様々ある歯科治療の中で特に力を入れて学んだのは何ですか? その理由も教えてください。
保存修復治療です。虫歯に樹脂を詰めるという治療法があるのですが、それについて勉強いたしました。
セラミックやインプラントは特によく知られていると思いますが、それよりももっと患者さまにとって身近な治療であると思います。軽い虫歯の治療で、ほんの少しの詰め物かもしれないですが、その些細なことでもきちんと丁寧に治療するのと、そうしないのでは仕上がりが全然違います。その些細な治療でも患者さまから「全然分からない」「きれい」と喜んでもらえると嬉しいです。患者さまに喜んでもらえる一つのきっかけであると思います。
また、インプラントに関しましては、大学病院から担当の先生にお願いしております。
初めて来た患者さんに対して心がけていることがあれば教えてください。
緊張を取り除いてから、リラックスしてもらうことです。
緊張がほぐれてくると、患者さまもいろいろと自分の状況などをお話ししやすくなりますので、その後のカウンセリングや治療もしやすくなります。
患者さま一人ひとり、考え方や治療方針は当然違いますので、この患者さまはどういう人なのかということが分かったうえで、治療方針を提案させていただきます。
最初に問診表を書いていただくのですが、その問診表だけではなく、その患者さまの性格だったり、人柄を深く判断して、お話しするようにしています。話しているうちに、この患者さま実はこんな人なのだと思ったときには新しい提案をすることがあり、それが逆に喜んでいただいたりもします。
また、治療のあとに再び悪くならないようにきちんと管理をさせていただきますので、定期検診の重要さについて説明させていただいております。
歯医者嫌いのお子さまのために行っている工夫は何かありますか?
嘘をつかないということです。
痛いときはきちんと「痛いよ」と説明しています。この人は嘘をつく人だと思われてしまったら、心を開いてくれません。そのため「この人はちゃんと説明をしてくれる人で、自分が嫌なことはしない」ということを分かってもらうようにします。まずは、最初に仲良くなって、その子の緊張をほぐします。お子さまの場合、大人と違って話していても緊張はほぐれません。ですので、冗談などの会話も交えながら治療することによって、「この人は大丈夫なんだ、敵じゃないんだ」と思ってもらうよう心がけております。
今後力を入れていきたいと考えている治療があれば理由とともに教えてください。
やはり予防歯科です。歯科治療は、治療が終わって「はい、おしまい」ではありません。例えば、患者さまがこのエリアでお勤めされている期間が20年、30年あるとすれば、その間でまた歯は悪くなっていきます。ですので、気になることがございましたら、「お仕事の帰りでも構いませんので、お気軽にいらしてください」と患者さまにはお伝えしています。定期的な検診が大事だということ自体を知らない方が大勢いらっしゃるのが現状です。患者さまには、定期検診の必要性や、フロスの使い方などをまずは知っていただくことから始めています。
常に管理してチェックして、悪くならないように努めていくということがここにいる意味であると思います。そして、それを通して長く通える医院づくりを目指しています。私もここで今後も勤めていくつもりですので、町の歯科医師という感覚でこれからもみなさまとお付き合いしていきたいと思っております。
スタッフの自慢できる点を教えてください。
スタッフも全員患者さまのキャラクターを把握しています。
ミーティングの中で、もし久しぶりに来る患者さまがいらっしゃったら「あの人そういえばここがこうだから、またチェックしといて」とか、そういう話をしています。ですので、それを踏まえたうえで、実際患者さまがいらしたときはスムーズにご案内ができます。みんなが患者さまのことを分かったうえで治療をして、ご案内していますので、その場で直接言わなくても、その方の性格や気質を分かってくれています。
きちんとついてきてくれるスタッフとの信頼関係や、技術力が自慢です。
スタッフ教育で力を入れているところはありますか?
私のほうからいろいろ言わなくても、きちんと自分で把握して行動してくれます。ただ、再度確認の意味でミーティングのときに「この人こうだよね」という風に、その場でみんなで確認は行っております。
あとは、患者さまが理解するまで説明をするということは、私も含めスタッフも心掛けてます。
予防歯科は、しっかりこの人と向き合っていきたいという気持ちがないとできないことです。いつもどれだけ説明してもよくならない人をその場で投げだしてしまうのか、どうにかできるまで根気よくやろうとする違いというのは、歯科衛生士の志の差だと思います。それをみんなとことんやってくれています。患者さまもみんな、説明するとついてきてくれる方ばかりですので、私たちのやりがいにもつながっております。
この町の特徴をひとことでいうとなんですか?
オフィス街なので、固い感じの方が多いのかなと思っていたのですが、非常にみなさんフランクで、仲良くしてくださる方ばかりで、すごくいい地域だなと感じております。
地域の医療貢献のために取り組んでいることがあれば教えてください。
このビルの中に、コワーキングスペースがあります。スタッフがお子さまの面倒を見ている隣で、デスクワークができるという託児施設つきのスペースがあるのですが、そこに歯科検診へ行っております。
そこで得た新しい発見や、知識を活かすように努めております。
先生の思う歯科医院選びのポイントを教えてください。
人と人との相性だと思います。
例えば、歯科技術に長けている先生だったとしても、そこにまた行きたいと思えなければ意味がありません。歯科医院は特に長く通うところであり、人と人が向き合うある種のサービス業ですので、相性は大事だと思います。
この人ならば、ずっと同じ空間にいても苦ではないと思える人のところのほうが行きやすいと思います。ですので、もちろん技術もありますが、スタッフも含めて、医院の人たちとの相性が大事だと思っております。
好きな本とその理由を教えてください。
約30年前の古い本なのですが、私が臨床に出たばかりのときに、そのときの先生に「これは歯科医師の基礎だから、これだけはしっかりおさえておきなさい」と言われて、いただいた本です。
それが今でも役に立っており、大切な本の中の一冊です。