Q.元々歯科大学にはご入学されていらっしゃらなかったですよね。そこでなぜ歯科医師を目指すことになったのか、きっかけを教えて下さい。
父がこの王寺で歯科医院をやっていました。ホントのことを言うと、父親の姿をいつも見ていて、つまらなそうだし大変そうなので「歯科医師にはならんとこ」と思っていたんです。そんなこともあって、地元の上牧第二小学校を卒業して中学からは奈良学園へ入り、大学は歯学部を受験せず、1浪して東京理科大学基礎工学部生物工学科に入学しました。それまではまあ順調だったのですが、大学4年の時にちょっとした転機が来ました。卒業研究や人間関係で悩んだりして、就職を控えて本当にこれで良いのか、自分なりに考え直したのです。「もっと楽しい人生を送るために楽しい仕事をしたい!」と思い浮かんだのが、父のやっていた歯科医院でした。元々、何でも自分で決めて自分でやりたいという思いが強く、父の歯科医院なら「自分の好きなようにできる」と思ったんですね。そこから、歯学部への編入試験を受けて運よく合格でき、東京医科歯科大学歯学部に通うことになったのです。こうして、実際に自分が歯科医師になってみると…やはり想像していた以上に大変ですね。でも、あのままサラリーマンになっているよりは、今の方がずっと楽しい。歯科医師は、とてもやりがいのある仕事だと思っています。
Q.特に印象的だった患者様のエピソードを教えて下さい。
こちらで開院する前から東大阪の歯科医院に勤務していまして、今でもそちらの患者様の中に、僕じゃなきゃダメとおっしゃってくださる方がいます。今は自分のクリニックが忙しくて東大阪には週に1回だけ行くことになってしまい、患者様は予約が取りづらくなったみたいで。わざわざ東大阪からこちらまで来てくださる患者様もいるんですよ。本当にありがたいですね。以前、ある患者様の前歯の治療をしていて、目立つところだし「これはめっちゃキレイに詰めたろ」と思ってがんばって治療した後、患者様に鏡を見せたら、「先生、天才!」とおほめの言葉をいただきまして。とても嬉しかったのを覚えています。この仕事をしていて良かったと思うのは、日々新しい技術や知識を学んでそれを治療に取り入れ、患者様に喜んでいただけたときです。自分なりに診断をつけて治療方針を決め、患者様の希望も聞いて治療を進めていくんですが、自分でも「これで大丈夫なんかな…」と時々不安になることがあります。そんなときに患者様から「めっちゃようなりました!」と言ってもらえると「よっしゃ〜」と嬉しくなります。
Q.なぜ、この『王寺』という地で開院を決めたのでしょうか。
王寺で開院することにしたのは、やはり父親がこの近くで長く歯科医院をやっていたからです。父は僕が生まれる前の1977年に吉田歯科医院を開院し、それ以来この地域の歯科医療に貢献してきました。僕が歯科医師として独立することになって、父と同じ場所で開院することも考えたのですが、建物の老朽化などの諸事情でこちらのビルに移ることにしました。駅に近いこのビルで開院するからにはと、心機一転。カフェのようなデザインの内装にこだわってすべて新しく変えました。実は、僕の実家はこの近くなので、王寺という場所にはちょっと思い入れがあるんです。僕が小学校に上がる前くらいに、家族でここへ買い物に来たことがありました。このビルにはスーパーマーケットがあったのですが、まさにこの場所で僕だけ迷子になってしまったんです。結局、家までバスで10分くらいかかる距離を、僕1人で歩いて帰ったんですよ。そんな迷子の苦い思い出があるビルで、今はこうして仕事をさせてもらっている。これも何かのご縁でしょうね。
Q.ドライブによく行かれるとのことでしたが、ドライブの魅力を教えて下さい。
趣味は野球観戦と車なのですが、車と言ってもそれほど飛ばすわけでもないし…走り屋などではありません。以前は、車で高速道路をひたすら走って北海道まで行ったこともあるんですよ。普通に旅行するのも好きなのですが、B型なので電車や飛行機の決められた時間に合わせて移動するよりも、自由に行動したい。その点、車はすべて自分の思い通りにできるのが魅力ですね。僕は単純に車を運転している時間が好きで、音楽を聴きながら過ごしていると、運転が苦にならないタイプです。学生時代に友人と数人で遠出したときも、気が付くと僕だけがずっと運転していて、ほかのみんなは後部座席や助手席で熟睡していたことがありました。後で友人からは「おまえばっかり運転させてごめんな」と言われたのですが、僕としては「別にいいよ」という感じで気になりません。とはいえ、奈良から北海道まで車で旅行することは、大変なのであまりおすすめしません(笑) 今は子供が生まれたので休日に1人で出かけることは少なくなりましたが、新しい技術や治療法の講習会にはなるべく参加することにしています。最近では、エルビウムレーザーの講習会が興味深かったです。