ある程度進行してしまった虫歯につきましては、治療の際に痛みが出る可能性がありますので麻酔を使用しておりますが、麻酔に使う注射の針は一瞬痛みが伴います。そこで麻酔による痛みを和らげるために、針を細くする、温度を体温に近づける、表面麻酔を塗る等の工夫を行っています。ところがお子さまの場合、麻酔はもちろんのこと、治療自体を怖がってしまうことがあります。そのようなときは、お子さまが治療に慣れることができるよう、院長やスタッフがお子さまに「練習」を行っています。例えば、唾液や水を吸うバキュームをお子さまに近づけると、その音におびえて治療が止まってしまいます。そこで私の口や手にバキュームを当てて、「何も痛くはないよ、おうちにある掃除機のようなものだから」と説明して落ち着いてもらいます。歯を削るタービンについても同じように、はじめは先端にドリルをつけずにスイッチを入れ、お口を開けてもらい音だけ出し続けます。そうすると少しずつ音に慣れていってくれます。このように練習をしてから治療を行い、歯を削られても痛くないのだと学んでもらうのです。もちろん「練習」後に実際に行う治療では、虫歯の程度からみて削っても痛みはないと私が判断した上で行います。
乳歯から永久歯へと生え変わる時期は幼稚園児から小学生にかけてですが、永久歯が痛んでしまえば将来にわたって歯の健康が損なわれる恐れがあるため、当院では永久歯の生えそろう時期のお子さまへのブラッシング指導に力を入れています。特に、歯ブラシが届かない箇所の磨き方は、歯垢に反応する染色剤を使ったりもしながら、丁寧に指導しております。加えて幼稚園年長くらいまでのお子さまの保護者の方には、仕上げのブラッシングをお願いしております。歯の健康を保つことの重要性を説明し、歯のメンテナンスに対するご両親への動機づけを心がけています。
歯にフッ素を塗ることで丈夫になることはよく知られていますが、子どもの頃からフッ素塗布の習慣を身につければ歯が強化されるため、最近は定期的にフッ素塗布に来られる方も多いです。また、治療で通われたのをきっかけにメンテナンスでもご利用くださるようになる方も増えてまいりました。定期的に通院される方と虫歯になったら来られる方がいらっしゃいますが、虫歯になる前に定期メンテナンスを続けて下さる方がなるべく増えることを願っています。