Q.歯医者を目指したきっかけを教えてください。
「医療や福祉関係の仕事につきたい」という思いがあったのですが、特に医師や歯科医師の家庭に生まれたわけではなかったので、「歯科医師になりたい!」という強い思いで歯科医師になったわけではないんです。やはり医師や歯科医師になるためにはそれなりに費用もかかりますから……。強い思いがない分、いろいろと悩んでいて、その気持ちを進学する際に両親に相談したところ、「やりたいという気持ちがあるのなら学費の心配はしなくても良い」といってくれたので、それならばと歯科大学に進学して歯科医師になったんです。今では「趣味は仕事」と言えるほどに楽しんでいますし、この仕事にやりがいも感じています。
Q.予防に力を入れてらっしゃると思うのですが、どのようなきっかけがありましたでしょうか。
病院実習時代にお世話になった研修先の歯科医院の影響が大きいと思います。当時、多くの歯科医院はあまり歯周病治療や予防に力を入れていなかったのですが、その先生は歯周病治療を中心にしていて、強く印象に残りました。その先生から歯周病と根管治療が治療の基礎だということを教えていただきました。それから、大学を卒業して勤務し始めた当初は、虫歯ができたら削るといった治療がほとんどの時代だったんです。ですが一度削って詰めものをして、それが外れてまた虫歯になったらまた削る。最終的には神経を取ってかぶせて……と、治療をしたがためにどんどん歯がなくなっていってしまう。もちろん痛みを治すのが歯科医師の仕事ですが、それでは本末転倒だと思い始めたんです。本来の歯医者の役割は、「予防」を広めることだと。それからは「虫歯にならないための予防」がどれほど大切かということを患者さまに説明し続けています。もちろん小児の予防も重要で、子どもの頃から「虫歯をつくらない」ためにお父さんやお母さんに歯磨きの仕方など、さまざまなお話をさせていただいています。
Q.お会いした時からとてもエネルギッシュだなという印象を受けたのですが。その力の源はなんでしょうか? そして、お仕事を楽しむコツとはなんでしょうか?
特に気を遣っていることはありませんが、唯一言えることは、仕事を楽しいと思ってやっているので、そう見えるのかもしれません。うちの医院の若いドクターにもよく言うのですが、仕事を楽しむためには自分で努力をして知識を増やして腕を磨くしかないんです。私も若い頃はさまざまな壁にぶつかりましたが、自分でやった責任はすべて自分に返ってくる仕事なので、自分のスキルを上げて乗り越えていくしかないんです。自分に能力がないと、仕事ってつらいだけになってしまうんですよね。患者さま一人ひとりと向き合う仕事なので、誰のせいにもできないですから。でも、努力した分も直接自分に返ってきます。患者さまから「ありがとう」という感謝の言葉をいただけたときは、格別の喜びがあります。私たちの相手はものではなくて人間です。患者さまと長くおつきあいできるように、より良い人間関係を重視して日々仕事をしています。
Q.多くの患者様とお付き合いしてこられた中で、印象に残っている患者様はいらっしゃいますか?
長く通っていただいている患者さまの中には、10年以上の通院歴の方も多くおられます。今だから言えることですが、来院いただいた当時、もうすでに治療がむずかしい症状だった患者さまがいらっしゃいました。なんとか自分のできることをと治療をさせていただいたのですが、途中で別の医院に行かれてしまって。しばらくいらっしゃらない時期があったのですが、数年後にひょっこり来院されて、「また治療をして欲しい」とおっしゃられたんです。そこからまた通って下さっているのですが、つい先日、「どうしてうちに戻って来たんですか?」と聞いてみたんです。そしたら、「どこの先生も共通して、最初にやってくれた先生は上手だねと言うんです。だからいろいろなところに行ったけど、やっぱり先生のところに最後まで通いたいと思った」とおっしゃっていただいて。すごく嬉しかったですね。とてもむずかしい症状の患者さまなので大変な部分もあるんですが、苦労が報われた気がしました。それから、老人ホームに入居されている患者さまを訪問診療で診させていただいていたのですが、最初はなかなか言うことを聞かないむずかしい方だったんです。ですが亡くなる少し前に、ホームから「◯◯さんが先生に会いたいと言っているから時間があるときに来て欲しい」という電話があったんです。すぐに会いに行って話をしてみたら、「先生ありがとう」という、そのひと言を言うために私を呼んだと。もう半身麻痺の状態で話すのも大変だったのですが、とても嬉しい言葉をいただきました。もちろん亡くなってしまったことはつらいですし、寂しいですが、亡くなられる前にお話ができて良かったと思っています。
Q.素敵なお話ですね。多くの方々と信頼関係を築いてきた野崎先生の今後のビジョンを教えていただけますでしょうか。
いざというときに頼りにされる歯科医師になりたい。それだけですね。私には特別優れた技術があるというわけではありませんし、際立った特徴はないかもしれませんが、とにかく患者さまにしっかりお任せいただける仕事をしていきたいと思っています。それが大事だと常に感じています。それから、研修生として歯科大学の学生さんがうちの医院に多く来てくれているのですが、彼らが私の仕事を見て何かを学んでくれたら嬉しいですね。一応、来てくれた学生さんたちは目標にしてくれてはいるみたいです(笑)。それから、当院の自慢はスタッフです。とても優秀なスタッフが私の仕事を支えてくれています。これからもこのスタッフと一緒に、患者さま一人ひとりと向き合い、健康な歯を保つお手伝いをしていきたいと思っています。
Q.最後に患者様に対するメッセージをお願いいたします。
このEPARK歯科のサイトをご覧になって来院される患者さまは、きっと良い歯科医院を一生懸命探して選ばれていると思います。長くおつきあいできる「かかりつけの歯科医師」になるような、そんな歯科医院が見つかるといいなと思っています。もし当院を選んで来ていただけるのであれば、かかりつけの歯科医院として最後まで患者さまご自身の歯で食べられるよう、長くおつきあいできればいいですね。当院は「丁寧な説明」を大切にしていますので、虫歯があるからと言っていきなり削ったり歯を抜いたりするような治療はしません。お口の中の状態を確認して、患者さま一人ひとりに合った治療プランをご提案しています。何か歯に関するお悩みがありましたら、歯科医院は怖くて痛い場所だと思わず、どうぞお気軽にご相談ください。