Q. 医院のコンセプトを教えてください。
コンセプトは、当院が関わった患者さまの歯を残すということです。これが当院の目標であり、これを達成するためには、私たちだけでなく、患者さまご本人に自分の歯を残していくんだという意識を持っていただくことが重要なんです。
かつての歯科医院は、痛みなどの症状が出たときだけ通い、治療が終われば通わなくなるというのが一般的だったと思います。しかし、日々のケアや定期的なメンテナンスを怠ってしまうと、結局また何かしら問題が発生してしまうんですよね。
当院ではカウンセリングを実施しており、患者さまが自分の歯とどのように付き合っていけばよいのかが分かるようにご説明しています。このカウンセリングによって、ご自身のお口の状況を理解できるようになると、治療にも前向きに取り組めるようになり、将来の歯を残していくことにつながっていくのです。
Q. 矯正の先生もいらっしゃるとのことですが、矯正治療は先生のコンセプトにどう影響するのでしょうか。
私たちは、天然の歯が綺麗に並んだ状態を美しい状態であると考えています。そして、そのような状態を維持していきたいんですね。 歯並びが悪いと、どうしてもブラッシングが難しいため、虫歯になりやすくなってしまいます。ですから、子供のうちに矯正を行うことでお手入れをしやすくし、口の中の健康を保ちたいと思っているのです。 つまり矯正治療は、見た目をよくすることを期待するというよりは、将来的に自分の歯を残していくための一つの方法であるということですね。
Q. お子様にたいする歯磨き指導で、新しい取り組みを考えているとのことですが。
お子様にこの場で歯磨きをしてもらって、ちゃんとできているかどうか、歯科医師の目でチェックをしたいと考えています。ここまでできていたら何級合格というような基準を設けた、歯磨き検定を始めたいんです。歯科衛生士が基準をクリアできているか確認し、できていないところを親御さんにお伝えして、家でもチェックしてもらうようにします。
こうして、小学校を卒業するまでに、正しい歯磨きが一人でできるようになってほしいのです。
小学校に上がると同時に、歯磨きも自分でさせる親御さんが多いようですが、正しいやり方を教わらずに自分で習得することはとても難しいです。段階的に教えて、その都度確認することで、歯磨きの腕を徐々に上げていき、小さい頃からお口の中の健康を維持していってもらいたいと思っています。
Q. 先生にとって歯科医師であることのやりがいを教えてください。
人間の体というのはとてもうまくできていて、しっかりと栄養をとり、適度な運動と睡眠時間をとっていれば、それほど大きな病気にはかからないはずなのです。そのためにはまずちゃんと食べるということが必要ですから、歯は健康においてもとても重要なんですよね。その部分に関われるということが、この仕事のやりがいであるとも考えています。
患者さまには、初めに30分程度かけてお口の中の状況をしっかりとご説明しているのですが、今までこんなに丁寧に説明してもらったことはないとおっしゃる方が多いのが印象的ですね。また、説明を聞いて理解できたことで、口の中の健康について意識するようになったという患者さまも多く、それはとてもうれしいですね。 辛さが無くなったよ、ありがとうという感謝の言葉ももちろんうれしいのですが、そこで終わりではなく、医院に来ていない日々も口の中の健康について意識できるということは、とても重要だと思います。その成果は5年、10年、15年先の未来、かけがえのない幸せな生活にきっとつながるでしょう。
Q. 最後にご趣味をお伺いしてもよろしいでしょうか。
ボルダリングや料理が好きで、よくやっていますね。 ボルダリングは、何年か前に雑誌などで見ておもしろそうだなと思っていて、たまたま近くに設備ができたことがきっかけで始めました。自分のペースでできることや、室内で行うので天候が関係ないところも魅力的です。挑戦し、克服していくことで達成感を味わえるのもいいですね。
料理はもともと好きだったんですが、子供の食育も兼ねて様々なことに取り組んでいます。豚のバラ肉を熟成させるところから始めて燻製にし、ベーコンや生ハムを作ったり、味噌を大豆の段階から手作りしたりもしています。 新しいことにチャレンジしていくのが結構好きですね。