなりひどい状態でした。とても義歯が使えるような状態ではなかったですよ。でも新しく義歯を作り直して、当院は2階にありますが、頑張って通っていただきました。治療を終えてしっかり噛めるようになって、それが良かったなって思ったのを覚えています。その患者さまがきっかけで、階段には足の悪い人でもご来院いただけるように昇降機がつきました。

他の患者さまでも、やはり義歯、入れ歯での思い出が多いです。それまで治療がうまくいかなかった患者さまが、「何とかしてくれないか」といらっしゃることがよくあります。その時何とかしようと私、燃えるんですよ。どうにもできない場合もありますけど、うまくいくケースももちろんあります。「先生じゃなきゃ」と言ってくれた時は嬉しくなりますね。

入れ歯や義歯はご年配の患者さまが多いですが、噛める入れ歯ができてご飯が食べられるようになったっていうのを、ご家族が「先生のおかげで助かった」と伝えに来てくれたことがありました。前の入れ歯の時は、ご飯を作るのにも本当に気を使ってたらしいんですよ。「ちょっとでも食べられないものがあると機嫌が悪くなって、ずっとご飯を準備するのがストレスだったけど、何でも食べられるようになったから、全然気を使わなくなった」というお話を聞いた時は、本当に良かったなって思いましたね。入れ歯の治療ではそんな患者さまのお声をいただくことが多くて、私自身も喜ばせてもらっています。

自分の考えを押しつけない歯医者ですかね。ある程度歯科医師が引っ張って行かないといけないとは思いますが、結果を断言する人は、私はあまり好きではないです。治療の方向性は、話し合いの中で見つけていけばいいと思っています。

ただ、ご年配の方に多いのですが、「分からないから、先生の思うようにしてくれ」という方がいらっしゃいます。そんな時はこちらからできる限り情報はお渡ししますけど、やはり治療方針を最終的に決定するのは、私ではなく患者さまなのです。

治療でも、予測は立ちますからそのお話はしますけど、神さまではないので、確約はできません。その部分も含めて、患者さまに納得して決めてもらうことが重要です。ですから、よく話を聞いてくれる歯医者さんがいいと思います。

僕は、小学校の頃は宇宙飛行士になりたいって言ってたんです。北九州に「スペースワールド」という遊園地があって近かったんです。あれができた頃は小学校5、6年生で、当然のように「自分は宇宙飛行士になって宇宙に行ける」と思ってたんですよね。もしいろいろな条件が満たせていたら、もしかしたら本当に宇宙飛行士になっていたかもしれませんね。

今はご年配の患者さまを診ることが多いですが、地域密着の歯科医院として、生まれたばかりのお子さまからご年配の方まで、幅広くサポートできるようになりたいですね。だから何かの治療に特化するとかではなくて、どの治療も平均点より上になるように目指しています。何かの治療がすごくても他の治療で平均点以下のものがあると、地域密着の歯科医院としては意味がないかなと思っています。

それと、私は以前北九州でも治療をしていましたが、ここ大分で開院して思うのが、お子さまに虫歯が多いように感じます。虫歯の本数だけでなく、かなり重度な虫歯が多いのです。お子さまの虫歯を減らすには親御さまの協力が必要不可欠ですので、親御さまにできる限り情報を伝えて、一緒にこの町の子どもたちの虫歯を減らしていきたいですね。